環境文明21は、環境負荷の少ない持続可能な環境文明社会の構築を目指す環境NPOです。
  

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負のレガシーにならないように
オリンピック・パラリンピックの開催地問題がメディアでも盛んに報じられている。

元々今回の開催については、開催の意義、開催時期、費用、そして利権問題などもあり、環境NPOの間では歓迎の声は少なかった。

しかし決まった以上は、少しでも、環境配慮型の持続可能な社会づくりに役立つものにしてほしいと思っていたが、これまでの流れを見ていると、どうもそうではないようだ。

まず開催時期である。
気候変動が深刻化する中、真夏の開催はあまりにリスクが多すぎ、選手や観戦者に熱中症などで死者が出るのではないかという懸念である。ミストの散布や舗装の工夫などが検討されているようだが、それだけで解決するほど簡単なものではないように思う。死者が出た場合、だれが責任を取るのかも心配である。
この件については、まさに放映権が絡んで真夏の開催になったそうだか、元環境大臣の小池都知事はもとより、時期をずらそうという声はどこからも聞こえてこない。

費用の問題も然りである。
6月末時点で、国の借金1053兆円、国民1人当たり830万円という日本。どこに新しい施設を、しかも開催後は負の遺産になりそうな施設を次々に作るという余裕があるのか不思議である。そんなお金があるのなら、道路が陥没したり、豪雨で下水管があふれ町が浸水したりしないよう、老朽化したインフラの整備、気候変動時代にも適応できるようなインフラの整備に費やしてほしいものだ。
しかし、そうはならないその裏には、無責任体質の他、やはりこのことで大きな利益を得る人がいるからだろう。

4年に一度のオリンピック。選手にあこがれ、夢を持ち、頑張る子供もいるだろう。選手の活躍が人々に多くの感動や勇気を与えることも事実である。
しかし、その裏にある現実、アスリートファーストではなく権力や利権優先の現実があることも、私たちはしっかり認識し監視する必要があると思う。

「レガシー」とは遺産という意味だが、今のような流れでは、2020年のオリンピックは、次世代に「負の遺産」を残す可能性の方が大きいのではないか、という気がしてならない。
「決まったことは変えられない」ではなく、次世代に真の「レガシー」を残すために50年100年後を見据えて、施設建設や運営方法を考えてほしいものである。


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by JAES21 | 2016-11-29 17:30 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
COP22の概要
去る11月7日から18日まで、国連気候変動枠組み条約の第22回締約国会議(COP22)がモロッコのマラケシュで開催された。

この会議では、昨年12月に合意された「パリ協定」実施のための細則を決めるための手続きが主要な議題であった。
大方の予想よりも早い11月4日の「パリ協定」の発効という極めて歴史的な第一歩を踏み出したという祝福ムードの中、会議は始まったようだが、3日目の11月9日にアメリカの次期大統領にトランプ氏が選出されたニュースが伝わるとマラケシュの会場にも大きな衝撃が走ったとのことである。
何せ、オバマ政権が力を込めて推進してきた気候変動対策には、ハナから関心を示さず、大統領になった暁には「パリ協定」はキャンセルすると選挙戦中繰り返し述べていたトランプ氏が大統領になると、長年、大変なエネルギーを注いで作り上げた「パリ協定」という国際社会の合意事項が根底から覆されるのではないかと多くの人が恐れたからである。
しかし、トランプ氏の登場がある意味、マラケシュ会議の参加者の結束を促す効果もあったと思われる。
実際、「パリ協定」が、正式に施行される前の2018年に細則を定めることなど、今後の作業の大まかなロードマップがマラケシュで合意されたことは、ひとまず、安心材料であり、関係者の努力に敬意を表したい。

ところで、その細則というのは、どのようなものか。
それは「パリ協定」を実際に動かすための必要な事項で、例えば下記のような作業が挙げられる。

①各国の温室効果ガス削減約束をどのように作成し、それをどのような形で事務局に提出するか。
②その約束をどのように維持していくか。
③進行する温暖化に対して、適応するための報告書作りのガイドライン。
④様々な市場メカニズムが考えられるが、そのときのダブルカウントを防止する規定。
⑤各国が定期的に透明性のある対策実施状況を報告する際の締約国同士の評価ルール。
⑥「パリ協定」の実施状況を定期的に確認する仕組み作り。
⑦温暖化の脅威にさらされ、現実に被害を受け始めている発展国への資金や技術、能力開発での先進国からの支援の仕組み。

日本の法制度に絡めて言うと、法律は出来たので、その法律の下での政・省令に相当するものを詰めていく作業を2018年に完成するということだ。持ち時間はせいぜい2年しかないが、分科会を作って、それぞれのテーマに則して検討されることになろう。

この会議を締め括るに当たり、参加首脳による「マラケシュ行動宣言」が取りまとめられた。
その宣言では、2016年だけでも、既に世界中の気候変動に関して、異常な勢いで進んでおり、この勢いは最早、後戻り不可能だとの危機認識を示した。また、「私たちの仕事は、今や動き出した対策努力の勢いに乗って温室効果ガスの排出を急速に削減し、適応努力を強化し、そのことを通じて、持続可能な開発を支持することである。最高度の政治的な誓約により、気候異変と戦うことを最優先課題とする。」というものであった。


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by JAES21 | 2016-11-22 17:30 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
気候変動問題もトランプ・ショック!!

米国大統領選は大方の予想に反して、トランプ氏が勝利した。
「彼に一貫しているのは取引だけ」と数名の知識人が語っていたが、勝利後の豹変ぶりを見ると、この人に“信念”はあるのだろうか?と強く感じるし、この先の米国、日本、そして世界が心配でならない。

特に、心配なのは11月4日に発効したパリ協定の行方と人類の将来である。
現在、モロッコではCOP22が開催されているが、この会議の成り行きにまで既に影響が出始めているという情報もある。

トランプ氏は選挙中も「パリ協定からの離脱」を主張していた。
既に米国は批准を済ませているため4年間は離脱できないことになっている。
しかし、上院、下院共に温暖化に懐疑的な共和党が過半数を占めること、さらに、懐疑派の有力な論客と言われるマイクロ・エベルという人物が、環境保護庁(EPA)の政権移行チームリーダーに指名されたことは、今後の米国そして世界の温暖化対策に暗雲がたちこめたことを意味する。

オバマ大統領は、演説の中で常に将来世代を意識した言葉を織り交ぜており、温暖化問題に関しても、石炭火力の新設を禁止し、自身が在任中のパリ協定の批准を急いだ。
彼は、温暖化問題の深刻さと大変さ、将来世代への責任を十分に認識していたのだと思う。

それに比べて、“信念”を持たず、何事も自分に都合のいい方向に”取引“しようとするトランプ氏が、共和党内の懐疑派を勢いづかせ、鉄鋼・石炭などのエネルギー多消費型業界と結託して、パリ協定を形骸化させてしまう恐れは十分ある。

そんなことを許さないために、私たちにできることは何か?
TPPを優先させた日本の政治家が、パリ協定の重要性を理解しているとは思えない。
脱炭素化をビジネスチャンスととらえ挑戦を始めた企業、使命感を持ったメディア、そして私たちNPO自身が、もっと市民に働きかけ、海外のNGOとも連携して、米国の温暖化対策の停滞・後退を防ぐ手立てを早急に講じる必要がありそうだ。


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by JAES21 | 2016-11-15 17:30 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
「パリ協定」の発効と企業の対応力

11月4日、「パリ協定」はついに発効し、7日からは、細則などを決めるための国際会議COP22がモロッコのマラケシュで開始した。日本が国会で「パリ協定」の批准にもたついている間に、世界は大きく動き出したのだ。

振り返ってみると、90年代には日本は間違いなく世界の温暖化対策のトップグループにいた。90年10月には、法律もないのに、地球温暖化防止行動計画を日本政府は策定し、国民や企業に温暖化対策に参加することを呼び掛けていた。97年にはCOP3を日本の古都京都に招致し、温暖化対策の歴史的な第一歩である「京都議定書」を締結するホスト国としての力を世界に示した。まさにこのとき、トヨタはハイブリッド車プリウスを世界に向けて売り出している。

このように、90年代の末くらいまでは、間違いなく日本は温暖化対策に熱心に取り組み、世界をリードする一翼を担っていたが、今世紀に入ると徐々に遅れだした。そのきっかけは、01年にブッシュ政権が成立すると米国は「京都議定書」から直ちに離脱してしまったことである。これを見ていた日本の経団連の電気・鉄鋼・化学などの業界は、アメリカが参加しないのに、日本ばかりが損をするとの思いからか、気候変動対策に消極的になっていった。経産省が言い出したか、経済界の一部が言い出したかは定かではないが、この辺りから「京都議定書は、安政の不平等条約以来の不平等条約であり、こんな条約を結んだ日本は誤った選択をした」と言って憚らなかった。当時、私は、ずいぶん大胆なことを言うとある意味感心していたが、何のことはない。アメリカが止めたからアメリカに従っただけである。当時も今も、日本の経済界と産業行政官の間には、アメリカのことしか見ていない人がいる。しかし、そのアメリカのオバマ政権は、8年間、終始気候変動に取り組み、フランスを中心とするEU諸国とともに中国・インドを巻き込み、「パリ協定」を作らせ、一年足らずの短期間で発効させた。

このパリの会議に、ビル・ゲイツを始め、たくさんの欧米企業のCEOが集まっていたのは、企業者として時代の流れの方向感覚の鋭さを示している。つまり、気候異変の現状から見るととんでもない異常気象とそれに伴う甚大な被害が予想されるなかで、これに対抗するための新しいビジネスを起こす確信を持っていたからであろう。日本の企業者の中にも、もちろんそのようなセンスを持った人もいたと思うが、しかし、経団連・経産省に代表される一部産業界には、センスも力もなかったと言わざるを得ない。

私は、この日本の遅れは、一世紀以上に亘って温室効果ガスを相当量出し続け、豊かな工業国を築き上げた日本としての責任感の薄さがまず以て気になるし、それとともに世界の産業界の潮流からさらに後れをとることも心配である。

環境文明21は、そんな思いから、この11月30日(水)の午後、「世界に後れを取ったか!?日本企業の気候変動対策」 と題して、シンポジウムを開催する。このシンポジウムにおいては、アメリカに滞在していて、アメリカの企業の動きに詳しい田中めぐみさん、日本の環境政策の動きや、企業の動きをフォローしている朝日新聞の石井徹さん、長期の脱炭素発展戦略に向けて研究している京大名誉教授の松下和夫さんを招いて、大議論をするつもりである。ぜひ、このシンポジウムに多数のご参加を期待している。





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by JAES21 | 2016-11-08 17:30 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
無駄な対立はやめてほしい
CO2排出量取引制度導入で、環境省と経産省の対立が先鋭化している。

環境省が開催する会合では、取引制度は50年80%削減には不可欠の政策であり、その導入があれば、80%削減目標も達成可能であるという意見が大勢を占めたという。一方経産省が開催する会合では、「公正・公平で皆が納得する制度は困難」「企業の海外流出」などを理由に反対意見か続出したという。

両省とも、その考えを代弁する人たちが意見を述べているわけだから、対立するのは当然だが、環境省が私たちNPOの意見も聞くのに対して、経産省はほぼ全員が産業界の、しかも経団連でも声の大きい人たちであり、市民の意見など論外という立場は以前と変わっていない。

環境NPOである私たちは、当然、取引制度に賛成である。

なぜなら、自主努力や技術開発といったこれまでのやり方では、CO2排出量の大幅削減は無理であり、そのことは、ここ20年の排出量の推移が示しているからだ。
また私たちの周りには「環境力」を持って頑張る中小企業が多くいるが、彼らも自らの経営努力には限界があり、取引制度など政策面での支援を望む声が大きい。経団連傘下の企業だけで産業界ではないということだ。
勿論私の周りの主婦たちも、「省エネはしているけど、これ以上何をすればいいの?」「省エネしたら得するような仕組みがほしい」といった声が多い。

50年80%削減は、「できる」「できない」の問題ではなく、安倍政権が決定した国の目標であり、達成しなければならない数字である。これを目指して、日本の産業界にある潜在力を活かしてこそ、企業の持続的発展が期待できる。環境規制があるから、「海外流出」した企業など殆どないし(流出は別の経済的理由など)、これから先はどの国でも同様の規制がかかってくることは明らかだ。

日本の遅れなど関係なく、11月4日にパリ協定は発効する。
経団連もさすがにこの発効には賛成のようだが、本当に厳しい国際競争の中で、持続的発展を望むのであれば、目先の損得や国内にばかり目をとらわれることなく、真っ向から地球の危機と向き合うべきだ。そして経産省も、一部のエネルギー多消費型の業界を守るのではなく、日本国と国民、将来世代を守るために、環境省との対立など無駄な戦いはやめてほしいものである。


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by JAES21 | 2016-11-01 17:30 | Trackback | Comments(0)



環境文明21の共同代表「加藤三郎」「藤村コノヱ」の両名が、時事問題等を斬る
by JAES21
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