環境文明21は、環境負荷の少ない持続可能な環境文明社会の構築を目指す環境NPOです。
  

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排出事業者にも責任はある
廃棄食品の転売が大きな問題となっている。

自給率40%を切る日本では、食料の多くを海外から輸入しているにもかかわらず、家庭から未使用の食品が捨てられ、今回のように廃棄するには勿体ない食品が捨てられること自体、大問題である。
しかし、ここでは廃棄物処理に誠実に取り組む人たちを知っている者として、今回の事件について感じたことを述べたい。

当然のことながら、適正処理を行わず横流ししたダイコーと、廃棄物と知りながら仕入れたみのりフーズの行為は決して許されるものではない。
しかし、そこだけに問題点があるわけではなく、廃棄物処理を取り巻く環境、とりわけ処理を委託した排出事業者や業界を指導・監督する行政(特に県)に責任はないのだろうか。

排出事業者には、自ら排出する産業廃棄物を自ら処理する責務があるが、その処理を処理業者に委託した場合には、中間処理や最終処分の終了をマニフェスト(書面又は電子データ)で確認することが義務づけられている。また、処理状況の現場確認も努力義務として課せられている。しかし、今回の事件もそうであったように、マニフェストは処理業者の自己申告に基づくものであり、現場確認も手間がかかるためその場限りのケースが多く、不正が見抜けないという実態もあると聞く。

その一方、排出事業者の中には、処理価格の安さだけで処理業者を選択することもまれではなく、そのことが、産廃業界の“安かろう、悪かろう”の悪しき慣習と悪徳業者の温存につながっているとも言われる。

複雑化する産業廃棄物を安全かつ適正に処理し、可能な限り資源にしていこうとすれば、それなりの費用がかかる。しかし、処理業者にとって「お客様」である排出事業者に対して強いことは言えず、仕事欲しさやこれまでの慣習で、安価な処理費用で請け負うケースも多いと聞く。そして、このことが、適正な価格で適正な処理を行おうとする処理業者の足かせになっていることも事実である。
また、排出事業者から排出される廃棄物に関する情報がないために、処理過程で火災などの大事故をおこすケースもあり、産業廃棄物業界の災害率は他業界に比べて高い。

今回の事件を契機に、改めて、適正処理、そして資源循環という廃棄物処理業に課せられた社会的使命を業界・個々の事業者が深く認識し、自らが襟を正し、全うすることは当然である。
それと併せて、排出事業者は自ら排出する廃棄物の処理に責任を持ち、廃棄物情報をこまめに処理業者に知らせ、中環処理や最終処分の状況を自ら確認する、そして何より、 安全かつ適正な処理にはそれ相応の費用がかかることを認識し、その責任を全うできる体制を社内に整備することも必要ではなかろうか。
さらに行政には、取り締まりを強化し悪徳業者の排除に全力を尽くすことはもとより、行政、排出事業者、処理業者、そして市民も含めた関係者の情報交換の場を設けるなど、健全な資源循環社会に向けた取り組みが社会全体で進むよう、そんな取組も期待したい。
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by JAES21 | 2016-01-26 17:30 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
「パリ協定」の骨肉化のために
京都議定書の後を引き継ぎ、2020年からの気候変動対策の法的枠組みをいかに構築するかを巡り、長年に亘り、厳しい議論を続け、紆余曲折を経て「パリ協定」が歴史的な合意を達成してから一か月余が過ぎた。この間、国内外でパリ協定をどう評価するかいろいろな意見がマスメディア上には出ているが、まだ、協定の中身を骨肉化したと言える状況ではない。

「パリ協定」という名の外交文書は確かに全員一致で採択されたもののまだ発効していないことはもとより、正式な訳文すらまだない段階で、議論の進展を期待するのは無理なことかもしれない。しかしながら、「パリ協定」の意義の重大さを考えると、出来るだけ早くこのパリ協定が、私たちの社会に投げかけているメッセージをどう受け止めるか、各方面で活発な議論が展開されることが期待される。

この「パリ協定」が採択された直後の12月18日、私たちもメンバーである「グリーン連合」は、声明を発している。この声明文自体、非常に重要であるが、特に第3項において、次のように述べられている。


3.今回のパリ協定に示されたメッセージは、産業革命以降、エネルギー源として化石燃料 を大量に消費し物質的に豊かで便利な経済社会を築いてきた過去2世紀余に及ぶ都市・工 業文明を大転換し、低エネルギー消費社会の実現を一層推進するとともに、温室効果ガス を排出しない再生可能エネルギーへとエネルギー源をシフトすること、すなわち、「脱炭素」 社会の実現に社会が大きく舵を切ることを意味する。

言うまでもなく、これは国内的にも国際的にも数々の困難を伴う大仕事である。

しかし、 昨今の気候激変のスピードを考えると、パリ協定が明示するように、「今世紀の後半」には 温室効果ガスの実質ゼロ化に向けて社会のあらゆる体制を速やかに整えなければならない。


ここにあるように、気候変動の激変のスピードがますます上がってきたことを考えると、従来IPCCが今世紀末に温室効果ガスの排出をゼロ又はマイナスとしていたことが前倒しにされて、今世紀「末」ではなく、「後半」となっているところに注目する必要がある。すなわち、私たちの経済、ルールを決める政治、経済を支える技術、そして何よりこれら全体を支える教育もやはり今一度根本から見直すべきであろう。

日本の社会について言えば、ポツダム宣言を受けて日本が無条件降伏し、新しい憲法の下で再生・出発したように、私たちも「パリ協定」を受けて、あらゆる面で変わらなければいけない。そのためには、単に技術や経済の一部であるとか、物質的な豊かさを求めGDPの増大ばかり目指してきた政治であるとか、そして、そのようなことに都合のよい人材の育成を第一の目標にしていた教育も、速やかに変わらなければいけない。

私たちの社会が、持続不可能な社会にまっしぐらに突き進んでいる現状からすれば、このような変革は「パリ協定」があろうとなかろうと、必要なことではあったのだが、なかなかそのきっかけを得ることが難しかった。「パリ協定」こそ、多分、最後(?)のきっかけとなるべきである。そのためには、「パリ協定」をどう受け止めるか、実現するための道は何かといったことが、あらゆるところで活発に議論され、パリ協定に盛られた意思や施策の実現に向けての活動が活発に展開されることを期待したい。


グリーン連合声明文全文はこちら
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by JAES21 | 2016-01-19 17:30 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
消えてしまった1.5℃

昨年末に採択されたパリ協定を受け、気候変動に立ち向かうための新たな時代の幕開けとなった。

そうした中、長いお休みを経てやっと国会が開会されたが、気候変動対策に関する議論は全くなく、相変わらずの選挙をにらんだ政争が続いている。

ところが多くの人が知らないところで、安倍総理を本部長とする地球温暖化対策推進本部は、国内対策の取組方針を12月22日に決定している。

しかし、内容は誠にお粗末としか言いようがない。

特に問題なのは、前文において、「パリ協定等において、2℃目標が世界の共通目標となり・・、」としている点である。
パリ協定では既に深刻な被害が出ている途上国からの強硬な意見を反映し、「世界共通の長期目標としては、工業化以前の地球の平均気温からの昇温を2℃よりも十分下回るよう抑え、1.5℃未満に止めるよう努力する」としたことが功を奏して、途上国を含む全ての国が参加する形で採択された。
にもかかわらず、日本政府の取組方針では1.5℃未満という文言を消し、2℃目標が世界の共通目標としている。これは、日本政府がパリ協定そのものを軽視しているととられかねないし、実際に気候変動に対する危機感のなさや覚悟のなさを露呈するものである。

また、「来春までに地球温暖化対策計画を策定するが、策定に向けて中央環境審議会・産業構造審議会の合同会合を中心に検討を行う」とした点も問題である。
勿論、この両者の意見が公正・公平に政策に反映されれば問題ない。
しかし、これまでの長年の経緯を見る限り、経産省所管の産業構造審議会の意見が重視され、環境省所管の中央環境審議会の意見は軽視され続けている。
特に、現政権においてその傾向は顕著であり、実際に、COP21に向けての日本の約束草案も合同部会が組織され議論されたが、温暖化防止の観点からのエネルギー構成に関する議論は殆どなく、最終的には日本は低い削減目標値しか示すことができなかったという経緯がある。
そして、今回の国内対策の取組方針に、1.5℃未満という文言を書きこめなかったこと自体、その力関係を如実に表している。

パリ協定の精神を根底に、危機感を持って日本が気候変動対策に取り組むには、やはり私たち市民が本気になって、政治を動かす力を持たなければ、と強く思う。
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by JAES21 | 2016-01-12 17:30 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)



環境文明21の共同代表「加藤三郎」「藤村コノヱ」の両名が、時事問題等を斬る
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