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大混迷時代が訪れるか?

昨日、時事通信社から『繁栄と混迷の戦後70年~日本と国際社会の歩み』と題する一冊の本が送られてきた。これは、戦後70年経ったということで昨年、過去70年の変化を通貨「円」、冷戦終結と新たな戦争、少子高齢化と社会保障、戦後スポーツの軌跡、女性の社会進出など全部で20項目に分け、概観したものである。

私は、この第6パート「経済成長と環境保護」というところに登場しているので、この本を贈られたのである。
戦中に生まれた私としては、戦後70年は、繁栄と混迷の時代であったというのに異論はない。

しかしながら、今起こりつつある大混迷の時代に比べれば、はるかに幸せな時代であったように思われる。第二次世界大戦の終了とともに東西冷戦が厳しくなり、日本はアメリカを盟主とする西側陣営について、民主主義と経済成長をひたすら追求し、平和と人権の保護と物的豊かさを一人一人に届けるという政治環境の中にいたわけで、混迷があったとしても、今から考えれば、「小」混迷であったと言っても過言ではなかろう。

21世紀に入って動き出した大きな変化は、それ以前の1、2世紀に亘って常識とされ、大前提とされた様々な原理原則が崩れつつある。議会制民主主義もその本家である欧米でも揺らぎ始めている。人は生まれながらに自由で平等といった理念もヨーロッパ諸国に押し寄せる難民に対する対応を見てみれば、決して、生まれながらに自由で平等でないことがはっきり分かる。過去には物の豊かさを一人一人に、出来るだけ格差のない形で届けることが出来たが、今はそれも滞り、格差と貧困が、豊かであったと思われるアメリカ、ヨーロッパ、日本などでも目に付くようになり、そのような貧困と不平等に対する明確な異議申し立てが、信じられないようなテロや人権破壊行為に見て取れる。

かつてなら、そのような蛮行に対し、欧米の民主主義勢力は、十分にコントロールする力を持っていたが、その力が失われつつあるのが、ヨーロッパでの極右勢力の伸張や最近のアメリカ大統領選挙におけるトランプ候補の発言を見ると分かる。過去の原理原則が至る所で破られつつある現状を見ると、最早、2030年、2050年に向けての世界は大混迷となり、そして、残念ながら恐らく大流血を伴うような時代になっていかざるを得ないかと危ぶまれる。

日本は現状では、平和で安全な暮らしを辛うじて保っているが、それも一つ二つの激しいテロが日本で起これば、恐らくガラス細工のように大きく崩れていくだろう。私には、戦後70年が歪んではいても人類最後の「繁栄」の時代であったように思われ、これからは危険一杯の大混迷時代を迎えざるを得ないと思えてならないが、この見方は悲観的過ぎるだろうか。
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by JAES21 | 2016-03-29 17:32 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
選挙のための増税延期!?
安倍総理が消費税の10%増税を見送るのではないかという見方が強まっている。

アベノミクスも日銀の対応もあまりうまくいかず、そうした中での増税は選挙結果に響くという判断であろうが、海外から著名な経済学者を招き、増税先延ばしの舞台づくりを進めるなどの姑息なやり方は、目に余るものがある。

勿論増税は、国民生活への負担をさらに増す。
しかし、10日に財務省が発表した2015年末の「国の借金」は、1044兆5904億円、国民1人当たり823万円の借金を背負っているという現実を考えると、将来世代にこれ以上のツケを残すことは許されないという思いがする。

増税に国民が反対するのは何故か。
それは、税金が私たちの生命や暮らしを守るために使われているという実感が、全く持てないことによるのではなかろうか。

仕事の関係で何度か訪れたことのあるスウェーデンは、消費税25%。
しかし、充実した福祉制度があり、歳をとっても病気になっても安心だから幸福度は高い。私の日本人の友人もスウェーデン人と結婚し離婚したが、老後はスウェーデンで過ごすという。
貯蓄がなかなかできず、若者の起業が難しいという話もスウェーデン人の若い男性から聞いたことがあり、そうした面もあるなと思ったが、それでも本当に困った時に助けてくれる制度があるのは羨ましい限りである。

それに比べて日本は、病気、介護、貧困、一人親での子育て、などなど、本当に困って助けてほしい時に助けてくれる制度は全く不十分である。

将来世代にツケを残さないために国の借金を減らす道筋と、困った時に頼れる福祉制度の充実のための道筋が明確に示されれば、増税に反対する人は少なくなるはずである。

そうした明確な方策もないままに、目先の選挙の為だけに、増税する、しないの議論は、政治家として無責任極まりなく、恥ずかしい行為としか言いようがない。
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by JAES21 | 2016-03-22 17:30 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
やはり、脱原発しかない
東日本大震災から、ちょうど五年経ったこともあって、3月11日前後に新聞もテレビも、この事故が何だったのか、今後どうなるのかといった内容の特集が続いている。私自身も注視しているが、やはり、津波もさることながら原発事故の重さは、5年経ってますます重大になってきている。

私自身は、原発については、事故の前からゆるやかな脱原発論者であった。その理由は簡単で、使用済みの核燃料についても、放射性廃棄物についても処理処分の目途が全くついていない段階で、原発を動かすことは将来世代にツケを残すだけの極めて無責任な政策であり、原発依存は出来るだけ早い時期に止めるべきだと思っていたからである。しかし、現実に3.11で、東電福島第一原発があのような事故を起こして、しかも5年経った今も、本質的には何ら解決していないことを見るにつけ、それまでの私の見方は軽すぎたと思うようになった。

福島事故の25年前にチェルノブイリ事故があったが、その時、東京電力のある人が、「あの事故はソ連だから起こった。日本では起こり得ない。まして、優秀な社員の揃っている東電では絶対に起こらない。」と言うのを聞いた。随分、自信のある発言だと軽く聞き流していたが、ソ連で起こったことも、アメリカで起こったことも、日本で起こったことも、やはり、原発という今日の人間の手には負えない不完全な技術に付きまとう本質的な事故だったと思う。従って、フランス、中国、韓国、インド等どこの国でも、起こり得ることで、一度、過酷事故が起これば、福島の人が味わったような塗炭の苦しみが起こり得る。

3月12日付の朝日新聞に、福島県浪江町の馬場町長へのインタビュー記事が大きく載っているが、政府が今進めている原発の再稼働について聞かれた町長は次のように答えている。

「事故の究明も検証も出来ておらず、教訓も得ていない中での再稼働は明らかにおかしい。私どものように、すべてのものが壊され、自分の家、地域から離れた広域避難がもう五年。みな、事故で人生を完全に変えさせられた。そんな生活をする覚悟はあるのか。」

こう厳しく問うている。これを読んだときに、現ローマ法王が原子力発電事業について、「人間の傲慢さを示すバベルの塔のようなもの」だと発言したことを思い出した。原子力に限らないが、科学技術で何でもコントロールできるという人間の傲慢さを捨てなければならない。それができないとすると、世界のどこでも東電福島の悲劇が繰り返される。

電気は何も原発でのみ作られるわけではない。風力、ソーラー、波力、バイオマスなどからでも電気は作れる。そういう安全安心な技術で作られた電気で、私たちの生活を照らせばよいのだ。やはり、脱原発しかない。
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by JAES21 | 2016-03-15 17:30 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
省エネに頑張った人が報われるしくみを
昨年末のパリ協定を受けて、政府は2030年度までの温室効果ガス排出量26%削減(13年度比)に向けた「地球温暖化対策計画(案)」をまとめた。その中で、産業部門の削減率がわずか6%であるのに対して、家庭やオフィスには約40%減を求める厳しい内容である。
産業部門はこれまでの削減努力に加えて、今後の経済成長を見込んでの削減率ということのようだが、これでは、脱炭素社会に向けたイノベーションも生まれにくく、ますます海外に後れを取るのではないかと心配である。

一方家庭の削減は、その手段として、省エネやライフスタイルの転換、低炭素製品への買い替え、公共交通利用など低炭素サービスの選択などが考えられるが、個人の取組には限界があり、それを促す制度やシステムの変更が不可欠だといつも思っている。
その最も効果的なインセンティブは、やはり「頑張った人が経済的に報われるしくみ」ではなかろうか。

市民にとって身近な省エネ行動は節電だが、以前からずっと不思議に思っていたことがある。それは、電気を使えば使うほど安いのは何故なのか、ということだ。これでは省エネのインセンティブは全く働かない。
 脱炭素社会に向けての第一歩は省エネの徹底で、それを進めるには、再生可能エネルギー100%になるまでの間は、料金設定の前提を、大量に使う人は安いという設定から、大量に使えば高料金、省エネで頑張れば低料金、という仕組みに抜本的に変えていくことが有効だと思う。そうすれば、もともと電力消費量が少なくこれまでの料金設定では恩恵を受けていない一人世帯でも頑張る気になる。
併せて、CO2をたくさん出す石炭などには高い税を課す炭素税を本格的に導入すれば、火力発電由来の電気を選ぶ人は高額なり、自ずと再生可能エネルギーを選ぶ個人・企業も増えるだろう。

CO2の大幅削減に向けて普及啓発も大切である。しかし、それだけでは限界がある。
経済優先の現政権であるならば、誰もが敏感に反応し効果も出やすい”コスト・料金・税“といった経済的手法をしっかり確立させることで、市民や主に中小企業の省エネ・節電を促進してほしいものである。
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by JAES21 | 2016-03-08 17:30 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
今こそ抜本的転換を
東京電力の福島第一原発の事故からちょうど5年になる。東電はじめ関係者による事故処理は、必死になされているようではある。それでも原発周辺の自治体では、除染などが進み避難解除が進んできても、この5年間の生活パターンから元の福島の生活に戻ることは難しく、人口の大幅減少は続いているし、今後の復活の見込みもかなり困難な状況である。

そのような中にあっても、日本のエネルギー環境政策は、原発の再稼働や石炭火力発電所の新増設の動きを強めるなど、まるで旧時代への復古調が著しい。

その一方、昨年末に画期的な合意とされたパリ協定が、発効する先を見据えて、世界の主要な国や企業は、脱化石に向けて活発に動き出している。特に、自動車業界、金融、IT関連、あるいは地方公共団体などでの先取りの動きは、かなり顕著なものがある。伝えられるところによると、アメリカでは多数の市長や下院議員が、再生可能エネルギーの比率を2030年には50%、2050年には100%を目指すと表明しているという。また、米議会では、再エネ関連の税控除が5年間延長されることになったようである。当初は、共和党からの激しい反発により、延長は不可能と見られていたが、時代の流れを読んだ新たな動きと見ることも出来る。さらに、金融や投資機関は、最早、パリ協定が目指す「脱化石社会」を先取りするがごとくに、例えば石炭火力など、化石燃料に投資している企業から資金を引き揚げようとする動きや、また、逆に再生エネ比率100%実現を宣言する企業なども増えているようである。

このように、世界はパリ協定の発効を先取りするごとく一斉に動き出している感が深いが、日本は相変わらずである。日本の中でも温暖化対策はこれまで、相当な努力は続けられていたことは確かである。照明をLEDに替えたり、ハイブリッド車を普及させ、そして水素燃料社会を目指す動きも出てきている。しかしながら、国内でのCO2など温室効果ガスの排出量は、90年時点から、多少の増減はあったもののほぼ横ばいで、直近のデータでは、原発停止の影響も多少はあるにしても、90年から7.5%の増加を示している。米国をはじめ欧州の主要国などは、この間に温室効果ガスの排出を相当減らしているのに、日本は足踏み状態を続けているのだ。

さすがに、省エネ法の規制強化を図るなど、経済産業省もかなり力を入れているようであるが、根本のエネルギー構成比率は、パリ協定が合意された後でも、全く変えようとしていない。即ち、2030年において、原子力は総発電量の20~22%、再生エネは22~24%、石炭は26%といった電源構成は変えていないし、パリ協定を受けて、この比率を変更する議論を寡聞にして私は知らない。メディアも本気になってこの問題を取り上げているようにも見えない。

こう見ると、繰り返しこの欄でも主張してきたように、日本はエネルギー・環境政策の部門で、世界をリードするどころか世界のトップランナーの背中も見えないほどに遅れてしまったと言っても過言ではなかろう。ソーラーパネルの技術開発や普及を真っ先に尽力したシャープが今、日本の原子力優先・再生可能エネ軽視の政策も背景にあってか、台湾のホンハイに買収されようとしつつあるのも、このまま行くと日本の先端企業全体の運命を暗示しているように見えるのは私だけであろうか。

エネルギー・環境政策を抜本的に転換しなければ、日本に未来はないのだ。
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by JAES21 | 2016-03-01 17:30 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)



環境文明21の共同代表「加藤三郎」「藤村コノヱ」の両名が、時事問題等を斬る
by JAES21
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