環境文明21は、環境負荷の少ない持続可能な環境文明社会の構築を目指す環境NPOです。
  

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地球にあいた不気味な穴
7月19日日曜日の朝、私は寝ぼけ眼で朝刊を目にした瞬間、ぎょっとなった。

それは朝日新聞の一面トップに「極北 大地に謎の穴」という見出しのもとに、クレーターのような大穴の開いた写真がどんと載っている。記事によると、ロシアの北極圏にあるヤマル半島の永久凍土地帯に空いた大穴だという。

この大穴は、直径37m、深さ75mもあるという。この大穴が見つかったのは昨年の6月のことであり、かつ、少なくとも現在、同様の穴が全部で4個見つけられているという。トナカイ遊牧民がわずかに行き交う荒涼とした北極圏の永久凍土地帯になぜこのような穴が開いたのか、原因調査は続行中らしいが、記事には、地球温暖化により、この地域の気温が上がり、雨も降って、その結果、凍土の中に閉じ込められたメタンがガス化し、地中での圧力が増大して、遂に穴を生成したとの推測が紹介されている。私自身はこの記事を読む前に、温暖化により永久凍土が破裂したのではと直感し、記事を読み進めたが、不幸なことにまさにそのような事態が進行しているようである。

永久凍土というのは、ロシアの北極圏だけでなく、シベリア、カナダ、アラスカなど北半球の大陸表面の24%に存在するという。この永久凍土に閉じ込められたメタンなどの温室効果ガスは温暖化に伴って凍土が溶けて墳出するのではないかとかねてから科学者や専門家に心配されていた。その心配が、このような大穴となった状況で表れたことはまさに戦慄すべきことである。

私たちは今までCO2の排出削減対策に主要なエネルギーを注いできたが、メタンはそのCO2よりも温室効果が二十数倍の強さを持つ。すなわち1トンのメタンガスは、CO2二十数トンに相当するということだ。そして、科学者は、CO2の濃度に加え、メタンの濃度が急速に増加し、過去80万年で最も高い濃度に達していることを繰り返し指摘しているが、まだ多くの人の関心がメタンに向いていなかった。この記事はそのような我々の認識の甘さを吹き飛ばすものになったと言えるかも知れない。

メタンは永久凍土の中に閉じ込められているだけでなく、日本の近海を含む海底の中にもかなりの量が閉じ込められている。日本では、そのメタンガスをメタンハイドレートと称し、化石資源として利用しようと試みているが、その試みが上手くいかなかった場合、あるいは、海水温の上昇などに伴い、利用に先立ってメタンが海上に噴き出すということになれば、永久凍土中のメタン排出と重なって、最早、地球の温暖化にとって止める術のない暴走(ランナウエイ)状態になってしまう。それらはずっと科学者に危惧されていたが、まさに、それを目で見せたのがこの記事と写真であったように思う。
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by JAES21 | 2015-07-28 17:30 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
いいね、京大有志の会「声明文」
先週、強引な手法で衆院を通過した安保法案に対して、様々な方面から反対声明が出されている。その一つ、京大有志の会の「声明文」がネット上で共感を呼んでいるという。(7月18日付朝日新聞)。

「戦争は、防衛を名目に始まる。戦争は、兵器産業に富をもたらす。・・・、」   
と続く、誠に明快な声明文だが、特にいいな、と思ったのは、「・・・、学問は、戦争の武器ではない。学問は、商売の道具ではない。学問は、権力の下僕ではない。生きる場所と考える自由を守り、創るために、私たちはまず、思い上がった権力にくさびを打ち込まなくてはならない。」という、最後の部分である。

思えば、現政権は、教育改革と称して、大学にも様々な圧力をかけてきた。
世界に勝てる大学改革を、と世界のトップ100大学に入ることや産学連携の強化を呼びかけたり、最近では社会イノベーションを創出するための教育・研究環境づくりとして、文系廃止や転換を文科省通達で出している。「学生」という人間を見ての改革ではなく、あくまで国力、経済力という「力」だけを念頭に置いた改革である。(「人間」を見ていない点は現政権の全ての政策に共通しているように思う。)

世間では、東芝の不正経理問題が賑やかである。利益至上主義の結果、日本を代表するトップ企業のトップさえもが、企業倫理、人としての倫理を喪失してしまった姿は、愚かとしか言いようがない。そしてこのことが、直接、上記の大学改革とつながるものではないが、現政権が進める大学改革の結末を見るような思いがするのは、私だけだろうか。

環境文明21では、持続可能な環境文明社会の基盤強化として、大学では、単に企業の経済活動に役立つ人材(企業戦士)の育成ではなく、地球市民としての教養と学問的専門性を深め、持続可能な社会を担う人材の育成に徹することを提案している。

今回の声明文は、我々が希求する真の大学の姿と相通じる内容であり、安保法制への反対声明というより、むしろ、大学の真の存在価値を蔑ろにする政権への、大学人から怒りの声明ではないかという気がする。
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by JAES21 | 2015-07-21 17:30 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
2520億円
2520億円

今の日本では、安保法案協議を巡る国会でのごたごたや、株の乱高下など不安な要素が多々ある中、約一か月に亘って、日本を明るく元気づけてくれたのは、言うまでもなく女子サッカーなでしこジャパンの大活躍である。彼らは初戦から負けなしで、果敢で溌剌とした試合ぶりで、最後の決勝戦の日まで日本中を沸せてくれた。普段、あまりサッカーを見ない私ですらなでしこの戦いぶりに一喜一憂したものである。

優勝を逃したとはいえ、準優勝の銀メダルとは誠に立派なものであり、その熱い戦いぶりを見た多くの日本人の称賛は当然である。

そのなでしこの活躍ぶりを伝えるニュースのなかで、気になるニュースがあった。それはナショナルチームの中に何人も、サッカーだけでは食べては行かれず、アルバイトをして生活費を稼ぎ、その残りの時間をサッカーの練習や競技に充てている人がいるという事実である。なでしこが4年前にワールドカップを制してもなお、そのような厳しい状況が続いていることには心を痛め、男子はもとより欧米の女子サッカーチームのように生活の憂いなく競技に没頭できるようにならないかと思ったのは私だけではないだろう。



そのようなニュースが伝えられた同じころ、新国立競技場の建設費の話がこれまた大きく報じられた。ご存じのように、当初1625億円程度の予算で、新国立競技場を再建するということであったが、いくつかの理由によってこの建設費は約900億程度膨らみ、現時点では2520億円になり、しかも、この費用をもってしても、当初予定した可動式の天井などはオリンピック後になるとのことであり、その上に工期が間に合うかどうかの懸念もあるとのことだ。

オリンピックをする以上、然るべき競技場が必要なのは言うまでもないが、難しいアーチ構造のデザインのために様々な問題が起こっているという。

この2520億円の一部でもあれば、なでしこジャパンの人たちの生活環境も大いに改善されるだろうと思わざるを得ない。肝心の人にお金をかけないで、建物にお金をかけるのは愚かしいことではなかろうか。

さらに言えば、この2520億円あれば、慢性的な資金不足に悩む環境NPOがどのくらい救われることになるであろうか。単純に私たち環境文明21の事業規模を多少大きくしても、2520億円あれば、ゆうに2500年は賄えることになる。別の言い方をすれば、同等程度の事業規模を持つNPOが100団体あっても、25年は活動出来る費用である。

私が言いたいのは、非常に厳しい時代を迎えるであろうこれからの日本で、物にお金をかけるのか、それともスポーツであれ、NPOであれ、人にお金をかけるのかの選択は非常に重要となってくる。

その選択においては、もっと人にお金をかけて、世界的なレベルで活躍できる広範な人材を育成すべきであると考えるが、どうであろうか。
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by JAES21 | 2015-07-14 17:30 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
なでしこの夢は、持続可能な日本につながる
なでしこジャパンの連覇の夢はかなわなかった。
それでも多くの感動を私たちに与えてくれたこと、何より彼女たちの、全員で、全力で、あきらめずに戦い続ける姿は、多くの人に勇気を与えてくれたことは確かである。

それだけではない。
私がもっとも感動したのは、宮間キャプテンの「女子サッカーをブームではなく、文化に」という言葉に象徴されるように、彼女たちは、自分たちのためではなく、次世代の後輩たちのために戦っていたということだ。
あんなに若い女性たちがしっかりと将来のことを考えて、精一杯行動していることは、分野も方法も全く違うけれど、“次世代のために”を合言葉に活動している私たち環境NPOとも通じるところがあるような気がして、とてもうれしかった。

しかし、彼女たちを取り巻く環境、特に経済的な環境は決して良好とは言えないようだ。
前回のWカップ優勝後、女子サッカーへの関心は高まり観客数は増えたものの、ブームが去ると徐々に減少。そのため、彼女たちの数名は依然として昼間は普通に仕事をし練習は夜だという。
そんなハングリー精神が彼女たちを奮い立たせているという面もあろうが、これだけ多くの人に勇気と感動を与えた彼女たちには、もっともっとご褒美をあげたい気がする。

それは何か。
彼女たちの言葉を聞く限りでは、おそらく一番のご褒美は、女子のサッカー人口を増やし、社会に根付かせることなのだろう。

しかし、日本の教育に対する公的支出がOECD加盟国中で最下位であることからも明らかなように、最近の日本は、経済性ばかりを重視し「人」を育てることに不熱心である。
おそらくスポーツ分野でも同じ状況なのだろう。

残念ながら、業界のことも殆ど知らない私には、女子サッカーのリーグ戦を観戦し集客率向上に貢献することくらいしか、彼女たちの夢をかなえる方法を思いつかない。
それでも、彼女たちの夢をかなえることは、実は、多様な能力を持つ若者が育ち、それぞれの分野で生き生きと活動し、仕事や生きることに誇りを持つ、そんな持続可能な日本につながる一つの道ではないかと思っている。
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by JAES21 | 2015-07-07 17:30 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)



環境文明21の共同代表「加藤三郎」「藤村コノヱ」の両名が、時事問題等を斬る
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