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「パリ協定」の発効と企業の対応力

11月4日、「パリ協定」はついに発効し、7日からは、細則などを決めるための国際会議COP22がモロッコのマラケシュで開始した。日本が国会で「パリ協定」の批准にもたついている間に、世界は大きく動き出したのだ。

振り返ってみると、90年代には日本は間違いなく世界の温暖化対策のトップグループにいた。90年10月には、法律もないのに、地球温暖化防止行動計画を日本政府は策定し、国民や企業に温暖化対策に参加することを呼び掛けていた。97年にはCOP3を日本の古都京都に招致し、温暖化対策の歴史的な第一歩である「京都議定書」を締結するホスト国としての力を世界に示した。まさにこのとき、トヨタはハイブリッド車プリウスを世界に向けて売り出している。

このように、90年代の末くらいまでは、間違いなく日本は温暖化対策に熱心に取り組み、世界をリードする一翼を担っていたが、今世紀に入ると徐々に遅れだした。そのきっかけは、01年にブッシュ政権が成立すると米国は「京都議定書」から直ちに離脱してしまったことである。これを見ていた日本の経団連の電気・鉄鋼・化学などの業界は、アメリカが参加しないのに、日本ばかりが損をするとの思いからか、気候変動対策に消極的になっていった。経産省が言い出したか、経済界の一部が言い出したかは定かではないが、この辺りから「京都議定書は、安政の不平等条約以来の不平等条約であり、こんな条約を結んだ日本は誤った選択をした」と言って憚らなかった。当時、私は、ずいぶん大胆なことを言うとある意味感心していたが、何のことはない。アメリカが止めたからアメリカに従っただけである。当時も今も、日本の経済界と産業行政官の間には、アメリカのことしか見ていない人がいる。しかし、そのアメリカのオバマ政権は、8年間、終始気候変動に取り組み、フランスを中心とするEU諸国とともに中国・インドを巻き込み、「パリ協定」を作らせ、一年足らずの短期間で発効させた。

このパリの会議に、ビル・ゲイツを始め、たくさんの欧米企業のCEOが集まっていたのは、企業者として時代の流れの方向感覚の鋭さを示している。つまり、気候異変の現状から見るととんでもない異常気象とそれに伴う甚大な被害が予想されるなかで、これに対抗するための新しいビジネスを起こす確信を持っていたからであろう。日本の企業者の中にも、もちろんそのようなセンスを持った人もいたと思うが、しかし、経団連・経産省に代表される一部産業界には、センスも力もなかったと言わざるを得ない。

私は、この日本の遅れは、一世紀以上に亘って温室効果ガスを相当量出し続け、豊かな工業国を築き上げた日本としての責任感の薄さがまず以て気になるし、それとともに世界の産業界の潮流からさらに後れをとることも心配である。

環境文明21は、そんな思いから、この11月30日(水)の午後、「世界に後れを取ったか!?日本企業の気候変動対策」 と題して、シンポジウムを開催する。このシンポジウムにおいては、アメリカに滞在していて、アメリカの企業の動きに詳しい田中めぐみさん、日本の環境政策の動きや、企業の動きをフォローしている朝日新聞の石井徹さん、長期の脱炭素発展戦略に向けて研究している京大名誉教授の松下和夫さんを招いて、大議論をするつもりである。ぜひ、このシンポジウムに多数のご参加を期待している。





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by JAES21 | 2016-11-08 17:30 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
丸腰になるか、日本の国際温暖化対策
2013年になって、温暖化の国際的な法的世界は、京都議定書の延長期間に入った。
日本は、一昨年の段階で、延長京都議定書には、削減数値を掲げて参加しない旨表明しているので、延長京都議定書からは日本はほぼ発言権を失い、丸腰になってしまった。

もちろん、2015年までに定めるという2020年以降の新たな国際的な温暖化対策法的枠組み議論への参加は可能だが、日本の足場はかなり弱いものとなってしまった。

NPOをはじめ、温暖化対策に関心を有する者からは、延長京都議定書への不参加により日本は、将来への枠組みづくりへの発言権を失ってしまうと警告を出していたが、政府、特にその背中を押している経団連の主要業界の京都議定書憎しの執念が日本をこのような立場に追いやってしまったと言ってよいだろう。

今になって延長京都議定書からの離脱を悔やむ声もちらほらあるようだが、最早手遅れである。

次期の枠組みは中国などの途上国、延長議定書に留まっているEU、そしてアメリカをメイン・プレイヤーとして構築され、日本の発言権の減少、いわんやリーダーシップなどはなくなるだろう。国内への配慮を優先して国際対応を無視するいつものやり方の落とし穴である。

京都議定書を「安政の不平等条約以来の不平等条約」、あるいは「京都議定書はEUの陰謀」などと言って、京都議定書を生み出したホスト国であったにも拘らず、産業界の一部がこれを冷遇した結果が、悔いることになるであろう立場に追いやってしまった。

しかし、こんなことをいつまで繰り返しても仕方がない。

まず、日本の省エネ技術や環境技術を基に、積極的に国際温暖化戦略づくりに参加しようとするならば、少なくとも、日本の法的拘束力のある温室効果ガス削減目標を法律に基づいて速やかに設定すべきであり、そして、その削減目標を達成するための現実的で野心的な対策計画を速やかにつくらなければならない。

安倍政権は、それを担う責任があるのに、景気浮揚ばかりに気がいっているように見える。安倍政権で、まともにかつ真剣に温暖化戦略議論ができるのかどうか、疑念を持ちながらも注視していきたい。
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by JAES21 | 2013-01-22 18:00 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)



環境文明21の共同代表「加藤三郎」「藤村コノヱ」の両名が、時事問題等を斬る
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