環境文明21は、環境負荷の少ない持続可能な環境文明社会の構築を目指す環境NPOです。
  

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リーダーの責任は重大
これが私にとっては本年最後のブログとなる。

年末に発生した事件のなかで特に私が気になったのは、東芝不正会計問題である。その内容や経緯を詳しく知っているわけではないが、この不正問題のために発生した様々な損害の故に、東芝は、国内外の事業所・工場などで働いている約1万人の社員をリストラせざるを得なくなったという。一万人前後と言えば大変大きな数だ。東芝といえば、言うまでもなく日本の名門企業で、人もうらやむ一流企業でもあった。おそらく子や孫を就職させるならば、このような会社にと願った親は多かったであろう。この不正会計問題は、一社員が操作したものではない。社長を含むリーダーたちが意識的に行った不正であり、その結果は、東芝に誇りを持ち、まじめに働いていた多数の社員の人生を大きく曲げてしまうことになった。

同じような問題は、5年近く前に起こった東電福島第一原発の未曽有の事故の場合にもあった。この場合、事故の直接のきっかけは、マグニチュード9という巨大地震とそれによる津波であるが、しかし、専門家たちはかねてから大津波の発生や原子力の安全性についての問題点を指摘していた。東電のリーダーたちがそのような耳に痛い指摘にも耳を傾け、必要な対策を取ったか否かが、地震事故の大きさに極めて大きな影響を与えた。これに関係した当時の歴代リーダーたちの責任は、重く問われなければならないし、現に問われている。この二つの例に限らず、組織の大中小に限らず、リーダーの責任は重いということを改めて思い知らされた。

暮れの24日に安倍内閣が平成28年度の予算案を決定した。政府予算としては過去最大規模の96.7兆円だという。中身を見ると来年夏に実施される参議院選挙対策用の施策が盛り込まれているのを読み取れる。そして、28年度予算案に限ったわけではないが、歳入の35%近くが国債依存であり、国と地方の借金は一千兆円を超える天文学的数字のままである。この借金はいずれにせよ国民が返していかねばならないが、そのツケ払いをするのは少し先の世代になる。安倍首相をはじめ現内閣の閣僚は、その頃は少なくとも現在のポストにはついていないであろうし、従って、直接、責任を問われ苦労することはないだろう。

よく言われることだが、今日と明日の繁栄だけを求めて、5年先、10年先、20年先の影響は考慮しないという手法が、安倍内閣だけでなく日本の政治に定着しつつあるのは極めて遺憾だ。そのような中で私が特に心配しているのは、日本はいつの間にか、教育に対する公的支援が先進国のなかでも最下位のレベルに落ち込んでしまったことである。今度の予算案でも今でも足りない教員の数をさらに減らしている。雇用の面でも非正規で働く労働者の数は4割くらいになる。こういうことを考えると日本の将来を担う子供の教育、さらにこれからを担う若手や中年の労働者の労働条件といった日本の基盤をもっとしっかり整えておかねば、将来、生活保護世帯を激増させる結果になるのではないか。いずれにしても、国のリーダー(与党に限らず野党も含め)たちの責任は極めて大きい。

明2016年がもう少し希望の持てる年になることを願いつつ、本年のブログを閉じる。
再見!良いお年を!
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by JAES21 | 2015-12-28 17:30 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
次世代が健全に育ってこそ、社会は持続する

今年も残すところ、あと10日ばかりとなった。
今年は、異常気象のますますの顕在化、ISによるテロの拡大、そして安保関連法成立など、国内外ともに持続可能な社会からますます遠ざかるような出来事ばかりが続いた。
幸い、COP21では「脱炭素社会」へと世界中が大きく舵を切ったが、人間のあくなき欲望を抑え、次世代により良い環境を残せるかどうかは、わからない。

そんな中、来年度の一般会計予算案が96兆7千億円程度と、過去最大になる事が報じられた。防衛費と公共事業、ODA予算などは増額され、予算に占める借金の割合は約35%と先進国で最悪の状況だという。財政再建など口先ばかりで、まさに従来の経済成長路線の延長と軍事拡大路線で、企業・強者にやさしく、次世代・弱者に冷たい現政権の姿勢そのものの予算だと感じる。

一方、18歳選挙権に伴い、高校生の政治活動を封じ込めるような動きが一部の県や政令市の教育委員会で出ている。「安全確保」ということが理由らしいが、選挙権を18歳と決めた時点で、当然予測できたことであり、いまさら何を、という感じである。

以前にも書いたことがあるが、ドイツの中学校を訪問した際、前日の国政選挙の地元での投票率と各議員の得票率が掲示板に張り出され、また教室では、地元の空港跡地の利用に関して、市長に政策を提言するための議論が行われていた。
当時はこうした授業を国内で見たことがなかったため、これが持続可能な社会のための環境教育であり、民主主義教育だと感動したことをいまでも鮮明に覚えている。

先日も日本のGDPに占める教育機関への公的支出は0ECD加盟国中最下位との調査結果が出た。そして来年度予算でも教職員数は削減される見通しだ。経済格差が教育格差も生み出す現状の中で、次世代を担う子どもや青少年への教育は、日本では人的にも経済面でも本当に軽んじられていることが、これらのことからもわかる。

「全ての子どもや青少年が、安心・安全な環境の中で、元気に、心豊かに暮らせる社会」
次世代が健全に育ってこそ、社会は持続する。
パリ協定は、気候変動だけでなく、次世代重視の社会づくりのための世界の誓いでもあることを、忘れてはならない。
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by JAES21 | 2015-12-22 17:30 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
COP21の成功と日本の政治
国連気候変動枠組条約を締結して23年。その下での京都議定書から18年。そして、今回のパリ協定に向けて、本格的に準備し始めて少なくとも6年。これだけの時間を掛け、IPCCに集った科学者・専門家たちの気候変動に関する最新最良の知見をも踏まえてCOP21パリ会議は、私を含む多くの人の予想を超える充実した内容で合意された。

その合意を可能にしたのは、議長国フランスの巧みなリーダーシップはもとより、長年に亘るあらゆる関係者の努力と共に、現実に世界各地で異常気象が猛威を振るっていることであろう。京都議定書からは離脱してしまったアメリカは、オバマ政権になって一貫して温暖化対策を現世代と共に次世代を守るため、政権の重要政策に捉え、パリ会議に向けて影響力を発揮し続けた。そして、京都議定書のときはアメリカよりもはるかに少ない排出量だったが今や世界でダントツの排出国となった中国は、石炭燃料や自動車の急増による深刻な大気汚染に悩まされている。中国以外にインドなども汚染が厳しく、そういうエネルギーと環境に係る世界の現実がこのパリ会議の成功を支えたと思う。

私にとって特に驚いたのは、かねてから太平洋やカリブ海などの小さな島国が強く主張していた「1.5℃以内」目標がパリ協定に書き込まれたことだ。2℃未満の達成も難しい目標と思われていたが、1.5℃が加えられたことによって、日本はもとより各国の削減政策を見直さざるを得なくなってきた。気候変動の激しさを見れば、これも必要なことだった。

パリ協定の達成はどの国にとっても数十年に及ぶ大仕事だ。日本の政治家がこの問題にどう関与したかが気になる。150ヶ国・地域の首脳とともに、確かに安倍首相は参加したし、新参の丸川環境大臣もそれなりに奮闘したとかいろいろあるが、パリ会議の持つ経済的、社会的影響を真剣に政策に落とし込んで考慮したと思われる日本の政治家は私の眼には見当たらない。

パリ会議で白熱した議論が交わされているとき、自民・公明の大幹部たちは例の消費税軽減品目の品定めに連日大奮闘。民主党と維新の大幹部は、国会内で統一会派を作ることに大わらわ。採択されるその瞬間には、安倍首相はインドにいて、日本の新幹線と原子力技術の売り込みに精を出していたという塩梅だ。政治家にとっては、現実の問題への対処は当然必要だ。しかし、日本の主だった政治家の中で、気候変動問題を巡って150人の首脳が参集しなくてはならない気候問題の現実とそれが日本の政治・経済の今後の運用に与えるインパクトについて、どのような考えをもち、政策を打ち出そうとした人がどれだけいたのか。少なくとも私には見えない。日本の政治感度の低さと戦略性の乏しさが気になってならない。
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by JAES21 | 2015-12-15 17:30 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
欲望をコントロールする術は?
先日大阪で、「グリーン経済へのアプローチ」と題する勉強会を開催した。

“環境問題は文明の問題”という認識の下スタートした環境文明21では、社会の重要な柱の一つである経済の在り方についても継続的に探求し、2005年には『グリーン経済を成り立たせるための10の提言』を出している。今回の『「グリーン経済」へのアプローチ』は、それをさらに深化させたものである。

気候変動、テロ、格差など、解決困難とも思われる課題が世界を席捲しているが、これら問題の背後には、現在の経済活動が大きく影響していると思われる。にもかかわらず、多くの人は、環境や人類社会の危機から目をそらせ、「何かおかしい」と思っても、これまでの道を変えようとはしない。

そんな中、私たちは現在の経済から、「経済と環境が調和し、人間社会が生き生きと脈動する、持続可能な社会を支える経済=グリーン経済」への転換を提案している。

詳細はHPなどをご覧いただきたいが、実現に向けては、①量的成長から質的成長にその重点を転換させること、②自然の理に沿って生態系を壊すことなく、民意を反映した「徳」や「倫理」をも組み込んだ規律ある市場経済を創るための新たなルールを設けること、③セイフティネットとして、あらゆる人に「働く場・仕事」を確保すること、が重要であると考えている。

しかし、大阪の会合でも、「理念・方向性には賛成だが、広めるのは難しい」との意見が多くの人から出されたように、なかなか広がらない。

7日の朝日夕刊に、河上肇京都帝国大教授の記事が掲載されていた。彼はおよそ1世紀前に格差と貧困を解決する経済の在り方を模索したが、結局、解決策は個人の心がけ、としたことにより、他の経済学者から批判されたという。

気候変動など顕在化していない時代で、少し視点が異なるものの、私たちと同じ問題意識を持った先人がいたことはうれしいが、1世紀以上たった今も、貧困は解決しないどころか深まるばかり。いかに難しい問題かを再認識させられる。

気候変動もそうだが、世代や国を超えた難問解決には仕組み・ルールは必須である。しかしそれ以上に、人間の欲望をどうコントロールするか?特に経済活動はそれが深く関わることから、なかなか難しい。結局は河上が言うように「個人の心がけ」、即ち、共生、互助・利他、ほどほど、中庸、知足などの価値をどう培うか、そのための「教育」しか道はないようにも思う。
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by JAES21 | 2015-12-08 17:30 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
気候変動パレードに見る日本人の関心度

気候変動防止に関する国連会議COP21がパリで11月30日から開催されるのに先立ち、28日(土)、晴天の東京で、「アースパレード2015」と称する集会が日比谷で開催された。

何しろ、ますます猛威を振るい始めている気候変動に対する国際会議を盛り立てようというパレードであり、しかもこれは世界の各都市でほぼ同時に開催されるので、東京でもたくさんの人が集まるのではないかと関係者の間では期待されていた。少なくとも、一万人は集めなければというのが、集会の準備をした関係者の熱い希望であった。

しかし、実際、蓋を開けてみると、会場でありパレードの出発点である日比谷の野外音楽堂に集まった人は、せいぜい600人前後かと思われる。ここで、スピーチや歌があったりしたあと、日比谷から銀座までパレードをしたが、この間少し人が増え、それでも1000人くらいだったと思われる。その中で東京在住と思われる外国人の参加が目立った。その多くはメディア関係者で、家族連れで来ている人もいたが、質の面はともかく数の上では少々寂しい状況であった。

銀座のパレードの終点では参加者よりも警備の警官のほうが目立つほどで、ある外国人特派員は、警備ぶりを見ながら、「日本もかつては相当激しいデモをやったのに、今はおとなしいものだ」という主旨のコメントをしていた。翌29日には京都でも同じパレードが催されたが、その状況については私にはまだ分からない。

世界の主要都市で行われている集会の模様も、テレビなどで報道されているが、それを見る限り日本のはかなり小ぶりな状況だったように思われる。

その原因は何かと歩きながら考えてみた。
気候変動に関する危機感や関心が日本では低くなったのかもしれない、あるいは気候変動対策に否定的な意見の人も決して少なくないと言われている。考えてみれば、日本人の心を不安にしているのは、気候変動だけではない。働く人の約4割が、非正規雇用である現実を考えるといつ職場を追われるか分からないといった不安は、気候変動よりも大きく差し迫っているかも知れない。あるいは、デモやパレードといった街頭での市民活動の有効性や意義に疑問を感じる人も多いのかもしれない。デモやパレードじゃ何も変わらないという冷めた意識かもしれない。しかしながら、関心が低かろうと冷めていようが、気候変動の危機は現実化しているので、この問題に対する対応を政治家や一部官僚にだけ任せておいていい筈がない。

私たちもそれなりの声をあげ、気候変動に国際社会が一致して取り組む必要性に無関心でないことをパリに集まった首脳や交渉担当者に伝える意義はやはりあると考えながら、銀座通りを仲間と共に歩いた。
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by JAES21 | 2015-12-01 17:30 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)



環境文明21の共同代表「加藤三郎」「藤村コノヱ」の両名が、時事問題等を斬る
by JAES21
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