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灼熱化、気候異変に変えたら

今から27年前の1989年、私は環境庁の国際課長の職にあったが、その時から今日の地球温暖化や気候変動問題への取り組みを環境行政の課題として開始した。その前年には、国連(WMOとUNWP)は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)という専門パネルを設置して、活動を開始していたからである。当時、世界の専門家は、英語では地球温暖化をGlobal warming と表現し、気候変動はClimate Change と書き表していた。当時はまだ、IPCCに集う専門家の間でも、本当に地球温暖化が発生しているのか、あるとしても、それが、人間の経済活動に起因しているのかについては、異論も多く確定していないかった。

しかし、気候変動に関する研究成果やデータが着実に積み上がってくるにつれて、今日、温暖化は疑いなく進行しており、その原因も人為活動によることが確実となり、昨年、190を超すすべての国によって合意されたパリ協定においては、原因物質であるCO2などの温室効果ガスの大幅削減を実施し、今世紀後半においては「実質ゼロ」とすることまで明記された。

このように厳しい目標を掲げ、削減をすべての国に迫るまでになった背景には、IPCCによる着実な科学的・専門的知見の集積もあったが、それに加え、近年の激しい気候異変が地球上のいたるところで発生し、多くの人が現実に様々な被害を被っている現実があろう。最近の気候変動対策に関する国連会議(COP)で、巨大な台風やハリケーンあるいは海面上昇などによる甚大な被害を現実に受けている国々の代表の悲痛な叫びにも似た訴えが、豊かさに慣れた国々の代表をも明日は我が身と大きく動かしている。

このように考えると、従来、使い慣わしてきた「地球温暖化」や「気候変動」という表現は今のままでよいのだろうかと思ってしまう。

「温暖」という日本語表現は、危険を表すよりはむしろ、ポジティブで緩やかさを表し、また「変動」も変化と同様、中立的(ニュートラル)なニュアンスを帯びており、その語自体では危機や脅威を示していない。しかし、温暖化も気候変動も今や社会にとって重大な危機、脅威、となりつつある以上、例えば、温暖化は灼熱化、気候変動は気候異変と表現し直したら、どうであろうか。ついでに言えば、温室効果ガスも灼熱化ガスはいかがであろうか。

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by JAES21 | 2016-09-27 17:30 | 加藤三郎が斬る
気候変動の犠牲者

今年に限ったことではないが、近年、気候の不安定や異常と思われる気象現象がますます顕著になってきた。

この夏、日本を襲ったUターン台風(台風10号)の動きなど、その典型例であろう。これまで考えられなかったところで、台風が発生し、そして、西にふらついて行ったと思うとUターンをして、強力な台風となり、岩手県に上陸し、青森を突き抜けて、北海道を襲った。まさに、これまで、経験のないようなコースを辿る暴れ台風であった。

このような異常な気象現象は、もちろん日本だけでなく世界の各地で発生している。私は、毎朝、衛星放送で主要国のニュース番組を見ているが、アメリカのABC放送などは、ほとんど毎日のように、アメリカ国内で発生している異常気象(竜巻、山火事、大雨・洪水など)を伝えており、ABCはまるで気象専門チャンネルになったかのように錯覚するほどだ。

このようなことは無論アメリカだけでもなく、本年6月には、フランスやドイツで、大洪水が発生し、少なからぬ被害をもたらした。パリを流れるセーヌ川が増水し、川岸に近いルーブル美術館は、収蔵品を安全な場所に移す必要に迫られたほどである。ルーブルだけでなくパリの地下鉄も浸水し、鉄道サービスが一時的に休止するほどになった。同じころ、インドでは熱波が襲い、50℃を超える気温になったとも伝えられている。

当たり前だが、日本であれ、どこの国であれ、ひとたび異常気象に襲われると様々な被害が発生する。人命が失われたり、住宅やビルが損壊したり、道路や橋、鉄道が流されたり、そして、農作物が大被害を被ったり。人の生活基盤が根っこから奪われ、復旧のための費用も膨大になる。私たちの記憶にまだ新しいのは、昨年9月、鬼怒川の増水で、破堤した茨城県常総市の甚大な被害がある。一年が経過したが、被害の傷はまだ癒えていない。

台風にしろ、竜巻にしろ、大雨にしろ、昔からあった自然現象であるが、近年は、そのパワーや頻度などの程度が誠に問題だ。その背後にあるのは、海水温の上昇である。それをもたらしているのは地球温暖化であるのは疑いようもない。温暖化対策をしようとすれば、様々にコストが掛かるが、その対策コストよりも被害によるコストのほうが数倍大きくなるというのが、専門家の一致した意見である。しかし、様々な被害が発生していることと温暖化対策の必要性とはなかなか結びつかない。今も起こっている各地の洪水や浸水の被害者も自然現象によって運悪く被災したと思う人は多くとも、人間が長いこと怠ってきた温暖化対策の不十分さにより、人命や財産の損失が発生していると明確に認識している、つまり、端的に言えば、不十分な気候変動対策によって犠牲者になっているという認識はおそらく少ないであろう。このことが温暖化対策のパワーを弱めている一原因となっていると思うと残念でならない。


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by JAES21 | 2016-09-13 17:30 | 加藤三郎が斬る
現実化しつつある気候異変の脅威
世界の温室効果ガスの二大排出国であるアメリカと中国が「パリ協定」を批准した。消極的だった日本政府もこれに刺激されて、年内批准に向けて加速してもらいたいところだ。
(TPPより重要な問題である。)

それにしても、最近の国内外の異常気象による被害は、“台風は来ない”と思われていた北海道、東北でかつてないほどの豪雨に見舞われ、多くの被害をもたらすなど、想定外のことが頻繁に起きている。遠く離れた南極では、4番目に大きい棚氷の表面に巨大な裂け目が生じ急速に拡大しているという。このまま亀裂の拡大が続ければ、巨大な棚氷が一気に崩壊、氷河をせき止めている氷崖が崩壊する最悪の危機に陥るという。

そうした中、9月4日NHK放映の「CRISIS 巨大危機 加速する異常気象との闘い」は、気候変動の脅威の正体を科学的に解明しその対策に迫る内容で、とても強烈なものだった。例えば、アラスカやシベリアなど北極で永久凍土が解け始め、CO2の28倍の温室効果があるメタンが溶け出しているという。この現象が温暖化のスピードに拍車をかけており、今後どの程度拍車をかけるか、その解明の為の調査が続けられているという。ここ2-3年気温上昇のスピードが加速されていることは聞いていたが、なるほど、である。
また、雷の頻発と巨大化により、現在の避雷針では到底対応不可能になり、その影響で都市機能のみならず、病院などでもコンピュータ機能が一斉にダウンし人命にかかる非常事態に陥る、そんな予測も紹介されていた。IT社会ゆえの被害である。

夏の日中の気温が45度にもなり、巨大台風やゲリラ豪雨、落雷など、自然が猛威をふるい、巨大化し自ら制御しきれなくなっている社会システムがダウンした時、人間は生き延びていけるのだろうか。もう間に合わないかもしれない、そんな不安がよぎる。

「自分さえ」「今さえ」を優先して、「パリ協定」の早期批准に二の足を踏む人たちは、自分も、今も、危うくなっている現状を認識してほしい。
そして、気候変動による被害者(本人は必ずしも自覚していないかもしれないが)が、国内でも急増している現実をしっかり見てほしい。


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by JAES21 | 2016-09-06 17:40 | 藤村コノヱが斬る
残念なのは、サッカーだけではない
ブラジルで開催されているワールドカップは、まだ道半ばではあるが、日本にとっては終わったも同然である。言うまでもなく、日本代表選手が、一次リーグCグループの最終戦でコロンビアに1-4で敗れ、同組最下位が決定し、16強以上となる決勝トーナメントへの進出は叶わなかったからである。

ここ数年というもの、特に今年に入って、ワールドカップのことが毎日のように話題になり、そして、日本のサムライたちは、前回以上に大活躍するだろうと、私を含めほとんどの人が期待していた。

選抜された選手の中には、8強入りどころか、優勝すらしてみせて世界を驚かせてやるという主旨の強気の発言も飛び交っていたが、残念な結果となってしまった。本田選手は、今までの過去を全部否定して、もう一度ゼロからやり直す覚悟でいかなければ、再建は無理だという主旨の発言をしていたが、実際、ブラジルをはじめとする他国の選手たちの神業としか言えないような活躍ぶりを見せつけられていた私たちには、やはり世界はすごいな、上には上がいるものだと感心させられると同時に、これが世界なら、8位以内に入り込むことがいかに難しいことかを実感させられた。

しかしながら、このようなことは何もサッカーだけの話ではない。私は日本の省エネ技術や環境技術についても、今回のサッカーと同じような残念な動きをしていると見ており、いろいろな場でその危険性を表明している。確かに、1970年代の厳しい産業公害、そして、二度にわたる厳しいエネルギー危機に見舞われた日本は、必死になって技術を開発し、そして困難に立ち向かった。中央政府も地方政府もも非常に厳しい規制を課し、当時の日本企業はそれに真正面から向き合い、がむしゃらに技術開発をし、気付いたら、世界のトップクラスに立っていたというのが70年代から80年代初めにかけての日本の動きである。

今、気候変動などの厳しい環境問題が迫っているが、今の日本は、追加的な対策は何もしていないと言ってもいい状況である。いつも言うように、日本にはCO2等の排出に対する規制値はまるでないし、話題にもなっていない。明確な削減目標は事実上何もない。そして、あるのは、日本は省エネ大国、環境技術大国、日本の省エネは、乾いたぞうきんを絞るように、もう絞るものは何もないといった幻想だけである。日本国内でしか通用しないその思い込みに対して、世界の専門家はそれが幻想であることを厳しく指摘しているが、能天気にもそのようなことは誰も気にも留めていない。

こうなれば、結果はどうなるか。
サッカーと同じように、世界の競争の中で敗れていくのだ。現実に、最先端の技術開発において、日本は相当な遅れをとりつつある。しかしながら、昔の成功体験の幻影に縋り付いて、未だに何もしようとしていない。
つい最近、安倍内閣がまとめた新しい「骨太の方針」なるものを見ても、日本の環境技術、省エネ技術を鍛え上げ、練り上げて、日本の企業の競争力を高め、日本を元気にし、世界に貢献しようなどという施策はまるでない。

このことは、もし気候変動対策のワールドカップがあるとすると、日本は予選落ちという事態になるのではないか。気候変動無策の結果、日本企業の技術力、競争力が目に見えて低下することは、三年先、五年先には普通の人でもすぐに分かるようになるであろうが、誠に残念としか言いようがない。
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by JAES21 | 2014-07-01 11:34 | 加藤三郎が斬る
薄氷の合意COP19

今月11日からワルシャワで開催されていた地球温暖化防止に関する条約加盟国の年次総会(COP19)が会期を一日延ばし、難航の末に合意がなされた。
まさに薄氷の合意と言えるだろう。

とは言っても、地球温暖化対策については92年6月の「地球サミット」で国連気候変動枠組条約が採択されたときから、ずっと薄氷を積み重ねた上での前進である。
今回の場合は、11月8日にレイテ島を襲ったスーパー台風のあまりに激甚な被害を目の当たりにし、フィリピンの代表が涙ながらに同会議で訴えたことが、かろうじて合意に達する圧力となったのかもしれない。

私は、1990年のIPCCの第一次レポート公表以来、この問題を見てきた。温暖化の恐るべき脅威を科学が一枚一枚ベールをはぐように明らかにしていく一方で、経済開発を優先する国内政治の圧力は、先進国においても途上国においても極めて大きい。その狭間で、常に温暖化への対応を困難にしてきた。

今回のワルシャワでは、既に合意されていた2015年のCOP21で京都議定書に代わる枠組みを構築し、それを2020年に発効させるというスケジュールは、再確認された。京都議定書に代わる枠組みは、条約参加国が自主的に決めた削減目標をそれが適切かどうかを全体で評価し合って、対策を進めていく方式になる見込みである。

来年のCOP20は、ペルーのリマで12月に開催され、そして15年11月にはCOP21がパリで開かれるというスケジュールも確認された。これからまた薄氷を踏みながら、人類社会が気候変動問題という巨大な問題にどう向き合いどう戦っていくかがこれから試されるが、その具体的な中身はまだ見えていない。

15年のパリ会議に向けて、これからどれほどの薄氷を踏むことになるのか、踏み間違えてしまえば、年ごとに脆弱になっている北極海の氷の上に生きてきたシロクマと同様の運命を、人類社会が経験することになるかもしれない。その意味でも、地球温暖化対策をどう構築していけるかは、国内的にも国際的にも存亡をかけた重大な課題であり続ける。
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by JAES21 | 2013-11-26 11:33 | 加藤三郎が斬る
温暖化は避けられない”運命”になる前に
先週、加藤共同代表が、あまりに低い目標設定について述べたが、今週もその続編である。

案の定、COP19では、日本政府が提示した「05年比3.8%減」に対して、痛烈な批判が各国から寄せられている。またその批判をかわす狙いで提案した「途上国への1兆6000億円の資金支援」についても、新聞報道によると、“途上国に説明したが全く反応はなかった”とのことである。

各国ともに厳しい政治・経済・社会状況の中にあっても、猛烈化する台風・ハリケーン・竜巻、そして異常気象を目の当たりにして、何とか少しでも交渉を前進させようとしているのに、京都議定書を生んだ日本が、この体たらくでは、どうしようもない。交渉を邪魔した国に贈られる「特別化石賞」は当然の受賞である。

日本政府は、エネルギー政策の進展を踏まえて目標を見直すとしているが、そもそも、その考え方の順序が間違っており、発想を転換すべきである。

確かに、エネルギーは人間が生きていく上で不可欠な“手段・道具”である。
しかし、そんなことより一番大切なことは、将来、人間が生きていけるかどうかである。
IPCCや環境の専門家が警告しているのは、気候変動に伴う異常気象がこのまま激化すれば、人間生活や経済活動の基盤が失われ、ひいては人類の存続が危ぶまれるということである。
そうならないように、そのことを大前提に、なんとか、削減目標を設定し、それに向けて頑張ろうというのがCOPの目的である。
各国でどのようなエネルギー政策をとるかは、その次の話である。
それに、既に国立環境研究所はじめ様々な研究機関やNPOが、原発がなくても温暖化を防ぎつつ健全な社会・経済活動を持続させる手立て、エネルギー政策を提案している。
(日本政府は原発を動かしたい為に、あえて言えば、一部の利益のために、そうした提案を全く無視しているだけのことである。)

COP19も19日から閣僚級会議に入り、政治的な駆け引きが激しくなるだろう。
日本政府のみならず、各国政府も国益のために動くことは十分予想される。

しかし、そんな、人間のちっぽけな争いと関係なく、温暖化は既に人類の手が及ばないところまで近づきつつある。

日本政府の後ろ向きな姿勢は決して許されないことを示し、温暖化による甚大な被害が避けられない“運命”となる前に、人類社会存続のための英知を示すCOP19であってほしいと、願うばかりである。
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by JAES21 | 2013-11-19 12:59 | 藤村コノヱが斬る
石原さん、たった3.8%でよいのですか?
今月8日、フィリピンを直撃した台風30号は、猛烈な勢力だ。報じられるところによると上陸時の気圧は895ヘクトパスカル、風速はなんと90mにおよび、死者の数はまだはっきりしないが、1,000人を超え、12,000に上るとの現地報道もあるようだ。

いずれにしても温暖化により海水温が上昇すると台風の勢力を増すという現象を科学者は前から警告していたが、まさにその警告通りの現象が、悲劇的な姿で露呈してしまった。この台風は今はベトナムから中国を襲い、さらに大きな被害を与えることになるであろう。
温暖化に伴う異常気象の猛威をまざまざと見せつけられたようである。

丁度この頃、東京では、日本政府は、11日から開催されているCOP19 に向けて、日本としての温室効果ガス削減目標を05年比3.8%減に決定した。
先週の本欄で、藤村コノヱさんがこの数字で最終調整に入っている旨の紹介をしたが、政府はまさにその通りに決定した。コノエさんが書いているとおり、この数字は基準年を90年にすれば、3%増となるもので、京都議定書の-6%を大幅に下回ったものである。

しかも、この3.8%の中には、日本政府が力を入れている二国間クレジット制度による枠もカウントされるようなので、要は「日本企業は何もしなくていいですよ」いう数字になると見られている。

地球温暖化問題が、これほど厳しくなっているときに環境立国だとか攻めの温暖化対策などと標榜している安倍内閣の削減目標がこの体たらくでは、国内外に出すメッセージ力はほぼゼロ、何もしなくてもいい目標を示して、国際会議に臨もうとしているわけだ。

原子力発電が止まったままということが前提のようだが、要は政府関係者の中には、この低い数字を見せて、「ほら、やっぱり原子力発電がないとだめじゃないか」と国内外の原子力推進世論を味方に引き入れることを見込んでいるらしいが、そのような浅知恵ではだれも納得しないだろう。

私自身は、環境省の責任なかんずく石原大臣の無策を思うと、「何をしているんですか、石原さん」と言いたくなる。このような弛みきった削減目標では、日本の環境ビジネスを刺激することにも、また技術開発を促すことにもならず、日本企業が世界のマーケットで省エネ機器や環境機器を売ろうとしても説得力や迫力に欠けるものとなってしまう。

今、世界は、紆余曲折を経ながらも、恐るべき気候変動と向き合いつつあり、社会経済を立て直そうとしているときに、日本の為政者の能天気ぶりを見せることになってしまう。
その大きな責任は、環境大臣の石原さんが負わなければならない。
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by JAES21 | 2013-11-12 14:03 | 加藤三郎が斬る
意欲的な目標設定を!!
政府が2020までの国内での温室効果ガス削減目標を、2005年比で3.8%減とする方向で最終調整に入っている旨が報じられた。これは京都議定書基準年1990年比で約3%増となる値で、同じ自民党政権時代に麻生総理が表明した「05年比で15%削減(2009年6月)」と比較してもあまりに低い目標である。

原発事故以降、各地で多発する異常気象にもかかわらず温暖化対策が影を潜め、安倍政権に変わってからは、鳩山政権が掲げた「90年比25%減」のゼロベース見直など、停滞状態が続いていた。その為、京都議定書以降の世界の温暖化対策の起点となるCOP19(11月下旬ポーランドで開催)で日本政府がどのような目標値を掲げるか注目していた。
しかし、想定以上のあまりに低い目標値に愕然とする。

ここ数年、特にこの夏の異常気象は半端ではなかった。猛暑、豪雨、竜巻と、異常気象に伴う自然災害のニュースが聞かれない日はなかった。常に国民の平安を願われている美智子皇后が誕生日のメッセージでその旨述べられたのも、まさに人類社会の存続を危惧されてのことではなかろうか。

そしてIPCC第五次報告は、20世紀半ば以降の温暖化の主な要因が人間活動に起因することはほぼ確実(95-100%)であると科学的に裏付けた。

それでも、安倍総理は明けても暮れても「経済」で、温暖化には“鈍感力”を貫いている。

そんな総理には、是非スターン報告(2006年)と、本年の世界経済フォーラム(ダボス会議)でのスターン氏の発言を思い出してほしい。

2006年の報告書で、彼は、気候変動のリスクについて、2-3度上昇により世界のGDPの3%相当の損失が発生すると予測し、早期かつ強力な対策が経済学的にみて最終的に便益をもたらすであろうと結論づけていた。
そして、今年のダボス会議では、「現在私たちは4度程度上昇するコースをたどっている」、「私はリスクを過小評価していた。影響は当時考えていたより早く表れている」と述べ、「経済を環境志向にすることにもっと投資すべき」と述べている。

“経済”総理であるならば、是非、温暖化対策を経済の視点から再考してほしい。
そうすれば、今回の目標値がいかに大きな経済的損失につながるか、明確にご理解いただけると思う。
そして、COP19に向け、意欲的な目標を是非打ち出してほしい。
その決断に、多くの日本そして世界の、心ある市民が注視している。
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by JAES21 | 2013-11-05 13:37 | 藤村コノヱが斬る
異常気象に関する皇后陛下のご認識

10月も下旬だというのに、台風27号、28号が揃って日本列島を窺う形勢で被害が心配されました。しかし、幸い、心配された列島上陸もなく、甚大な被害もなく、東北のはるか沖合に消えていき、一安心しているところです。しかしながら、今年は様々な異常気象が世界を席巻したと言っても、オーバーな表現ではない年となりました。

9月末から10月を見ただけでも、インドシナ半島では大雨洪水が続き、10月9日、新潟県糸魚川市では、35.1℃の真夏日を観測し、12日には、インド東部で強力なサイクロンが発生し、そして、15日には、台風26号により伊豆大島で甚大な被害をもたらしています。特に伊豆大島では観測史上初めての1時間降雨122.5mmという最も強い雨が降ったことは驚きです。

このような気象災害が、人類がもたらした地球温暖化、それに伴う海水温の上昇といった一連の科学的な連鎖の現象であることは間違いないことでしょう。この事象を前にして、多くの人が温暖化との関係について疑いを深めているようですが、これに関連して、今月20日、79歳の誕生日にあたって、皇后美智子さまは新聞記者の問いへ次のようにお答えになりました。
大変印象深く私の中に残りましたので、少し長いですが、皇后さまのご回答をそのまま引用します。

『今年は十月に入り、ようやく朝夕に涼しさを感じるようになりました。夏が異常に長く、暑く、又、かつてなかった程の激しい豪雨や突風、日本ではこれまで稀な現象であった竜巻等が各地で発生し、時に人命を奪い、人々の生活に予想もしなかった不便や損害をもたらすという悲しい出来事が相次いで起こりました。この回答を準備している今も、台風26号が北上し、伊豆大島に死者、行方不明者多数が出ており、深く案じています。世界の各地でも異常気象による災害が多く、この元にあるといわれている地球温暖化の問題を、今までにも増して強く認識させられた一年でした。』

異常気象の多発は、その元に地球温暖化があり、正に、皇后陛下が「今までにも増して強く認識させられた一年でした。」とおっしゃっているとおりであると思います。

しかしながら、日本のメインストリームである政治や経済界からは、皇后さまのご認識にあるような意見は何一つ出てきていません。真実を見ようとしないで、何とか対策の強化から逃げることを考えているとしか思えません。同じ10月の15日、安倍首相が、所信表明演説をしており、成長戦略や外交・安全保障などについては熱っぽく語っていますが、温暖化問題への対応などへの言及は全くありません。

この問題を国民としてどう捉えるか。
対応・対策を強化し損ねれば、そのツケは私たちのところにやってきます。
伊豆大島だけが温暖化のツケを払う必要はないのですから。

皇后さま、79歳誕生日…質問とご回答の全文はこちら(YOMIURI ONLINE)
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by JAES21 | 2013-10-29 10:57 | 加藤三郎が斬る
2012年は異常気象ばかり
年が明け、世間の関心はもっぱら安倍新内閣が打ち出した経済政策に向けられている。
やれ株価が上がった、円が安くなった、と経済のお題に終始しているように見える。
しかし、私にとっては異常気象の頻発が心配だ。

私は毎年暮れに、私や家族そして職場である環境文明21周辺で、その年にどんなことが起こったか、手帳や記録を月ごとに見ながらまとめるのを行事としている。その中でも世界各地で起こっている異常気象現象についての記述が昨年は特に多くなった気がする。

主に新聞、海外放送を含むテレビ、報文・雑誌が情報源であるが、毎年、気の付いた異常現象も手帳に書き留めているのだが、それを見ると2012年は特に異常気象が頻発していたことを改めて実感する。

ちなみに昨年末、カタールで温暖化対策気候変動の国際会議が開かれたが、それに合わせて世銀と国連の気象庁であるWMOとが各々レポートを公表した。

【世銀レポート骨子】
・このままいくと今世紀末には、産業革命期の世界の平均気温よりも3.5~4.0℃上昇
 (現在は0.8℃程度昇温。それでも既に様々な異常発生)
・未来は、今日見る世界とは劇的に異なったものとなる
 (海岸都市の浸水、食料や水資源のリスク増に熱波や強力な台風などの頻発、生物相にも大打撃)

【WMOレポートの骨子】
・2012年の5~10月の半年の平均気温は記録的な高温。
・9月には北極海の海氷は前例のないほど減少
 (これまで最低だった2007年9月よりも約2割も減少)。グリーンランドの氷床も。
・9月にはアメリカ大陸の約3分の2が干ばつ被害。このほかユーラシア大陸の各地でも大干ばつ。
・台風、サイクロン、ハリケーンが北米やアジアで猛威。

これらを見聞きするにつけ、円安や株価の上昇といったことで、はしゃいでいる余裕があるのかと心配でならない。世界も日本の政治も、この大問題である気候変動問題に真正面から向き合い、対策を本気で進める年にしてもらいたいものだ。
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by JAES21 | 2013-01-08 14:34 | 加藤三郎が斬る



環境文明21の共同代表「加藤三郎」「藤村コノヱ」の両名が、時事問題等を斬る
by JAES21
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