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残念なのは、サッカーだけではない
ブラジルで開催されているワールドカップは、まだ道半ばではあるが、日本にとっては終わったも同然である。言うまでもなく、日本代表選手が、一次リーグCグループの最終戦でコロンビアに1-4で敗れ、同組最下位が決定し、16強以上となる決勝トーナメントへの進出は叶わなかったからである。

ここ数年というもの、特に今年に入って、ワールドカップのことが毎日のように話題になり、そして、日本のサムライたちは、前回以上に大活躍するだろうと、私を含めほとんどの人が期待していた。

選抜された選手の中には、8強入りどころか、優勝すらしてみせて世界を驚かせてやるという主旨の強気の発言も飛び交っていたが、残念な結果となってしまった。本田選手は、今までの過去を全部否定して、もう一度ゼロからやり直す覚悟でいかなければ、再建は無理だという主旨の発言をしていたが、実際、ブラジルをはじめとする他国の選手たちの神業としか言えないような活躍ぶりを見せつけられていた私たちには、やはり世界はすごいな、上には上がいるものだと感心させられると同時に、これが世界なら、8位以内に入り込むことがいかに難しいことかを実感させられた。

しかしながら、このようなことは何もサッカーだけの話ではない。私は日本の省エネ技術や環境技術についても、今回のサッカーと同じような残念な動きをしていると見ており、いろいろな場でその危険性を表明している。確かに、1970年代の厳しい産業公害、そして、二度にわたる厳しいエネルギー危機に見舞われた日本は、必死になって技術を開発し、そして困難に立ち向かった。中央政府も地方政府もも非常に厳しい規制を課し、当時の日本企業はそれに真正面から向き合い、がむしゃらに技術開発をし、気付いたら、世界のトップクラスに立っていたというのが70年代から80年代初めにかけての日本の動きである。

今、気候変動などの厳しい環境問題が迫っているが、今の日本は、追加的な対策は何もしていないと言ってもいい状況である。いつも言うように、日本にはCO2等の排出に対する規制値はまるでないし、話題にもなっていない。明確な削減目標は事実上何もない。そして、あるのは、日本は省エネ大国、環境技術大国、日本の省エネは、乾いたぞうきんを絞るように、もう絞るものは何もないといった幻想だけである。日本国内でしか通用しないその思い込みに対して、世界の専門家はそれが幻想であることを厳しく指摘しているが、能天気にもそのようなことは誰も気にも留めていない。

こうなれば、結果はどうなるか。
サッカーと同じように、世界の競争の中で敗れていくのだ。現実に、最先端の技術開発において、日本は相当な遅れをとりつつある。しかしながら、昔の成功体験の幻影に縋り付いて、未だに何もしようとしていない。
つい最近、安倍内閣がまとめた新しい「骨太の方針」なるものを見ても、日本の環境技術、省エネ技術を鍛え上げ、練り上げて、日本の企業の競争力を高め、日本を元気にし、世界に貢献しようなどという施策はまるでない。

このことは、もし気候変動対策のワールドカップがあるとすると、日本は予選落ちという事態になるのではないか。気候変動無策の結果、日本企業の技術力、競争力が目に見えて低下することは、三年先、五年先には普通の人でもすぐに分かるようになるであろうが、誠に残念としか言いようがない。
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by JAES21 | 2014-07-01 11:34 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
「ウサギとカメ」の教訓いずこに


「日本の環境対策技術は世界一だ。省エネ技術もピカイチだ。」という言葉を政界や財界のエライさんが言うのを聞くと、いつも「ウサギとカメ」の寓話を思い出す。

「ウサギとカメ」の物語は、速いウサギと足の遅いカメとがかけっこ競争をすることになり、ウサギはカメとの距離を大きく離したことに油断し昼寝をしていると、その間、一歩一歩確実に歩みを進めていたカメに追い抜かれ、抜き返そうと必死に頑張るが遅れは取り戻せず、カメが勝利するというお話で、自信過剰になって油断すると俊足のウサギも負けてしまうという教訓である。

今、環境対策や省エネで高い技術を持っていると多くの人が思い込んでいるその理由は、1970年代の厳しい公害規制を充たすべく、企業が歯を食いしばって技術開発に努めたこと。そして、またこの70年代に二度にわたって石油危機が起こり、エネルギー価格が急上昇したことへの対応策として出てきた技術である。

しかし、80年代も半ばになるとその技術開発の手を緩めてしまい、「Japan as No1.」などと言われておだてられているうちに政策も技術開発もすっかり緩んでしまったことである。

私に言わせれば、曲がりなりにも日本の技術がまだもっているのは、70年代の遺産のためである。

90年代以降、日本は温暖化対策に真正面から取り組まず、日本の技術は世界一だ、乾いたぞうきんを絞っても何も出ないように、省エネをする必要はないし出来ないと言っているうちにどんどん後ろから来たカメたちに追い抜かれた。

その典型的な姿が、日本が京都議定書から事実上抜けてしまったことにある。

日本があれも出来ないこれも嫌だと言っているうちに世界はどんどん進んでおり、その遅れを取り戻すには、極めて大きな努力とコストがかかる。今回の参議院総選挙においても、温暖化対策は争点にもなっていないし、マスメディアもそのことに触れることはほとんどない。ちょうど2009年の衆議院選挙や2010年の参議院選挙において、原子力発電の安全問題が全く論点にならなかったのと似ている。

3.11後、急に原子力安全問題と節電が浮上したが、温暖化対策も同じ道を歩んでいると私は心配している。
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by JAES21 | 2013-06-18 11:04 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
技術はあれど、それを伸ばす見識も政策もないのか
日本は今、いろいろな面で衰退現象が目立ってきている。GNPで見て、昨年中国に追われて、3位に後退したというのは、その代表例であるが、その他にも、様々な面で、「Japan as No.1」と言われたかつての勢いは消えてしまった。

しかし、そのような中で、多くの日本人は、日本の環境技術、環境政策は、まだ世界に冠たるものであると思っているのではなかろうか。確かに、省エネ、リサイクル技術をはじめ、ハイブリッド車、リチウムイオン電池、高性能のソーラー発電技術など、現時点では、世界の競争場裏に投げ込まれても、比較的優位にある技術は、まだある。しかし、これらの技術も、欧米だけでなく、中国や韓国にも激しく追い込まれている。従って、これら比較的優位にある技術の競争力を高め、維持していくには、やはり政策が必要である。

企業や技術者を奮起させるには、より良い技術を開発した者には、ご褒美が与えられ、低いまま留まる技術にはペナルティを科す政策が不可欠だ。1970年代の激しかった産業公害時代に、政府も産業界のリーダーも、紆余曲折は経ながらも、大胆にアメとムチの政策を導入し、当時の厳しかった産業公害を乗り越えた。代表的な例が自動車排ガス規制であろう。当時の日本はまだ、世界の自動車業界から見て、ひ弱だと思われていたが、自動車排ガスを1/10以下にするという途方もない課題をアメリカから突き付けられて、それに企業も技術者も敢然と挑戦したために、それを乗り越えることができた。

今でも語り草だが、本田宗一郎さんは、「マスキー法は天の助けだ。今や世界中の自動車メーカーは、低公害エンジンの開発で同時スタートを切る。こんなチャンスはない。それはすなわち、世界で一番後発であったホンダが、この開発競争に勝てば、世界一のメーカーになることが出来る。」と語っている。しかし、今、温暖化、生物多様性の危機に直面しても、残念ながら、わが国の政治や産業界のリーダーたちは、敢然とこれに立ち向かう意志も戦略性も、そして忍耐力もないようだ。

一昨年の9月、当時の鳩山首相は、例の温室効果ガス25%削減を表明したときに、この目標を達成するためには、「政治の意志として、国内排出量取引制度や再生可能エネルギーの固定買取制度の導入、地球温暖化対策税の検討をはじめとして、あらゆる政策を総動員して実現を目指していく」決意を語った。そして「国民も企業も政治も、産業革命以来続いてきた社会構造を転換し、持続可能な社会をつくることが次の世代への責任である」旨、語っている。
それから、一年半、鳩山さんの舌の根も乾かぬうちに、民主党現政権は、排出量取引制度については、早くもギブアップ気味である。少なくとも来年度での導入は見送ってしまった。玄葉国家戦略相の補佐である柿沼正明議員は、「排出量取引というのは経済成長と環境が現時点では両立しない。もっと言えば、これをやったら今構築中の成長戦略が台無しになる。つまりアクセルとブレーキは同時に踏めない。」と語る始末だ(『週刊エネルギーと環境』2011年1月13日付)。

誠に、安直なギブアップ宣言だ。
こんなことを民主党のキーマンが言っているようでは、到底25%削減などは不可能だ。鳩山さんが掲げた目標は、本来ならば、日本が持っている環境技術、省エネ技術を伸ばし、国際競争力をつけるまたとない機会であるのに、それに挑戦もしないうちに、経済成長と環境が両立しないと平気でおっしゃる。日本の明日の希望の灯を自ら吹き消してしまうようなものだ。

これでは、日本経済の衰退は止まるまい。
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by JAES21 | 2011-02-08 17:36 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)



環境文明21の共同代表「加藤三郎」「藤村コノヱ」の両名が、時事問題等を斬る
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