環境文明21は、環境負荷の少ない持続可能な環境文明社会の構築を目指す環境NPOです。 | |||
しばらく前のこと。
廃棄された冷凍カツなどが転売された事件が、人々の注目を集めた。 何せ、本来は廃棄物として適正に処理されていなければならなかったものが、スーパーなどを通じて、堂々と食品となり人々の口に入っていたというのだから、人が驚くのも当然である。 このニュースに接した時に、私が思ったことは、たった一社の不正行為のために、産廃業者の信頼がまた失墜するのではないかという懸念と共に、まじめに働き、廃棄物処理事業に携わっている多くの人のため息が聞こえるようで極めて残念であった。 実は、私は30年ほど前、3年足らずではあったが、厚生省で廃棄物行政を担当していた。この頃も不正投棄事件などもいろいろあって、廃棄物処理に係る業界に対する社会の目は、とても厳しいものであった。それに加え、汚れ仕事ゆえに社会からのいわれなき偏見や誤解に苦しむ真面目な業者は少なくなかった。 実際、福岡県のある業者が社会の偏見に苦しむ心やまた、社会から投げかけられる心無い言葉やしぐさに対する静かな抗議を込めた詩歌集を出版していた。そこにはこんな句が書き連ねてあった。 清掃夫 悔しき事の多ければ ひたすら求む一杯の酒 職をもて 卑しむ人とされるわれ 幾夜悩みぬ人間の価値 それを読んだ私は、廃棄物処理という極めて重要な仕事に携わる人に対する応援歌をつくろうと思い立ち、次の清掃賛歌を詠んだ。 清掃賛歌 1.清掃は地球を磨く業なるぞ これほど大事な職はあるまじ 2.清掃はかくも貴き仕事なのに なぜひ世間はそれを解さぬか 3.清掃に精を出してるわが友よ いざ誇らかに頭を上げよ それから30年。 この間、社会で無くてはならない廃棄物処理に携わる人々の人知れぬ努力により、社会からの信頼もずいぶん増してきたのではないかと思われていたこの時期にまたしても不祥事件の発生である。しかしながら、数ある業者のうちの一社が行った不正により、業界全体が悪く見られる謂れはない。これまでと同じように倦まずたゆまず、社会にとって不可欠な仕事を続け、社会の信頼を積み上げていくしかない。また、それが可能なよう、行政も業界中枢としても、様々な制度の改革を続けていく必要がある。
by JAES21
| 2016-02-16 17:30
| 加藤三郎が斬る
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