福田内閣になって、「低炭素社会」が強調されるようになった。
温暖化対策の旗印としては、「低炭素社会」は決して悪くない。
しかし、日本が目指すべき社会が「低炭素社会」だと言われると、低炭素、すなわちCO2を低減させるだけでよいのか、というのが私たちの基本的な疑問だ。
20世紀型の化石燃料を駆動力とする文明から、今世紀には、自然環境や伝統的知恵とも調和する文明、つまり「環境文明」へと転換する必要がある。
その環境文明社会の特徴は、政治的には民主主義、経済的には市場経済を基盤としつつも、物質的には、脱化石燃料と省物質を追及し、再生可能な資源エネルギーを積極的に活用し、水、森林、土壌など生き物を含む自然環境を持続的に保全する社会。
文化的には、教育や福祉に重点を置き、次世代を安心して育てられる社会、さらに宗教や伝統文化を含む文化活動を尊重し、多様性を尊び、個性の違いに寛容である社会。
そして、社会経済的には皆がほどほどの生計を営み、働くことに喜びや生き甲斐が持て、地域的にも適度に分散されており、農林水産業の活力を維持できる社会。
そのような社会を「環境文明社会」の特徴と私たちは考えている。
加藤三郎、藤村コノヱ