環境文明21は、環境負荷の少ない持続可能な環境文明社会の構築を目指す環境NPOです。
  

米大統領選における気候変動問題の行方
候補者の戦いが連日熱く繰り広げられている。

アメリカの大統領選と言えば、共和党、民主党とも各州毎の予備選を入れると、ほとんど1年に及ぶ長い過酷な選挙運動ということになるのだが、今回の大統領選挙は異例づくしと言ってもいいのではないだろうか。

異例の第一の理由は、言うまでもなく、不動産王と呼ばれ、公職選挙で選ばれた政治経験がないドナルド・トランプ氏の型破りな言動である。最初の頃は、アメリカとメキシコの国境に大きな壁を作り、その費用はメキシコに持たせるとか、イスラム教徒の入国を禁止するとか、女性に対する侮辱的な発言とか、物議を醸す発言を繰り返して注目されたが、そのような言動は、これまでの選挙運動中、基本的には一切変わらず、共和党の正式大統領候補となった。その過程も、紆余曲折あったが、既得権益層を、言葉を選ばず攻撃している。特に共和党が長いこと大事にしてきた「自由貿易」に対し、国内の雇用を奪うなどの理由で、極めて否定的な意見を述べ、さらに移民に対しては厳しい立場を維持し、アメリカ第一主義を高らかに宣言している。しかも、競争相手に対しては、党内・外を問わず、悪口雑言、中傷発言を厭わず、極めて攻撃的な姿勢を貫き、共和党の正式候補者にたどり着いた。

一方、民主党のヒラリー・クリントン氏は、言うまでもなく、かつての大統領夫人であり、上院議員も務め、オバマ政権では国務長官を務めるなど、華麗と言ってもいい政治人生を過ごしてきたが、そのヒラリー氏に対し、トランプ氏は、言葉を選ばず、例えば既得権益層の「あやつり人形」であり、彼女は大企業の言いなりになっていると決めつけ、国務長官時代のメール問題なども激しく批判している。

このような悪口雑言の批判ではなく、私がぜひ聞きたいのは「環境・エネルギー政策」だ。当ブログでも紹介したと思うが、5月末にはトランプ氏は、「パリ協定」は拒否すると明言している。トランプ氏に限らず、アメリカの共和党のなかには、温暖化対策に極めて消極的…というよりむしろ否定的な人も多いので、せっかくオバマ大統領が苦労を重ねてたどり着いた「パリ協定」の発効も、難しくなることを恐れている。

一方、クリントン氏のほうは、もちろん、「パリ協定」を拒否するなどとは全く言っておらず、むしろ、気候変動対策を推し進める立場であるが、現時点で両者の間で、この重要問題をめぐる本格的な論戦は私が知る限りは無い。

日本の今回の参議院議員選挙でも、気候変動問題に対するまともな議論が無かったことを考えれば、無理もないことかも知れないが、それにしても人類の運命は、「パリ協定」をどう実施していくかに掛かっているかを思えば、この問題に重大な関心を寄せる世界中の人々が固唾を飲んで注視している筈だ。

11月8日の本選挙まで、あと3か月半ほど。
両党の大統領・副大統領候補が正式に決まった今、気候変動対策を含む持続可能な社会をどう作るかについても本格的な論争を期待したい。
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# by JAES21 | 2016-07-26 17:46 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
諦めてはいけない
参院選の結果については、前回、加藤共同代表が述べた通り、予想はしていたが、あれほどの差が出るとは・・である。

大勝の結果を受け、安倍総理は自慢げに「国民のご支持を頂けた」と述べた。
しかし、多くの国民が積極的に支持したわけではないことは、次のような数字が示している。

例えば、投票率は54.70%と第1回目以降4番目の低さである。また朝日新聞が行った選挙直後の世論調査では、与党勝利の理由として、「野党に魅力がなかった」とした人が71%で、「安倍総理の政策が評価されたから」の15%を大きく上回っている。要は、政治に魅力がないから投票に行かない、野党に魅力がないから「まだまし」な方に投票したという、ある意味で国民の素直な気持ちが表れた選挙結果である。

そのことを安倍政権はしっかり認識すべきだが、これまでの、“選挙前は経済、選挙後は憲法改悪”といった二枚舌的、かつ、自己の信念に過度に執着するやり方を見ていると、そんな謙虚さは望めそうにない。
クーデター騒ぎで、トルコのエルドアン大統領が注目されているが、初めての国民投票で大統領になった彼が、徐々に強権政治に向かう姿と、安倍政権とが重なって見えるのは、私だけではないように思う。

一方、野党も、アベノミクスが間違いであれば、それに代わる新しい経済の姿を示すべきで、それができないのでは、「魅力的な野党」には成り得ない。
また、憲法改正に関しても、「ダメなものはダメ」だけでなく、例えば、「9条は絶対に変えない」けれど、「気候変動への対応など時代の要請に応えるべきところは検討しよう」といった議論を展開しなければ、『憲法=9条』といった狭い認識と議論から何も進まなくなってしまう恐れがある。

しかし、政治家は、自らは変わろうとしないし、変われない類の人たちである。
それを変えるのは、やはり、私たち市民、特に“気づいている市民”しかいないように思う。
持続可能な社会からますます遠のく現状、政治家の不甲斐なさと市民の政治意識の低下に失望の連続だが、諦めてはいけない、と自らに言い聞かせるこの頃である。
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# by JAES21 | 2016-07-19 17:30 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
参院選の忘れ物

参議院選挙が行われ、ある程度予想されていたことではあったが、やはり、自民・公明の与党が力を伸ばし、野党は、思ったほどの伸びは得られなかった。私自身も、この結果はある程度予想していた。なぜなら、野党側は、アベノミクス是か非か、あるいは憲法改正勢力の3分の2阻止などを争点として掲げて戦ったが、アベノミクスに変わる新しい経済の姿は、全く提示出来なかったし、憲法改正を大騒ぎしても、どこをどう改正するのかさえ、議論が全くない中での憲法議論では、多くの国民にとっては迂遠な問題であったであろうからである。

また、非常に残念なことであるが、参議院選挙では、気候変動対策は、話題にすらならなかった。世界中で、異常気象現象が頻発しており、それに対応するため、脱化石、すなわち化石燃料中心のエネルギー構造を再構築することを迫る「パリ協定」が合意されたにも拘わらず、である。おそらく日本では、気候変動問題といえば、気象の専門家やお天気キャスターの問題ぐらいでしか、捉えられていないのかも知れない。また、我々、気候変動に重大な関心を寄せる者が、「これは単なる気象問題ではないのだ、経済、価値観、ライフスタイルに係る問題だ」ということを多くの人に説得することが出来ていなかったことにもよるだろう。

今年の5月、安倍内閣が閣議決定した地球温暖化対策計画は、2030年までに2013年比で26%削減という中期目標を掲げた。残り時間わずか17年程で、日本の温室効果ガスを26%削減し、特に家庭部門や病院・学校・レストラン・ホテルなども含む業務部門は、ともに40%近く削減しなければならないと決めている。2050年に掛けては80%削減だ。

この内容は、極めて重要だ。
なぜなら、再生可能エネルギーの大幅普及とともに省エネ技術や蓄エネ技術の開発・普及にも大きく関わってくる。さらに言えば、我々の価値観、ライフスタイル、さらに交通・運輸など、まさに日本の経済全体の姿を相当大幅に改変しなければ、達成出来ない目標だからだ。

しかも、現在、政府与党は、原子力発電所の再稼働や、石炭火力の新増設を許容しようと動いている。この動きとパリ協定下で必要とされる日本の温暖化対策との間で整合性が明らかに取れていないのにもかかわらず、野党も与党も、今回の参議院選挙で、原発再稼働是か非かといった程度の問題でしか話題にしなかった。

一口で言えば、「パリ協定」下での気候変動対策がもたらす日本の経済構造全体の再構築、そして、それを可能にするための国民の意識価値観の大変革を伴うような大規模な経済政策論争を仕掛けられず、単にアベノミクスがいいか悪いかといった程度に矮小化してしまえば、勝負は初めからついていたようなものだろう。

今後、参議院選挙後の国会が再開されれば、憲法改正問題が、改めて浮上してくるであろう。私たちは日本国憲法のなかに気候変動対策などを視野に入れた「環境原則の憲法への導入」を提案しているが、これもまた、「環境権」是か非かだけでなく、経済社会そのものの再構築を目指す、大きな視点のなかで議論してほしいし、私たちもNPOとして頑張らねばと改めて思っているところだ。
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# by JAES21 | 2016-07-12 17:30 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
一票の重さに責任をもって
イギリスではEU離脱決定後の混乱が続いている。
その中には、EUのこともあまり知らず、離脱派の間違った情報を鵜呑みにして投票したことを後悔する人たちも多数いるようだ。

例えば、離脱派は、投票前はEUへの拠出金が約480億円/週と巨額で、それを国民医療サービスに、と訴えていたが、投票後はその額が3分の1程度であることを認めた。また、離脱の先頭に立っていたジョンソン議員は、投票後、早々と次期党首選から撤退した。

こうした姿やアメリカ大統領選を見ていると、政治家のウソと豹変、倫理観のなさは、日本に限ったことではないようで、それが世界の混乱をさらに助長しているように感じる。

その一方で、この混乱から、私達日本人が学ぶべきことは多い。

例えば、今週末の参院選では、アベノミクスが一つの争点だが、聞こえてくるのは、成功した、いや失敗だ、といった内容ばかり。成功と言うなら成功の根拠を、失敗ならその根拠とそれに代わる経済政策を示す必要があるが、それが明快でない現状では、イギリス同様、国民は現状に満足または不満、といった感情論で投票してしまう恐れがある。

「刹那的な国民の気持ち」を衆議院に、「継続的な国民の気持ち」を参議院に代表させる、と言われるように、衆院と異なり、参院の役割は、中長期視点からの政策を専門的観点から深め構築することである。途中解散がなく六年の任期が保障されているのもそのためである。国民もその違いを踏まえて、投票する必要がある。

そのために、せめて、自宅に送られてきた選挙公報をしっかり読む、候補者のこれまでの経験と“専門性”をこれからの日本にどう生かそうとしているかを読み解く、心地よい上っ面の公約には騙されない、そして何より、私の一票が日本を変えるという責任の重さをしっかり自覚して、投票しようと思う。
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# by JAES21 | 2016-07-05 14:39 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
本物の乱気流に突入した世界

今世紀に入るとすぐに、ニューヨークやワシントンで、イスラム過激派集団アルカイダによる同時多発テロが実行され、アメリカの富や軍事力の象徴となる建物が攻撃にさらされ、甚大な人的、物的被害を被った。当時のブッシュ大統領はこれを新たな戦争と呼び、「テロとの戦い」を宣言し、アフガニスタンやイラクでの本格的な軍事侵攻に繋がった。

それから十数年。先進国では、アメリカの都市だけでなく、ロンドン、パリ、マドリード、ブリュッセルなどの大都市とそこに生活する普通の人々がイスラム系テロリストの標的にされた。欧米の先進国では、いつ、どこで何が起こるか分からない不安が人々の心に忍び込んでいる。

過去15年間の特色は、西洋の民主主義・資本主義国が数世紀に亘って大事にしていた価値に対し、そこから疎外されていたイスラム系の過激派が攻撃対象とする類の戦いであった。しかし、去る6月23日、キャメロン首相が仕掛けたEUへの残留か離脱かの国民投票は、わずかな差とはいえ、離脱が上回ったために、イギリスのEUからの離脱が事実上決定してしまった。この衝撃は極めて大きく、イギリス国内だけでなく政治的に経済的に世界中を巻き込む大津波となって、各国を襲いつつある。日本にとっても例外ではなく、円がドルやユーロに対して高騰し、株価が下がるといったようなことが生じている。

この出来事の特色は、イスラム過激派が仕掛けたものでも何でもない。ヨーロッパの資本主義や民主主義の本流中の本流にいる人が仕掛けた政治的試みが、思わぬ結果を引き起こしたものだ。世界の政治経済が、まさに歴史的な乱気流に見舞われていると言っていい。まず、イスラム過激派によって引き起こされた21世紀の乱気流が、これまで数世紀に亘って、西欧社会のメインストリームを形作っていたエリート達によって増幅された格好だ。その結果もエリートを含め、政治・経済上の様々なシステムを乱気流に巻き込んだものであると私はこの現象を解釈している。

しかしながら、本物の乱気流は、すぐにでもやってくる。それは、「気候変動」という乱気流だ。実際、イギリスで国民投票が行われた日も、ロンドンの一部では1mほど浸水したところもあり、選挙にも行けなかった人が沢山出たという。同じ頃、中国では大竜巻が発生し、アメリカでは、西部では大山火事、南部から東部にかけては大雨による洪水が発生している。この異常気象という乱気流は、先進国、途上国、イスラム諸国を問わず、全てに襲いかかっているが、残念ながら、まだ、これへの警戒感も対処も十分でない。

この気候変動がさらに牙を剥いて人類社会に襲いかかれば、最早、イスラムのテロや株価の乱高下どころの話ではなくなる。この被害を少しでも軽減するために、昨年の暮れに190ヶ国を超す国によって合意されたパリ協定が一日も早く発効され、この人類社会を巻き込む本物の乱気流に備える体制が早急に出来ることを私は強く願っている。
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# by JAES21 | 2016-06-28 17:30 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
しっかり選んで!!
国内では参院選、都知事選、海外ではアメリカ大統領選、イギリスのEU離脱の可否など、市民の理性が問われるイベントが目白押しである。

そんな中、国内の政治家の体たらく、そして盛り上がらない参院選を見ていると、次の二点は注目に値する。
第一は、アメリカ大統領選で、民主党のサンダース議員は、打倒トランプではクリントン氏との連携を表明したが、最後まで自身の政策を訴え戦い続けている点。
第二は、殺人事件にまで発展したことは許されることではないが、離脱の可否を巡って国民が激論を交わしている点である。

参院選では各党がマニフェストを公表しているが、どれも目新しいものはない。
自民党に至っては、安倍政権の本丸である憲法改正にはほとんど触れず、またしても「景気回復」という常とう手段で乗り切ろうとする姑息さである。

こうした状況に、「何をやっても日本は変わらないとあきらめている」「このままでは日本は確実に沈没する。だから海外に出ようと思う」といった若者の声も聞く。
その一方で、「多くの国の若者が、自分たちで国を変えられる選挙権を待ち望んでいる。」という話を、世界をまわるカメラマンから聞いた高校生が、多くの高校生に投票を呼びかける活動を始めたという話も聞く。

18歳の選挙権、“この国を持続可能な国に変える”そんな思いで、しっかり判断して投票してほしいと思う。

ちなみに、皆が安心・安全に暮らせる持続可能な社会を目指して、日本の環境NPOが結集したグリーン連合では、参院選候補者がどの程度日本の将来を考えているかを知るために、アンケートを実施している。
その結果は明日グリーン連合のWEBで公表する。

是非それも投票の参考にしてほしい。
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# by JAES21 | 2016-06-21 17:30 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
オバマの苦悩

去る5月27日、当初、オバマ大統領の広島訪問においては、数分間の所感を発表するだけと思われていたが、実際には、改めて核兵器廃絶に向けての17分に及ぶ格調の高い演説があった。

広島・長崎市民だけでなく日本はもとより世界でこの問題に関心を持つ多くの人々の注目を集めた歴史に残る名演説であった。私などは英文と日本語の訳を見比べながら、何度も精読したものだ。読後の感想は、これはオバマ氏の“戦争と平和”論なのだと納得した。

その演説から一か月も経たない6月12日の未明。オバマ大統領の足元アメリカ・フロリダ州のオーランドという地方都市で銃器による大惨事が起こった。報道によると同性愛者が集まるナイトクラブに、アフガニスタン出身の両親を持つ29歳の男が一人で乗り込んで、なんと49人を殺し、53人にケガを負わせ、その男は、警察によってその場で射殺されたという。

銃による乱射事件が頻繁に起こっているアメリカでも、たった一人で自動小銃と拳銃だけでこれだけ多くの死傷者を出した事件は他に例が無いと言う。この事件を受けて、オバマ大統領は、早速声明を出し、アメリカにおける銃の規制を強化する必要性を改めて強調している。

広島では彼は、次のように述べている。「普通の人々は、戦争はこりごりだと考えている。彼等は、科学は生活をよりよくすることに集中するべきで、生活を台無しにすることに集中してはならないと考えるであろう。各国の選択が、あるいは指導者たちの選択が、この素朴な知恵を反映すれば、広島の教訓は生かされる。」と。

こう述べたオバマ大統領にとっては、核兵器どころか通常の兵器すらもアメリカでは未だに有効に規制することが出来ないでいる政治の現状に対し、恥じ入るばかりであろう。

銃の規制問題はアメリカにとって一筋縄ではいかぬ難しさを持っていることを私は理解しているつもりだ。それでも、やはりアメリカは、核兵器の国際的管理そして廃絶を目指すだけでなく、アメリカ国内においては通常の銃器をしっかりとコントロールすべきことをこの悲劇からの教訓とすべきではなかろうか。そうでないと、多数の犠牲者の霊は浮かばれなかろう。オバマ大統領の苦悩のほどが偲ばれるが、同時に政治家として銃器のコントロールへの道を敷いてほしいものだ。
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# by JAES21 | 2016-06-14 17:30 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
日本メディアの使命を問う
BS放送を見ていると、連日、世界各国から異常気象による被害が伝えられている。
セーヌ川の氾濫で、パリが大洪水に見舞われ人々の暮らしに大きな被害が出ており、ルーブル美術館、オルセー美術館では閉館が続いているという。また、ドイツ南部でも数時間に数か月分の雨量を記録し、大きな被害が出ているとのこと。そして、アメリカ中西部でもミシシッピー川が氾濫し、農作物にも大きな被害が出ているという。
一方、インドでは異常高温と干ばつで、300人以上の死者が出ているという。

以前から、多くの賢明な科学者が警告し続けてきた事態が、現実のものとなってきたことを実感する毎日である。

昨年末、「パリ協定」が採択されたパリで、そして気候変動対策に熱心なドイツで大きな被害が出ていることは、気の毒であり、皮肉にも思える。

一方日本では、「パリ協定」後、政府でも目立った動きが見られず、そのためか、メディアでも気候変動に関する記事が減少しているように感じる。

月曜日の朝の番組では、珍しく異常気象を取り上げていたが、あるコメンテーターが、「あまり異常、異常と言わない方がいい。地球の長い歴史の中でみれば、大したことではない」旨発言しており、これにはびっくりした。
今言われる温暖化は、産業革命後のおよそ200年の間の気温上昇と、それに伴う気候変動と異常気象を問題にしているのに、こうしたことさえ理解していない人がコメンテーターとしてメディアに登場すること自体、メディアの勉強不足と言わざるを得ない。

先日、日本初の市民版環境白書を発行した。政府の白書では伝えられていない事実も多く含まれていたにもかかわらず、メディアで取り上げてくれるところは僅かだった。

政治家の不正や政争に明け暮れるその実態を報じることも必要だろう。
しかし、そんな人間界の些細なこととは別に、気候変動の脅威は差し迫っている。

目立たなくても、人々の関心が薄くても、真実を伝え続けるのがメディアの役割。
人を責めるだけでなく、メディア人も、自らの役割と使命を問い直す時期ではなかろうか。
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# by JAES21 | 2016-06-07 17:30 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
トランプ氏の許しがたい無責任発言
アメリカの不動産王ドナルド・トランプ氏は、どうやら共和党の大統領候補としての指名を確実にした模様である。

トランプ氏と言えば、一年ほど前に大統領選に躍り出てからは、メキシコ・アメリカ国境に万里の長城に匹敵するような壁を築き、その壁を作る費用はすべてメキシコに負担させるとか、イスラム教徒の米国入国を一時全て禁止するなどの強硬な暴言を繰り返し、アメリカ国民はもとより世界中の良識ある人々を驚かせてきた。

この人種差別的発言、宗教に対する不寛容といったことで、政治家としての資質が疑われていた。それにも拘わらず、共和党内での数々の論戦を制し、ついに共和党の指名を確実にしたとメディアは報じている。

彼は、日本についてもたびたび言及している。
例えば、「日本が攻撃されたら、我々は直ちに助けに行かねばならないが、米国が攻撃されても、日本は我々を助ける必要はない。不公平である。」「貿易で中国・日本・メキシコを打ちのめす」「日本が米軍駐留経費を全額負担しなければ、米軍を日本から撤退することを厭わない」「北朝鮮が核を持ってるなら日本も持った方がいい」などなどだ。

これらの発言は、大統領を目指すトランプ氏がそれなりの信念を持って発しており、またそれに対し、共和党を支持する多くの米国民が承認している以上、私たちが何を言っても仕方がないが、ただ、見逃せないのは、5月26日に、エネルギー環境政策に関連した演説を行い、大統領に就任したら、「パリ協定」を拒否する姿勢を示し、オバマ政権の環境政策を強く批判していることだ。

オバマ政権は、共和党の温暖化政策に対する理解と支持が極めて低いのを見越して、オバマ氏が大統領である間にパリ協定の批准手続きを済ませようとしているが、トランプ氏は大統領になったら、その協定参加を取り消すという考えを示した。

このパリ協定は、全世界の環境関係者はもとより経済やエネルギー政策を担当している政治家も含めて長い長い協議の末に、やっと昨年12月に190カ国の賛成を得て成立したもの。それを実現するために力を尽くしたオバマ政権の努力を一気に覆すような発言を平気でしているトランプ氏の無責任ぶりは、世界中の温暖化脅威を実感し、予測している多くのまともな人たちの失望というより怒りを買うに違いない。

かつてアメリカは、クリントン政権において署名した京都議定書をブッシュ政権になると直ちに葬り去った苦い過去がある。

そのブッシュ氏が8年に亘って政権にいたために、世界の温暖化対策が足踏みをし、そして、その間に異常気象などが激化するのを許した悪しき前歴が、アメリカの政治にはある。そのためにアメリカ人を含め、どれほど多くの人たちが、竜巻や洪水、海面上昇などの気候変動に悩まされ、苦しんできたのかを知ってか知らずか、トランプ氏の最近の無責任発言は見過ごすことが出来ないし、政治家としての責任ある発言を強く求めたい。
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# by JAES21 | 2016-05-31 17:30 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
ドイツに大きく遅れた日本
G7を前に、各大臣会合が各地で開催されている。

私たちが注目した環境大臣会合も、これといった成果が見られず、G7会合の意味そのものが問われる。
それでも、後日ドイツの環境大臣が、「電力供給制度の改革はいずれ必要になる。原発の稼働延長は変革の遅れにつながる」「力を入れるべきは再生可能エネルギー。風力や地熱などの活用の条件は、日本はドイツよりよほどいい」と、指摘したことが伝えられた。

私は、環境先進国であり、環境教育、原発や再エネへの率先した取組みを進めているドイツが大好きで、これまで幾度も訪問している。
環境だけでなく、地味だが堅実なところ、論理的思考を重んじるところ、音楽家も多数輩出し、自然も美しい。メルケルさんも好きだ。

第二次大戦の忌まわしい思い出もあるが、それでも過去の反省の上に立った戦後の復興は、見習うべきことも多いように思う。

そして、昨今の気候変動を見据えたドイツのエネルギー政策は、2030年には温室効果ガスを1990年比で55%削減、電力消費に占める再エネ比率を50%、2050年には温室効果ガスを80-95%削減、再エネ比率を80%、とする高い目標を掲げている。(グローバルネット「ドイツのエネルギー転換」松下和夫氏 参照)

環境政策に限らず、財務大臣会合では、ドイツ連邦銀行総裁は、「やるべきは短期的に景気刺激策より構造改革」と述べ、日本が提案する財政出動に反対意見を述べたという。

将来を見据え、本来やるべき事を確実に実施していくそのお国柄、日本もかつてはそうだったように思うのだが、いつの間に、こんなに差をつけられてしまったのか。
昨今の政治家のていたらく、企業の不祥事、投票率の低さ、そんなことから、差をつけられた理由が見えてくる気がする。
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# by JAES21 | 2016-05-24 17:30 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)



環境文明21の共同代表「加藤三郎」「藤村コノヱ」の両名が、時事問題等を斬る
by JAES21
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