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安保関連法の制定と関東・東北豪雨被害

本年5月以来、特にこの1ヶ月ほど安全保障関連法を巡り、国会内外での動きにネットはもとより、新聞・テレビも連日、様々に大報道している。

安倍首相は集団的自衛権の行使を含む安保関連法が必要なのは、東アジア中心に日本を取り巻く安全保障環境が大きな変化を見せており、それに対応して「国民の生命と平和な暮らし」を守り抜くため、これらの法案が必要と繰り返し説明した。

この関連法案が国会内外で白熱していた9月9日から10日にかけて、栃木・茨城両県で8本もの「線状降水帯」が通過し、鬼怒川の上流では、24時間雨量が500㍉を越えたという。私自身、線状降水帯なる言葉を聞いたのは初めてだが、この気象用語を知らなかった人も多いのではなかろうか。

この線状降水帯は栃木、茨城に豪雨と大洪水を引き起こしただけでなく、さらに宮城にも同様に甚大な被害をもたらした。特に鬼怒川下流の茨城県常総市では、堤防が決壊するなど洪水や浸水が拡がり、8名の人命と家屋・財産、田畑、道路・鉄道など甚大な被害が与えられた。まさに安倍首相の言う「人命と平和な暮らし」が、軍事力ならぬ気象災害によって失われた。

しかも、このような気象災害は今年だけのことではなく、毎年のように日本列島を襲っている。特に昨年8月、広島市街で土砂災害を引き起こし74名の命を奪った豪雨は、今も記憶に新しい。問題は、安倍政権のみならず、日本の与野党が地球温暖化を背景とし毎年のように襲い来る異常気象から、国民の生命と平和な暮らしを守るためにどれだけ頑張っているかである。

少なくとも私には、与野党問わずこの問題には極めて鈍感であり、安保法制で見せたような政治的な動きには全くなっていないように見える。かつて日本の与野党は地球温暖化対策には熱心に見えた時期もあったが、今ではすっかり停滞し、経済によいというだけで、石炭火力発電や原子力の再稼働を許し続けている。

さすがに、環境省だけは、これに歯止めをかける動きを見せてはいるが、安倍総理は安保関連法案の成立以降は、経済政策を最優先すると言明している。経済を最優先する中で、経済に悪影響を与えると誤って考えられている温暖化政策にどれだけ力を入れるのか甚だ疑問である。人間の生命や平和な暮らし、安全・安心は、何も軍事力による脅威だけではない。

今や、日本のみならず世界で常態化しつつある異常気象の脅威をもたらしている地球温暖化対策に今こそ真剣に取り組まなくてはならない筈だ。
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by JAES21 | 2015-09-29 17:30 | 加藤三郎が斬る
安保法制よりも、差し迫った気候変動の脅威

昨年の広島に続き、今年も大洪水が東日本を襲った。
栃木、茨城、宮城を中心に、(14日時点で)死者7名、行方不明者15名、家屋の損壊は約2万所帯、農業被害も10億円を超えるという。

直接的原因として、気象庁は台風18号と17号、そしてエルニーニョ現象を挙げているが、その背景に温暖化があることは疑う余地はない。
温暖化により深海まで達した海水温の上昇は、大量の水蒸気を生む。また海水温上昇と海流の変化は北極の寒気を閉じ込めていた気流の流れを狂わせ、思わぬところに猛烈な寒気を送り込む。
そんな地球規模での海と大気の変動が、様々な異常気象をもたらしていることは科学的にも証明されつつある。

いや、科学からの警告を待たなくても、私たち人間は、異常なまでの猛暑、大型台風、竜巻など、かつて経験したことのない自然の脅威に、「何かおかしい!!」と感じ始めている。
そして、現実に多くの人の生命と財産が失われている。
同じマンションの住人から、「3.11で自宅が崩壊し、やっと新築の家を建てたのに、今回の大雨で流された友人がいる」という話を聞いた。本当にお気の毒としか言いようがない。

山場を迎える安保法案の審議の際、安倍総理は必ず、「国民の生命・財産を守るために、」この法案が必要だという。
しかし、既に多くの人が異常気象に伴う災害で、生命も財産も失っているのに、それに対する対策、法整備は遅々として進んでいない。

架空の敵よりも前に、既に現実のものとなっている大きな脅威に対して、責任を持つのが国家のリーダーの使命である。

国民の多くが反対する憲法違反の安保法案をごり押しして通す前に、一国のリーダーとして、気候変動の科学をしっかり理解し、如何に被害を最小限に止めるか(緩和策)、如何に押し迫る異常気象に対応していくか(適応策)を考え、早急に対策を講じるべきである。

戦争は、人間の知恵で回避できる。
気候変動も今直ぐに手を打てば、被害を最小限に抑えることができる。
しかし、ぐずぐずしている時間はない。
「決める時は決める」のは、こちらの方が先である。

「重大な危険が差し迫った異常事態」という気象庁報道官の深刻な呼びかけを聞いていると、もう間に合わないのかという絶望感に襲われる。
しかし、立ち止まり諦めたら人類社会の明日はない。諦めず、立ち向かうしかない。
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by JAES21 | 2015-09-15 17:30 | 藤村コノヱが斬る
ジョコ大統領の賢明な決定
ジョコ大統領の賢明な決定

安倍晋三内閣になって、アベノミクスの一環として、原子力発電施設や各種インフラの海外輸出に大きな力を入れている。最近、特に目立つのは、新幹線の海外輸出だ。報道によると今回話題となったインドネシアの他、アメリカ、トルコ、ベトナム、タイ、インド、マレーシア・シンガポールに高速鉄道計画があり、それに日本の新幹線技術の採用を求めて、猛烈な受注競争を官民で展開しているようである。

日本の主な競争相手は中国。インドネシアでは、首都ジャカルタとバンドン間140Km(東海道新幹線でいうと東京-新富士間にほぼ匹敵)を結ぶ高速鉄道計画を前ユドヨノ大統領時代に発案したそうであるが、昨年10月に就任したジョコ大統領は、あまり熱心ではなかったとのこと。しかし、ジョコ氏が中国を訪問した後、中国も猛烈に絡んで、つい最近まで日中のどの高速鉄道システムをインドネシアが採用するか、関係者だけでなく私のような人間まで大きな関心を寄せていたものである。

インドネシアの関係閣僚が協議を重ねた結果、9月3日、ジョコ大統領は高速鉄道計画を白紙に戻し、中速(時速200kmから250km)の鉄道を新たに作ると決めたとのこと。

日中両国は、インドネシアと浅からぬ政治・経済関係を築いてきただけに、今回の鉄道計画では、技術・資金双方の面でメンツも掛け、全力を挙げて受注競争を繰り広げた。しかし、結果は、日中両国にとって肩すかしになったわけだ。

インドネシア側から高速鉄道計画を持ちだしておきながら、何故中速鉄道に計画を変更したのかははっきりしないが、報道によると、わずか140km程度の区間で時速300km超の高速で走らせる必要はなく、しかも、そのコストとして6,000億円前後掛かるとなれば、なおさら慎重にならざるを得なかったようである。確かに140kmの間を時速300キロで走るとなれば、最短で28分、250kmだと34分弱。200kmで走れば42分ということで、いずれにしても、さほど時間の短縮となるわけではない。まして、途中駅のことも考えれば、高速のメリットは限定されるだろう。

ジョコ大統領にしてみれば、おそらく、日本・中国が提案したどちらかの案を取ることによって、他方との関係悪化を恐れたという政治的考慮もあったろうし、また、なぜ高い費用を払って高速で走らせねばならないのか得心いかなかったのだろう。

中速鉄道で充分だというジョコ政権の決定は、私は、なかなか味な、賢明な決定であったように思う。

この件で、私はただちに日本のリニア新幹線事業を思い出した。
東京と名古屋の間を40分で結ぶために、5.5兆円以上もの巨費を掛け、しかも、安全が十分に確保できるかも分からず、電力は3倍程度も使い、9割近い区間で地下深いトンネルを時速500kmで突っ走るリニア鉄道事業を廃止も含めて見直すよう、私は、過去にも何度も意見を公表しているが、ぜひジョコ大統領の知恵もこの事業に反映してもらいたいものである。この計画は既に動き出しているが、やがて困難にぶつかるであろうその時には、ジョコ流に転換するのがベストだと今も思う。
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by JAES21 | 2015-09-08 16:28 | 加藤三郎が斬る
会報『環境と文明』8月号風公開しました。

会報『環境と文明』8月号巻頭言『風』を公開しました。

『環境と人類社会の危機に向き合うローマ法王』 加藤三郎

毎月発行している会報『環境と文明』は、その月毎のテーマを決め、専門家の目、市民の目、それぞれの視点から様々な角度で、環境問題を見つめていきます。

見本誌をご希望の方は、事務局info@kanbun.orgまでお問いあわせ下さい。
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by JAES21 | 2015-09-04 13:48 | 会報巻頭言『風』
総理、もう少し、国民そして世界の声を聴いてください!

安保法案反対のデモが全国規模で盛り上がっているにもかかわらず、そうした国民の思いを無視するかのような総理主導の国会運営が続いている。

その総理の口から、気候変動問題を全く理解していないとも思える発言が飛び出した。新国立競技場に冷房は付けず、「かち氷で対応すればいい」旨の発言である。

そもそも今回のオリンピックの開催意義を見出せないでいる私だが、特に開催期間が7月24日~8月9日と、日本が最も暑い時期に欧米のテレビ放映権を最優先して決定したことは納得がいかないし、何より、猛暑の中、選手・観客双方に死者が出るのではないかと本気で心配している。今のように気候変動対策が遅れれば、2020年頃には、今以上に気候変動の影響が深刻化しているだろうと思われるからだ。にもかかわらず、室内競技場に冷房は要らないとは、信じがたい発言である。
このことは安倍総理の一言で決定したそうだが、不幸にして死者が出た場合、総理はいかなる責任をとるというのだろうか。

そしてもう一つ、BS放送では、連日欧州内外からの難民・移民のニュースが流れている。貧しさ故に暴力・紛争の絶えない国から豊かな国へ、膨大な数の難民・移民が命からがらの移動を繰り返している姿は、世界中が不安定な時代になっていることを実感させるが、それに比べて、日本はまだましな方だと思わずにはいられない。
そしてこうした姿を見るにつけ、安倍総理の言う積極的平和主義とは、まさにこういう事態の時にこそ使うべき言葉であり行使すべきことだと思う。2015年1月27日付ブログでも述べたとおり、安保法案にしか関心を寄せない安倍総理は、明らかに、積極的平和主義の意味を取り違えていると思えてならない。

国民の怒りだけでなく、地球の異変からも、世界の動向からも、目を背け続ける総理。
自己の主張のみ繰り返すのではなく、もう少し目を見開いて頂きたいものである。
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by JAES21 | 2015-09-01 17:30 | 藤村コノヱが斬る



環境文明21の共同代表「加藤三郎」「藤村コノヱ」の両名が、時事問題等を斬る
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