人気ブログランキング | 話題のタグを見る
                 
  環境文明21は、環境負荷の少ない持続可能な環境文明社会の構築を目指す環境NPOです。
  

気候変動問題もトランプ・ショック!!

米国大統領選は大方の予想に反して、トランプ氏が勝利した。
「彼に一貫しているのは取引だけ」と数名の知識人が語っていたが、勝利後の豹変ぶりを見ると、この人に“信念”はあるのだろうか?と強く感じるし、この先の米国、日本、そして世界が心配でならない。

特に、心配なのは11月4日に発効したパリ協定の行方と人類の将来である。
現在、モロッコではCOP22が開催されているが、この会議の成り行きにまで既に影響が出始めているという情報もある。

トランプ氏は選挙中も「パリ協定からの離脱」を主張していた。
既に米国は批准を済ませているため4年間は離脱できないことになっている。
しかし、上院、下院共に温暖化に懐疑的な共和党が過半数を占めること、さらに、懐疑派の有力な論客と言われるマイクロ・エベルという人物が、環境保護庁(EPA)の政権移行チームリーダーに指名されたことは、今後の米国そして世界の温暖化対策に暗雲がたちこめたことを意味する。

オバマ大統領は、演説の中で常に将来世代を意識した言葉を織り交ぜており、温暖化問題に関しても、石炭火力の新設を禁止し、自身が在任中のパリ協定の批准を急いだ。
彼は、温暖化問題の深刻さと大変さ、将来世代への責任を十分に認識していたのだと思う。

それに比べて、“信念”を持たず、何事も自分に都合のいい方向に”取引“しようとするトランプ氏が、共和党内の懐疑派を勢いづかせ、鉄鋼・石炭などのエネルギー多消費型業界と結託して、パリ協定を形骸化させてしまう恐れは十分ある。

そんなことを許さないために、私たちにできることは何か?
TPPを優先させた日本の政治家が、パリ協定の重要性を理解しているとは思えない。
脱炭素化をビジネスチャンスととらえ挑戦を始めた企業、使命感を持ったメディア、そして私たちNPO自身が、もっと市民に働きかけ、海外のNGOとも連携して、米国の温暖化対策の停滞・後退を防ぐ手立てを早急に講じる必要がありそうだ。


# by JAES21 | 2016-11-15 17:30 | 藤村コノヱが斬る
「パリ協定」の発効と企業の対応力

11月4日、「パリ協定」はついに発効し、7日からは、細則などを決めるための国際会議COP22がモロッコのマラケシュで開始した。日本が国会で「パリ協定」の批准にもたついている間に、世界は大きく動き出したのだ。

振り返ってみると、90年代には日本は間違いなく世界の温暖化対策のトップグループにいた。90年10月には、法律もないのに、地球温暖化防止行動計画を日本政府は策定し、国民や企業に温暖化対策に参加することを呼び掛けていた。97年にはCOP3を日本の古都京都に招致し、温暖化対策の歴史的な第一歩である「京都議定書」を締結するホスト国としての力を世界に示した。まさにこのとき、トヨタはハイブリッド車プリウスを世界に向けて売り出している。

このように、90年代の末くらいまでは、間違いなく日本は温暖化対策に熱心に取り組み、世界をリードする一翼を担っていたが、今世紀に入ると徐々に遅れだした。そのきっかけは、01年にブッシュ政権が成立すると米国は「京都議定書」から直ちに離脱してしまったことである。これを見ていた日本の経団連の電気・鉄鋼・化学などの業界は、アメリカが参加しないのに、日本ばかりが損をするとの思いからか、気候変動対策に消極的になっていった。経産省が言い出したか、経済界の一部が言い出したかは定かではないが、この辺りから「京都議定書は、安政の不平等条約以来の不平等条約であり、こんな条約を結んだ日本は誤った選択をした」と言って憚らなかった。当時、私は、ずいぶん大胆なことを言うとある意味感心していたが、何のことはない。アメリカが止めたからアメリカに従っただけである。当時も今も、日本の経済界と産業行政官の間には、アメリカのことしか見ていない人がいる。しかし、そのアメリカのオバマ政権は、8年間、終始気候変動に取り組み、フランスを中心とするEU諸国とともに中国・インドを巻き込み、「パリ協定」を作らせ、一年足らずの短期間で発効させた。

このパリの会議に、ビル・ゲイツを始め、たくさんの欧米企業のCEOが集まっていたのは、企業者として時代の流れの方向感覚の鋭さを示している。つまり、気候異変の現状から見るととんでもない異常気象とそれに伴う甚大な被害が予想されるなかで、これに対抗するための新しいビジネスを起こす確信を持っていたからであろう。日本の企業者の中にも、もちろんそのようなセンスを持った人もいたと思うが、しかし、経団連・経産省に代表される一部産業界には、センスも力もなかったと言わざるを得ない。

私は、この日本の遅れは、一世紀以上に亘って温室効果ガスを相当量出し続け、豊かな工業国を築き上げた日本としての責任感の薄さがまず以て気になるし、それとともに世界の産業界の潮流からさらに後れをとることも心配である。

環境文明21は、そんな思いから、この11月30日(水)の午後、「世界に後れを取ったか!?日本企業の気候変動対策」 と題して、シンポジウムを開催する。このシンポジウムにおいては、アメリカに滞在していて、アメリカの企業の動きに詳しい田中めぐみさん、日本の環境政策の動きや、企業の動きをフォローしている朝日新聞の石井徹さん、長期の脱炭素発展戦略に向けて研究している京大名誉教授の松下和夫さんを招いて、大議論をするつもりである。ぜひ、このシンポジウムに多数のご参加を期待している。





# by JAES21 | 2016-11-08 17:30 | 加藤三郎が斬る
無駄な対立はやめてほしい
CO2排出量取引制度導入で、環境省と経産省の対立が先鋭化している。

環境省が開催する会合では、取引制度は50年80%削減には不可欠の政策であり、その導入があれば、80%削減目標も達成可能であるという意見が大勢を占めたという。一方経産省が開催する会合では、「公正・公平で皆が納得する制度は困難」「企業の海外流出」などを理由に反対意見か続出したという。

両省とも、その考えを代弁する人たちが意見を述べているわけだから、対立するのは当然だが、環境省が私たちNPOの意見も聞くのに対して、経産省はほぼ全員が産業界の、しかも経団連でも声の大きい人たちであり、市民の意見など論外という立場は以前と変わっていない。

環境NPOである私たちは、当然、取引制度に賛成である。

なぜなら、自主努力や技術開発といったこれまでのやり方では、CO2排出量の大幅削減は無理であり、そのことは、ここ20年の排出量の推移が示しているからだ。
また私たちの周りには「環境力」を持って頑張る中小企業が多くいるが、彼らも自らの経営努力には限界があり、取引制度など政策面での支援を望む声が大きい。経団連傘下の企業だけで産業界ではないということだ。
勿論私の周りの主婦たちも、「省エネはしているけど、これ以上何をすればいいの?」「省エネしたら得するような仕組みがほしい」といった声が多い。

50年80%削減は、「できる」「できない」の問題ではなく、安倍政権が決定した国の目標であり、達成しなければならない数字である。これを目指して、日本の産業界にある潜在力を活かしてこそ、企業の持続的発展が期待できる。環境規制があるから、「海外流出」した企業など殆どないし(流出は別の経済的理由など)、これから先はどの国でも同様の規制がかかってくることは明らかだ。

日本の遅れなど関係なく、11月4日にパリ協定は発効する。
経団連もさすがにこの発効には賛成のようだが、本当に厳しい国際競争の中で、持続的発展を望むのであれば、目先の損得や国内にばかり目をとらわれることなく、真っ向から地球の危機と向き合うべきだ。そして経産省も、一部のエネルギー多消費型の業界を守るのではなく、日本国と国民、将来世代を守るために、環境省との対立など無駄な戦いはやめてほしいものである。


# by JAES21 | 2016-11-01 17:30
不連続時代への突入か
人間社会の動きを私なりに見ていると、世界は徐々に連続的に変化しているというよりは、過去の経験からは推しはかれないほど、荒々しく大きくそして不連続に変化している。つまり想定外の事柄が次々に生起するようになったと思われる。人間社会が不連続時代に突入した感を深くしているのは私だけではあるまい。気候の異変もその一つだ。これまで経験したことのないような雨の降り方、つまりゲリラ豪雨が頻々と起こっている。まさに異常が常態になりつつある。

そのため、突然の洪水や浸水、あるいは竜巻、突風などで家財や農作物に甚大な被害を被っている人たち、さらに交通機関の混乱などで失った時間。このような辛さや戸惑いはいたるところに見られる。もちろん、これは明日にも我が身にも起こりうることなのだ。

政治の世界の乱調ぶりも甚だしい。およそこれまで見たことのないような現象が世界各地で発生している。アメリカ大統領選挙におけるトランプ氏の言動は、無責任で品格に欠け、大統領候補というより人間としての資質が問われるレベルだ。

トランプより少し遅れてフィリピンに登場したドゥテルテ大統領もトランプ氏に劣らない乱暴な言動だ。トランプ氏の場合は、11月8日までは、米国大統領の候補者に過ぎないが、ドゥテルテ氏の場合はフィリピン国民によって民主的に選ばれたれっきとした大統領だ。彼がどの程度本気かは別として、オバマ大統領を口汚くののしり、つい最近では、軍事面経済面で米国と決別する旨発言している。私には、この発言は、政権として何の準備も戦略もなく語られたとしか思えないが、大統領の口から出たもので最早冗談では済まされない。

英国のEU離脱劇に見られた政治家たちの言動もこれまでの常識を超えたものがあったと思われる。これらの諸現象を眺めていると、様々な思いがこみ上げる。第二次世界大戦後、70年の時間をかけて積み上げられた自然を管理する方法や社会を統治するガバナンスを担った主流派エリートたちはコントロール力を失い、立ちゆかなくなっている。社会が混迷に陥った隙に、まさに不連続的に起きた現象のように思える。これまで通りにはいかないことが誰の目にもはっきりしてきた。

しかし、人間の長い歴史を振り返ると、大きな変化が起きるときには、それまでの常識からはアブノーマルと思われる現象や人物が現れることがある。今、我々を襲いつつある気候異変も、また、我々を呆れさせているトランプ現象やドゥテルテ発言も、もしかすると時代の大きな変化を画しているのかもしれない。もちろん、その大変化が人間にとってプラスとなるのか地獄へつながる道になるのかは、まだ分からない。しっかり、見ていく必要があろう。


# by JAES21 | 2016-10-25 17:30 | 加藤三郎が斬る
新新潟県知事に期待する

先週末の新潟県知事選では、原発再稼働に慎重な米山隆一氏が初当選した。
原発問題にぶれることなく取り組んできた泉田知事が再出馬を断念したことから、その後を心配していたが、「短期的経済性」より「未来に続く持続性」を選択した今回の新潟県民の判断には、多くの国民が安堵したと同時に、個人的にも高く評価したい。

朝日新聞が15日16日実施した世論調査でも、原発再稼働に対して「反対」57%、賛成29%という結果であり、再稼働に関しては原発事故以降、一貫して「反対」の意見が国民の多数を占めている。

しかし、こうした世論を無視するかのように、政府内では、再稼働を始め、原子力推進派を擁護する議論が進められている。廃炉費を新電力も負担という議論や、原発事故の企業の賠償責任に上限を設け、超えた分は国民が負担するという議論などである。

16日の読売新聞では、“政治は誠実か”という見出しで、細谷慶応大学教授が記事を寄せていた。いわく、『今や政治の世界では、虚偽を語っても検証されず、真実を語ることはもはや重要ではなくなってきている。』と。

確かに、当選すれば公約などなかったの如く振る舞う政治家はたくさんいる。日常化したこの状態を責める国民もおらず、政治家は嘘をいうものだという諦めもあり、信頼などほとんどないに等しい。

そうした中で選ばれた米山新新潟県知事の責任は重大である。
しかし、新知事に投票した県民、脱原発を願う多くの国民が応援していることを力に、脱原発を掲げ、川内原発再稼働停止要請を出している三反園鹿児島県知事とも連携し、多くの県民・国民の期待を裏切ることなく、誠実に、冷静に、未来に続く脱原発の道を切り拓いていってほしいと願っている。


# by JAES21 | 2016-10-18 17:30 | 藤村コノヱが斬る



環境文明21の共同代表「加藤三郎」「藤村コノヱ」の両名が、時事問題等を斬る
by JAES21
カテゴリ
全体
会報巻頭言『風』
加藤三郎が斬る
藤村コノヱが斬る
共同代表が斬る
はじめにお読み下さい
未分類
以前の記事
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 05月
フォロー中のブログ
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧