環境文明21は、環境負荷の少ない持続可能な環境文明社会の構築を目指す環境NPOです。
  

今こそ抜本的転換を
東京電力の福島第一原発の事故からちょうど5年になる。東電はじめ関係者による事故処理は、必死になされているようではある。それでも原発周辺の自治体では、除染などが進み避難解除が進んできても、この5年間の生活パターンから元の福島の生活に戻ることは難しく、人口の大幅減少は続いているし、今後の復活の見込みもかなり困難な状況である。

そのような中にあっても、日本のエネルギー環境政策は、原発の再稼働や石炭火力発電所の新増設の動きを強めるなど、まるで旧時代への復古調が著しい。

その一方、昨年末に画期的な合意とされたパリ協定が、発効する先を見据えて、世界の主要な国や企業は、脱化石に向けて活発に動き出している。特に、自動車業界、金融、IT関連、あるいは地方公共団体などでの先取りの動きは、かなり顕著なものがある。伝えられるところによると、アメリカでは多数の市長や下院議員が、再生可能エネルギーの比率を2030年には50%、2050年には100%を目指すと表明しているという。また、米議会では、再エネ関連の税控除が5年間延長されることになったようである。当初は、共和党からの激しい反発により、延長は不可能と見られていたが、時代の流れを読んだ新たな動きと見ることも出来る。さらに、金融や投資機関は、最早、パリ協定が目指す「脱化石社会」を先取りするがごとくに、例えば石炭火力など、化石燃料に投資している企業から資金を引き揚げようとする動きや、また、逆に再生エネ比率100%実現を宣言する企業なども増えているようである。

このように、世界はパリ協定の発効を先取りするごとく一斉に動き出している感が深いが、日本は相変わらずである。日本の中でも温暖化対策はこれまで、相当な努力は続けられていたことは確かである。照明をLEDに替えたり、ハイブリッド車を普及させ、そして水素燃料社会を目指す動きも出てきている。しかしながら、国内でのCO2など温室効果ガスの排出量は、90年時点から、多少の増減はあったもののほぼ横ばいで、直近のデータでは、原発停止の影響も多少はあるにしても、90年から7.5%の増加を示している。米国をはじめ欧州の主要国などは、この間に温室効果ガスの排出を相当減らしているのに、日本は足踏み状態を続けているのだ。

さすがに、省エネ法の規制強化を図るなど、経済産業省もかなり力を入れているようであるが、根本のエネルギー構成比率は、パリ協定が合意された後でも、全く変えようとしていない。即ち、2030年において、原子力は総発電量の20~22%、再生エネは22~24%、石炭は26%といった電源構成は変えていないし、パリ協定を受けて、この比率を変更する議論を寡聞にして私は知らない。メディアも本気になってこの問題を取り上げているようにも見えない。

こう見ると、繰り返しこの欄でも主張してきたように、日本はエネルギー・環境政策の部門で、世界をリードするどころか世界のトップランナーの背中も見えないほどに遅れてしまったと言っても過言ではなかろう。ソーラーパネルの技術開発や普及を真っ先に尽力したシャープが今、日本の原子力優先・再生可能エネ軽視の政策も背景にあってか、台湾のホンハイに買収されようとしつつあるのも、このまま行くと日本の先端企業全体の運命を暗示しているように見えるのは私だけであろうか。

エネルギー・環境政策を抜本的に転換しなければ、日本に未来はないのだ。
[PR]
# by JAES21 | 2016-03-01 17:30 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
「パリ協定」は、「環境力」溢れる経営者への祝砲
先週の2月19日、第8回経営者「環境力」大賞の授賞式が行われた。
環境文明21と日刊工業新聞社の共催で(最初の3年間は地球環境基金の助成を受けて)毎年開催しているが、今回も「環境力」溢れる中小企業の経営者の話を聞くことができ、非常に有意義な会となった。

これまでにも約40名の経営者を表彰しそのお話を聞いているが、共通する点は、儲けより会社の持続性を重視している点、従業員や地域を大切にしている点、限られた経営資源の中でそれぞれの技術や経営に工夫を凝らしている点、勉強熱心である点、高い志を持って社会に貢献しようとする点、そしてやり遂げる勇気と信念などである。
毎回、大企業では失われつつあるものを彼らは持っていることに気づかされる。

昨年末にパリ協定が発効した際、当方の会報に西岡秀三先生が「環境文明への祝砲」という、我々の活動を後押しするメッセージを送ってくれたが、パリ協定は、「環境力」ある経営者への祝砲でもあると思う。

経団連などは、「2℃さえも難しいのに、1.5℃など不可能」といった反応を示している。
しかし、それは、これまで様々な分野で、厳しい目標達成に向け、頑張ってきた日本の技術力、日本人の勤勉さを最初から諦めているに等しく、「負け戦」を宣言しているようなものだ。これでは、イノベーションも起きるはずがない。

それに比べて、省エネ・省資源を可能な限り追求し、コストダウンも併せて実現してきた中小企業の「環境力」ある経営者には、その先の取組や工夫に期待が持てる。

確かに、これまでの延長では1.5℃を達成することは不可能であろう。
しかし、だからこそ、そこに新たなビジネスチャンスがあるはずだ。

会社を持続させるためには、この試練にも勇気をもって立ち向かわざるを得ないことを自覚して、これまでの努力に、新たな知恵を加え、従業員、そして地域とも連携して頑張ってほしいと思う。
[PR]
# by JAES21 | 2016-02-23 17:30 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
廃棄物処理は地球を磨く仕事
しばらく前のこと。
廃棄された冷凍カツなどが転売された事件が、人々の注目を集めた。

何せ、本来は廃棄物として適正に処理されていなければならなかったものが、スーパーなどを通じて、堂々と食品となり人々の口に入っていたというのだから、人が驚くのも当然である。
このニュースに接した時に、私が思ったことは、たった一社の不正行為のために、産廃業者の信頼がまた失墜するのではないかという懸念と共に、まじめに働き、廃棄物処理事業に携わっている多くの人のため息が聞こえるようで極めて残念であった。

実は、私は30年ほど前、3年足らずではあったが、厚生省で廃棄物行政を担当していた。この頃も不正投棄事件などもいろいろあって、廃棄物処理に係る業界に対する社会の目は、とても厳しいものであった。それに加え、汚れ仕事ゆえに社会からのいわれなき偏見や誤解に苦しむ真面目な業者は少なくなかった。

実際、福岡県のある業者が社会の偏見に苦しむ心やまた、社会から投げかけられる心無い言葉やしぐさに対する静かな抗議を込めた詩歌集を出版していた。そこにはこんな句が書き連ねてあった。

清掃夫 悔しき事の多ければ ひたすら求む一杯の酒

職をもて 卑しむ人とされるわれ 幾夜悩みぬ人間の価値

それを読んだ私は、廃棄物処理という極めて重要な仕事に携わる人に対する応援歌をつくろうと思い立ち、次の清掃賛歌を詠んだ。

清掃賛歌
1.清掃は地球を磨く業なるぞ これほど大事な職はあるまじ
2.清掃はかくも貴き仕事なのに なぜひ世間はそれを解さぬか
3.清掃に精を出してるわが友よ いざ誇らかに頭を上げよ

それから30年。
この間、社会で無くてはならない廃棄物処理に携わる人々の人知れぬ努力により、社会からの信頼もずいぶん増してきたのではないかと思われていたこの時期にまたしても不祥事件の発生である。しかしながら、数ある業者のうちの一社が行った不正により、業界全体が悪く見られる謂れはない。これまでと同じように倦まずたゆまず、社会にとって不可欠な仕事を続け、社会の信頼を積み上げていくしかない。また、それが可能なよう、行政も業界中枢としても、様々な制度の改革を続けていく必要がある。
[PR]
# by JAES21 | 2016-02-16 17:30 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
石炭火力発電所新設容認でいいのか??
石炭火力発電所の新設計画にアセスで異議を唱えていた環境省が、建設を容認したことが報じられた。

温室効果ガスを大量に排出する石炭火力を新設することは、たとえ、効率の良いものであっても40-50年にわたり、CO2を排出し続けることから、世界中の環境NGOは、この新設に対して強く反対してきた。

NGOだけではない。米国政府は石炭火力発電所からのCO2排出に強い規制をかけ、イギリスは同発電所を2025年までに全廃することを決めている。さらに、石炭火力に対する投資の引き上げも始まっており、日本の動きに対して、国際的にも強い批判もある。

にもかかわらず、環境省が温室効果ガス管理強化の条件付きとはいえ、新設容認したことは、電力会社、短期的経済優先の現政権の圧力に屈したことに他ならない。

昨年末採択された「パリ協定」では、世界の平均気温の上昇を「2℃を十分に下回るレベルに抑え、1.5℃に止めるよう努力する」と明記された。これは、世界が脱炭素社会へと舵を切ったことを意味するものであり、これからの気候変動対策は従来の延長線ではなく、中長期視点での厳しい対策が不可欠となった。

しかし、国内では、早くも「1.5℃など無理」といった消極論が産業界から出ている。
それを反映して、昨年12月22日に開催された地球温暖化対策推進本部(本部長は安倍首相)の会合では、「2℃目標が世界の共通目標となり」という説明文を添えた地球温暖化対策の取組方針を決定するなど、世界の動きに反するものばかりが目立つ。

「1.5度は無理」などと言っている業界に、将来はない。
そして、石炭火力の新設容認や1.5℃を消してしまった取組方針は、まさに短期的経済優先の現政権の意向を反映したものであり、それに屈した環境省にはがっかりである。

それでも、私たちには、将来世代への責任がある。
日本の環境政策の中心を担う環境省には、善良なる国民、次世代の若者、そして私たちのような環境NPOを味方に付けて、その使命を全うしてほしいと強く願う。
そうでなければ、その存在価値さえ危うくなってしまうのではなかろうか。
[PR]
# by JAES21 | 2016-02-09 17:30 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
「無電柱化推進法」成立の期待
本日、2月2日付の毎日新聞によると、全国245人以上の首長からなる「無電柱化を推進する市区町村長の会」が昨日首相官邸にて安倍首相と会談し、電線の地中化を推進化する法案の成立と自治体の負担軽減のための予算確保を要請したという。

記事によると首相は、「国民誰もが賛成する話だ。2020年の東京五輪・パラリンピックまでにスピードを上げ、頑張って進めましょう」と前向きな姿勢を示したという。私自身は、この問題に随分前から関心を持って見てきた。

若いときに三年間、パリにあるOECD代表部で環境担当の書記官として過ごしたあと、東京に戻ると、都市景観が電線電柱、野外広告などが一杯で、本来ならもっと美しい街の景観が損なわれていることに心が痛んだ。また、ひとたび地震や台風などの災害があったときは、電柱・電線は復旧を妨げる大きな原因であると見ていたからである。

今から37年程前、当時、環境庁の若手職員が自主的に立ち上げた、アメニティ研究会の座長であった私は朝日新聞の論壇に「電線を地下に埋めよう~美しく安全な都市を作るために(昭和53年10月14日付)」と題して投稿したことがあった。すると、すぐに東京電力の担当者が、環境庁の私のところにやってきて、電線電柱の地中化は無理だということを強調して行った。その時の理由は、地中化はコストが極めて高いこと。また、停電の際には、地中にあるとどこで停電したか分からず復旧が遅れるなどを強調していたように今でも覚えている。

この二つの理由のうち、地上に比べコストが高くなることは、当時も今も理解しているが、どこで停電したか分からないというのは、未だに理解出来ない。
なぜなら、ヨーロッパなどでは地下化は早くから進められ、どこで停電したか分からないという話は聞いたことがないからである。

それはさておき、37年前とは異なり、今の日本は、高度経済成長期ではない。人口は減り、高齢化が進み、ある意味、落ち着いた社会になりつつある。そのようなときに、都市を中心にかつて日本の街がもっていた品格を取り戻すには、電柱・電線の地中化はちょうどよい。電柱・電線が地中に入ると、屋外の広告物の乱雑さも目に直接飛び込むようになり、これもなんとかしなければ、という動きになるだろう。この他、電柱があると、歩行者や自転車の交通にもかなりの差し障りがあるので、この観点からも地中化が望ましい。

オリンピックがあろうとなかろうと本来、もっと早く進めてしかるべき対策であるが、心ある地方の首長さんたちも立ちあがったようで、この動きは大歓迎だ。

記事によれば、自民党は昨年「無電柱化推進法案」を取りまとめており、今国会に提出する予定であるという。野党の協力も得ながら、ぜひ早期に成立させてほしいと思う。
[PR]
# by JAES21 | 2016-02-02 13:41 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
排出事業者にも責任はある
廃棄食品の転売が大きな問題となっている。

自給率40%を切る日本では、食料の多くを海外から輸入しているにもかかわらず、家庭から未使用の食品が捨てられ、今回のように廃棄するには勿体ない食品が捨てられること自体、大問題である。
しかし、ここでは廃棄物処理に誠実に取り組む人たちを知っている者として、今回の事件について感じたことを述べたい。

当然のことながら、適正処理を行わず横流ししたダイコーと、廃棄物と知りながら仕入れたみのりフーズの行為は決して許されるものではない。
しかし、そこだけに問題点があるわけではなく、廃棄物処理を取り巻く環境、とりわけ処理を委託した排出事業者や業界を指導・監督する行政(特に県)に責任はないのだろうか。

排出事業者には、自ら排出する産業廃棄物を自ら処理する責務があるが、その処理を処理業者に委託した場合には、中間処理や最終処分の終了をマニフェスト(書面又は電子データ)で確認することが義務づけられている。また、処理状況の現場確認も努力義務として課せられている。しかし、今回の事件もそうであったように、マニフェストは処理業者の自己申告に基づくものであり、現場確認も手間がかかるためその場限りのケースが多く、不正が見抜けないという実態もあると聞く。

その一方、排出事業者の中には、処理価格の安さだけで処理業者を選択することもまれではなく、そのことが、産廃業界の“安かろう、悪かろう”の悪しき慣習と悪徳業者の温存につながっているとも言われる。

複雑化する産業廃棄物を安全かつ適正に処理し、可能な限り資源にしていこうとすれば、それなりの費用がかかる。しかし、処理業者にとって「お客様」である排出事業者に対して強いことは言えず、仕事欲しさやこれまでの慣習で、安価な処理費用で請け負うケースも多いと聞く。そして、このことが、適正な価格で適正な処理を行おうとする処理業者の足かせになっていることも事実である。
また、排出事業者から排出される廃棄物に関する情報がないために、処理過程で火災などの大事故をおこすケースもあり、産業廃棄物業界の災害率は他業界に比べて高い。

今回の事件を契機に、改めて、適正処理、そして資源循環という廃棄物処理業に課せられた社会的使命を業界・個々の事業者が深く認識し、自らが襟を正し、全うすることは当然である。
それと併せて、排出事業者は自ら排出する廃棄物の処理に責任を持ち、廃棄物情報をこまめに処理業者に知らせ、中環処理や最終処分の状況を自ら確認する、そして何より、 安全かつ適正な処理にはそれ相応の費用がかかることを認識し、その責任を全うできる体制を社内に整備することも必要ではなかろうか。
さらに行政には、取り締まりを強化し悪徳業者の排除に全力を尽くすことはもとより、行政、排出事業者、処理業者、そして市民も含めた関係者の情報交換の場を設けるなど、健全な資源循環社会に向けた取り組みが社会全体で進むよう、そんな取組も期待したい。
[PR]
# by JAES21 | 2016-01-26 17:30 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
「パリ協定」の骨肉化のために
京都議定書の後を引き継ぎ、2020年からの気候変動対策の法的枠組みをいかに構築するかを巡り、長年に亘り、厳しい議論を続け、紆余曲折を経て「パリ協定」が歴史的な合意を達成してから一か月余が過ぎた。この間、国内外でパリ協定をどう評価するかいろいろな意見がマスメディア上には出ているが、まだ、協定の中身を骨肉化したと言える状況ではない。

「パリ協定」という名の外交文書は確かに全員一致で採択されたもののまだ発効していないことはもとより、正式な訳文すらまだない段階で、議論の進展を期待するのは無理なことかもしれない。しかしながら、「パリ協定」の意義の重大さを考えると、出来るだけ早くこのパリ協定が、私たちの社会に投げかけているメッセージをどう受け止めるか、各方面で活発な議論が展開されることが期待される。

この「パリ協定」が採択された直後の12月18日、私たちもメンバーである「グリーン連合」は、声明を発している。この声明文自体、非常に重要であるが、特に第3項において、次のように述べられている。


3.今回のパリ協定に示されたメッセージは、産業革命以降、エネルギー源として化石燃料 を大量に消費し物質的に豊かで便利な経済社会を築いてきた過去2世紀余に及ぶ都市・工 業文明を大転換し、低エネルギー消費社会の実現を一層推進するとともに、温室効果ガス を排出しない再生可能エネルギーへとエネルギー源をシフトすること、すなわち、「脱炭素」 社会の実現に社会が大きく舵を切ることを意味する。

言うまでもなく、これは国内的にも国際的にも数々の困難を伴う大仕事である。

しかし、 昨今の気候激変のスピードを考えると、パリ協定が明示するように、「今世紀の後半」には 温室効果ガスの実質ゼロ化に向けて社会のあらゆる体制を速やかに整えなければならない。


ここにあるように、気候変動の激変のスピードがますます上がってきたことを考えると、従来IPCCが今世紀末に温室効果ガスの排出をゼロ又はマイナスとしていたことが前倒しにされて、今世紀「末」ではなく、「後半」となっているところに注目する必要がある。すなわち、私たちの経済、ルールを決める政治、経済を支える技術、そして何よりこれら全体を支える教育もやはり今一度根本から見直すべきであろう。

日本の社会について言えば、ポツダム宣言を受けて日本が無条件降伏し、新しい憲法の下で再生・出発したように、私たちも「パリ協定」を受けて、あらゆる面で変わらなければいけない。そのためには、単に技術や経済の一部であるとか、物質的な豊かさを求めGDPの増大ばかり目指してきた政治であるとか、そして、そのようなことに都合のよい人材の育成を第一の目標にしていた教育も、速やかに変わらなければいけない。

私たちの社会が、持続不可能な社会にまっしぐらに突き進んでいる現状からすれば、このような変革は「パリ協定」があろうとなかろうと、必要なことではあったのだが、なかなかそのきっかけを得ることが難しかった。「パリ協定」こそ、多分、最後(?)のきっかけとなるべきである。そのためには、「パリ協定」をどう受け止めるか、実現するための道は何かといったことが、あらゆるところで活発に議論され、パリ協定に盛られた意思や施策の実現に向けての活動が活発に展開されることを期待したい。


グリーン連合声明文全文はこちら
[PR]
# by JAES21 | 2016-01-19 17:30 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
消えてしまった1.5℃

昨年末に採択されたパリ協定を受け、気候変動に立ち向かうための新たな時代の幕開けとなった。

そうした中、長いお休みを経てやっと国会が開会されたが、気候変動対策に関する議論は全くなく、相変わらずの選挙をにらんだ政争が続いている。

ところが多くの人が知らないところで、安倍総理を本部長とする地球温暖化対策推進本部は、国内対策の取組方針を12月22日に決定している。

しかし、内容は誠にお粗末としか言いようがない。

特に問題なのは、前文において、「パリ協定等において、2℃目標が世界の共通目標となり・・、」としている点である。
パリ協定では既に深刻な被害が出ている途上国からの強硬な意見を反映し、「世界共通の長期目標としては、工業化以前の地球の平均気温からの昇温を2℃よりも十分下回るよう抑え、1.5℃未満に止めるよう努力する」としたことが功を奏して、途上国を含む全ての国が参加する形で採択された。
にもかかわらず、日本政府の取組方針では1.5℃未満という文言を消し、2℃目標が世界の共通目標としている。これは、日本政府がパリ協定そのものを軽視しているととられかねないし、実際に気候変動に対する危機感のなさや覚悟のなさを露呈するものである。

また、「来春までに地球温暖化対策計画を策定するが、策定に向けて中央環境審議会・産業構造審議会の合同会合を中心に検討を行う」とした点も問題である。
勿論、この両者の意見が公正・公平に政策に反映されれば問題ない。
しかし、これまでの長年の経緯を見る限り、経産省所管の産業構造審議会の意見が重視され、環境省所管の中央環境審議会の意見は軽視され続けている。
特に、現政権においてその傾向は顕著であり、実際に、COP21に向けての日本の約束草案も合同部会が組織され議論されたが、温暖化防止の観点からのエネルギー構成に関する議論は殆どなく、最終的には日本は低い削減目標値しか示すことができなかったという経緯がある。
そして、今回の国内対策の取組方針に、1.5℃未満という文言を書きこめなかったこと自体、その力関係を如実に表している。

パリ協定の精神を根底に、危機感を持って日本が気候変動対策に取り組むには、やはり私たち市民が本気になって、政治を動かす力を持たなければ、と強く思う。
[PR]
# by JAES21 | 2016-01-12 17:30 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
リーダーの責任は重大
これが私にとっては本年最後のブログとなる。

年末に発生した事件のなかで特に私が気になったのは、東芝不正会計問題である。その内容や経緯を詳しく知っているわけではないが、この不正問題のために発生した様々な損害の故に、東芝は、国内外の事業所・工場などで働いている約1万人の社員をリストラせざるを得なくなったという。一万人前後と言えば大変大きな数だ。東芝といえば、言うまでもなく日本の名門企業で、人もうらやむ一流企業でもあった。おそらく子や孫を就職させるならば、このような会社にと願った親は多かったであろう。この不正会計問題は、一社員が操作したものではない。社長を含むリーダーたちが意識的に行った不正であり、その結果は、東芝に誇りを持ち、まじめに働いていた多数の社員の人生を大きく曲げてしまうことになった。

同じような問題は、5年近く前に起こった東電福島第一原発の未曽有の事故の場合にもあった。この場合、事故の直接のきっかけは、マグニチュード9という巨大地震とそれによる津波であるが、しかし、専門家たちはかねてから大津波の発生や原子力の安全性についての問題点を指摘していた。東電のリーダーたちがそのような耳に痛い指摘にも耳を傾け、必要な対策を取ったか否かが、地震事故の大きさに極めて大きな影響を与えた。これに関係した当時の歴代リーダーたちの責任は、重く問われなければならないし、現に問われている。この二つの例に限らず、組織の大中小に限らず、リーダーの責任は重いということを改めて思い知らされた。

暮れの24日に安倍内閣が平成28年度の予算案を決定した。政府予算としては過去最大規模の96.7兆円だという。中身を見ると来年夏に実施される参議院選挙対策用の施策が盛り込まれているのを読み取れる。そして、28年度予算案に限ったわけではないが、歳入の35%近くが国債依存であり、国と地方の借金は一千兆円を超える天文学的数字のままである。この借金はいずれにせよ国民が返していかねばならないが、そのツケ払いをするのは少し先の世代になる。安倍首相をはじめ現内閣の閣僚は、その頃は少なくとも現在のポストにはついていないであろうし、従って、直接、責任を問われ苦労することはないだろう。

よく言われることだが、今日と明日の繁栄だけを求めて、5年先、10年先、20年先の影響は考慮しないという手法が、安倍内閣だけでなく日本の政治に定着しつつあるのは極めて遺憾だ。そのような中で私が特に心配しているのは、日本はいつの間にか、教育に対する公的支援が先進国のなかでも最下位のレベルに落ち込んでしまったことである。今度の予算案でも今でも足りない教員の数をさらに減らしている。雇用の面でも非正規で働く労働者の数は4割くらいになる。こういうことを考えると日本の将来を担う子供の教育、さらにこれからを担う若手や中年の労働者の労働条件といった日本の基盤をもっとしっかり整えておかねば、将来、生活保護世帯を激増させる結果になるのではないか。いずれにしても、国のリーダー(与党に限らず野党も含め)たちの責任は極めて大きい。

明2016年がもう少し希望の持てる年になることを願いつつ、本年のブログを閉じる。
再見!良いお年を!
[PR]
# by JAES21 | 2015-12-28 17:30 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
次世代が健全に育ってこそ、社会は持続する

今年も残すところ、あと10日ばかりとなった。
今年は、異常気象のますますの顕在化、ISによるテロの拡大、そして安保関連法成立など、国内外ともに持続可能な社会からますます遠ざかるような出来事ばかりが続いた。
幸い、COP21では「脱炭素社会」へと世界中が大きく舵を切ったが、人間のあくなき欲望を抑え、次世代により良い環境を残せるかどうかは、わからない。

そんな中、来年度の一般会計予算案が96兆7千億円程度と、過去最大になる事が報じられた。防衛費と公共事業、ODA予算などは増額され、予算に占める借金の割合は約35%と先進国で最悪の状況だという。財政再建など口先ばかりで、まさに従来の経済成長路線の延長と軍事拡大路線で、企業・強者にやさしく、次世代・弱者に冷たい現政権の姿勢そのものの予算だと感じる。

一方、18歳選挙権に伴い、高校生の政治活動を封じ込めるような動きが一部の県や政令市の教育委員会で出ている。「安全確保」ということが理由らしいが、選挙権を18歳と決めた時点で、当然予測できたことであり、いまさら何を、という感じである。

以前にも書いたことがあるが、ドイツの中学校を訪問した際、前日の国政選挙の地元での投票率と各議員の得票率が掲示板に張り出され、また教室では、地元の空港跡地の利用に関して、市長に政策を提言するための議論が行われていた。
当時はこうした授業を国内で見たことがなかったため、これが持続可能な社会のための環境教育であり、民主主義教育だと感動したことをいまでも鮮明に覚えている。

先日も日本のGDPに占める教育機関への公的支出は0ECD加盟国中最下位との調査結果が出た。そして来年度予算でも教職員数は削減される見通しだ。経済格差が教育格差も生み出す現状の中で、次世代を担う子どもや青少年への教育は、日本では人的にも経済面でも本当に軽んじられていることが、これらのことからもわかる。

「全ての子どもや青少年が、安心・安全な環境の中で、元気に、心豊かに暮らせる社会」
次世代が健全に育ってこそ、社会は持続する。
パリ協定は、気候変動だけでなく、次世代重視の社会づくりのための世界の誓いでもあることを、忘れてはならない。
[PR]
# by JAES21 | 2015-12-22 17:30 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)



環境文明21の共同代表「加藤三郎」「藤村コノヱ」の両名が、時事問題等を斬る
by JAES21
カテゴリ
全体
会報巻頭言『風』
加藤三郎が斬る
藤村コノヱが斬る
共同代表が斬る
はじめにお読み下さい
未分類
以前の記事
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 05月
フォロー中のブログ
最新のコメント
コメントありがとうござい..
by JAES21 at 15:12
アメリカでできることがな..
by 神戸山太朗 at 11:46
(NO3)小生などは、竹..
by 神戸山 at 09:56
(NO2)2日はまた、家..
by 神戸山太朗 at 09:54
小生宅のお正月風景。お正..
by 神戸山太朗 at 09:50
同意です。アベノミクス以..
by 環境問題を憂う者 at 18:35
少し腹が立ちました。宮沢..
by 浅田益章 at 02:08
リニア計画については、私..
by はじめまして at 13:19
エキサイト初心者です ..
by 始めましてsanaeこと 立花早苗です at 15:54
はじめまして。HPの文章..
by 島田敏 at 16:49
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧