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米大統領選における気候変動問題の行方
候補者の戦いが連日熱く繰り広げられている。

アメリカの大統領選と言えば、共和党、民主党とも各州毎の予備選を入れると、ほとんど1年に及ぶ長い過酷な選挙運動ということになるのだが、今回の大統領選挙は異例づくしと言ってもいいのではないだろうか。

異例の第一の理由は、言うまでもなく、不動産王と呼ばれ、公職選挙で選ばれた政治経験がないドナルド・トランプ氏の型破りな言動である。最初の頃は、アメリカとメキシコの国境に大きな壁を作り、その費用はメキシコに持たせるとか、イスラム教徒の入国を禁止するとか、女性に対する侮辱的な発言とか、物議を醸す発言を繰り返して注目されたが、そのような言動は、これまでの選挙運動中、基本的には一切変わらず、共和党の正式大統領候補となった。その過程も、紆余曲折あったが、既得権益層を、言葉を選ばず攻撃している。特に共和党が長いこと大事にしてきた「自由貿易」に対し、国内の雇用を奪うなどの理由で、極めて否定的な意見を述べ、さらに移民に対しては厳しい立場を維持し、アメリカ第一主義を高らかに宣言している。しかも、競争相手に対しては、党内・外を問わず、悪口雑言、中傷発言を厭わず、極めて攻撃的な姿勢を貫き、共和党の正式候補者にたどり着いた。

一方、民主党のヒラリー・クリントン氏は、言うまでもなく、かつての大統領夫人であり、上院議員も務め、オバマ政権では国務長官を務めるなど、華麗と言ってもいい政治人生を過ごしてきたが、そのヒラリー氏に対し、トランプ氏は、言葉を選ばず、例えば既得権益層の「あやつり人形」であり、彼女は大企業の言いなりになっていると決めつけ、国務長官時代のメール問題なども激しく批判している。

このような悪口雑言の批判ではなく、私がぜひ聞きたいのは「環境・エネルギー政策」だ。当ブログでも紹介したと思うが、5月末にはトランプ氏は、「パリ協定」は拒否すると明言している。トランプ氏に限らず、アメリカの共和党のなかには、温暖化対策に極めて消極的…というよりむしろ否定的な人も多いので、せっかくオバマ大統領が苦労を重ねてたどり着いた「パリ協定」の発効も、難しくなることを恐れている。

一方、クリントン氏のほうは、もちろん、「パリ協定」を拒否するなどとは全く言っておらず、むしろ、気候変動対策を推し進める立場であるが、現時点で両者の間で、この重要問題をめぐる本格的な論戦は私が知る限りは無い。

日本の今回の参議院議員選挙でも、気候変動問題に対するまともな議論が無かったことを考えれば、無理もないことかも知れないが、それにしても人類の運命は、「パリ協定」をどう実施していくかに掛かっているかを思えば、この問題に重大な関心を寄せる世界中の人々が固唾を飲んで注視している筈だ。

11月8日の本選挙まで、あと3か月半ほど。
両党の大統領・副大統領候補が正式に決まった今、気候変動対策を含む持続可能な社会をどう作るかについても本格的な論争を期待したい。
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by JAES21 | 2016-07-26 17:46 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
諦めてはいけない
参院選の結果については、前回、加藤共同代表が述べた通り、予想はしていたが、あれほどの差が出るとは・・である。

大勝の結果を受け、安倍総理は自慢げに「国民のご支持を頂けた」と述べた。
しかし、多くの国民が積極的に支持したわけではないことは、次のような数字が示している。

例えば、投票率は54.70%と第1回目以降4番目の低さである。また朝日新聞が行った選挙直後の世論調査では、与党勝利の理由として、「野党に魅力がなかった」とした人が71%で、「安倍総理の政策が評価されたから」の15%を大きく上回っている。要は、政治に魅力がないから投票に行かない、野党に魅力がないから「まだまし」な方に投票したという、ある意味で国民の素直な気持ちが表れた選挙結果である。

そのことを安倍政権はしっかり認識すべきだが、これまでの、“選挙前は経済、選挙後は憲法改悪”といった二枚舌的、かつ、自己の信念に過度に執着するやり方を見ていると、そんな謙虚さは望めそうにない。
クーデター騒ぎで、トルコのエルドアン大統領が注目されているが、初めての国民投票で大統領になった彼が、徐々に強権政治に向かう姿と、安倍政権とが重なって見えるのは、私だけではないように思う。

一方、野党も、アベノミクスが間違いであれば、それに代わる新しい経済の姿を示すべきで、それができないのでは、「魅力的な野党」には成り得ない。
また、憲法改正に関しても、「ダメなものはダメ」だけでなく、例えば、「9条は絶対に変えない」けれど、「気候変動への対応など時代の要請に応えるべきところは検討しよう」といった議論を展開しなければ、『憲法=9条』といった狭い認識と議論から何も進まなくなってしまう恐れがある。

しかし、政治家は、自らは変わろうとしないし、変われない類の人たちである。
それを変えるのは、やはり、私たち市民、特に“気づいている市民”しかいないように思う。
持続可能な社会からますます遠のく現状、政治家の不甲斐なさと市民の政治意識の低下に失望の連続だが、諦めてはいけない、と自らに言い聞かせるこの頃である。
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by JAES21 | 2016-07-19 17:30 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
参院選の忘れ物

参議院選挙が行われ、ある程度予想されていたことではあったが、やはり、自民・公明の与党が力を伸ばし、野党は、思ったほどの伸びは得られなかった。私自身も、この結果はある程度予想していた。なぜなら、野党側は、アベノミクス是か非か、あるいは憲法改正勢力の3分の2阻止などを争点として掲げて戦ったが、アベノミクスに変わる新しい経済の姿は、全く提示出来なかったし、憲法改正を大騒ぎしても、どこをどう改正するのかさえ、議論が全くない中での憲法議論では、多くの国民にとっては迂遠な問題であったであろうからである。

また、非常に残念なことであるが、参議院選挙では、気候変動対策は、話題にすらならなかった。世界中で、異常気象現象が頻発しており、それに対応するため、脱化石、すなわち化石燃料中心のエネルギー構造を再構築することを迫る「パリ協定」が合意されたにも拘わらず、である。おそらく日本では、気候変動問題といえば、気象の専門家やお天気キャスターの問題ぐらいでしか、捉えられていないのかも知れない。また、我々、気候変動に重大な関心を寄せる者が、「これは単なる気象問題ではないのだ、経済、価値観、ライフスタイルに係る問題だ」ということを多くの人に説得することが出来ていなかったことにもよるだろう。

今年の5月、安倍内閣が閣議決定した地球温暖化対策計画は、2030年までに2013年比で26%削減という中期目標を掲げた。残り時間わずか17年程で、日本の温室効果ガスを26%削減し、特に家庭部門や病院・学校・レストラン・ホテルなども含む業務部門は、ともに40%近く削減しなければならないと決めている。2050年に掛けては80%削減だ。

この内容は、極めて重要だ。
なぜなら、再生可能エネルギーの大幅普及とともに省エネ技術や蓄エネ技術の開発・普及にも大きく関わってくる。さらに言えば、我々の価値観、ライフスタイル、さらに交通・運輸など、まさに日本の経済全体の姿を相当大幅に改変しなければ、達成出来ない目標だからだ。

しかも、現在、政府与党は、原子力発電所の再稼働や、石炭火力の新増設を許容しようと動いている。この動きとパリ協定下で必要とされる日本の温暖化対策との間で整合性が明らかに取れていないのにもかかわらず、野党も与党も、今回の参議院選挙で、原発再稼働是か非かといった程度の問題でしか話題にしなかった。

一口で言えば、「パリ協定」下での気候変動対策がもたらす日本の経済構造全体の再構築、そして、それを可能にするための国民の意識価値観の大変革を伴うような大規模な経済政策論争を仕掛けられず、単にアベノミクスがいいか悪いかといった程度に矮小化してしまえば、勝負は初めからついていたようなものだろう。

今後、参議院選挙後の国会が再開されれば、憲法改正問題が、改めて浮上してくるであろう。私たちは日本国憲法のなかに気候変動対策などを視野に入れた「環境原則の憲法への導入」を提案しているが、これもまた、「環境権」是か非かだけでなく、経済社会そのものの再構築を目指す、大きな視点のなかで議論してほしいし、私たちもNPOとして頑張らねばと改めて思っているところだ。
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by JAES21 | 2016-07-12 17:30 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
一票の重さに責任をもって
イギリスではEU離脱決定後の混乱が続いている。
その中には、EUのこともあまり知らず、離脱派の間違った情報を鵜呑みにして投票したことを後悔する人たちも多数いるようだ。

例えば、離脱派は、投票前はEUへの拠出金が約480億円/週と巨額で、それを国民医療サービスに、と訴えていたが、投票後はその額が3分の1程度であることを認めた。また、離脱の先頭に立っていたジョンソン議員は、投票後、早々と次期党首選から撤退した。

こうした姿やアメリカ大統領選を見ていると、政治家のウソと豹変、倫理観のなさは、日本に限ったことではないようで、それが世界の混乱をさらに助長しているように感じる。

その一方で、この混乱から、私達日本人が学ぶべきことは多い。

例えば、今週末の参院選では、アベノミクスが一つの争点だが、聞こえてくるのは、成功した、いや失敗だ、といった内容ばかり。成功と言うなら成功の根拠を、失敗ならその根拠とそれに代わる経済政策を示す必要があるが、それが明快でない現状では、イギリス同様、国民は現状に満足または不満、といった感情論で投票してしまう恐れがある。

「刹那的な国民の気持ち」を衆議院に、「継続的な国民の気持ち」を参議院に代表させる、と言われるように、衆院と異なり、参院の役割は、中長期視点からの政策を専門的観点から深め構築することである。途中解散がなく六年の任期が保障されているのもそのためである。国民もその違いを踏まえて、投票する必要がある。

そのために、せめて、自宅に送られてきた選挙公報をしっかり読む、候補者のこれまでの経験と“専門性”をこれからの日本にどう生かそうとしているかを読み解く、心地よい上っ面の公約には騙されない、そして何より、私の一票が日本を変えるという責任の重さをしっかり自覚して、投票しようと思う。
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by JAES21 | 2016-07-05 14:39 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)



環境文明21の共同代表「加藤三郎」「藤村コノヱ」の両名が、時事問題等を斬る
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