環境文明21は、環境負荷の少ない持続可能な環境文明社会の構築を目指す環境NPOです。
  

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2013年?なんだこりゃ!!
新聞など最近の報道を注意して見ている人は、日本の温室効果ガス削減レベルを何パーセントにするかで、政府内で一部産業界を交え、大騒ぎになっていることに気が付いておられるだろう。今年の末にパリで、新たな気候変動(温暖化)対策の法的な枠組みをつくる国際会議(COP21)が開催されるが、この騒ぎは、それに向けて国際社会が何年も掛けて論争してきた結果、先進国など能力のある国は2020年以降、それぞれの国がどのくらい温室効果ガスの削減をするかを含む約束草案を今年の3月末までに提出することになっていた。早くもスイスは2月27日に90年比で2030年までに50%削減という数値を出し、EUもまた3月6日には、少なくとも40%削減という数値を出していた。

京都議定書には参加しなかったアメリカも3月末に2025年までに05年比で26~28%削減という幅のある目標数値を提出したが、28%に向けて最大限取り組む旨のコメントも出している。ロシアも4月1日に90年比で2030年に25~30%削減を正式に約束した。

ところが、日本は2020年の目標で3.8%削減という暫定目標と2050年80%削減目標はあるが、それ以外については全く目標がなく、完全に乗り遅れ。しかし、6月7日、8日にドイツで先進主要7か国会合(G7)が開かれ、この席上に、温室効果ガス問題を重要視するオバマ大統領やメルケル首相が主要な議題に据えることは間違いないということから、この席で安倍首相がぼんやりうち過ごす屈辱的な事態を回避したいとの考えからか、この数か月、経済産業省、環境省、外務省それに自民党のエネルギー・環境議員も参入してバタバタしているわけである。

つい最近の報道によると、どうやら政府は2030年の排出量を約25%削減という方針を決めつつあるようで、この案を4月30日に開催される経産省と環境省の合同審議会に提出することになっているらしい。問題はこの削減をどの年のレベルからの削減にするかを巡って争いがあり、2013年説や05年説を紹介している。

2013年というと関係者はすぐにピンとくると思うが、日本の温室効果ガスの排出量はこれまでで最大級の14億800万トンとなった年である。ちなみに90年だとこれより10.9%低い12億7000万トンであり、また05年を基準にすると13年に比べて0.8%ほど低くなる。経産省の役人たちは実質的な削減幅を数字の見かけよりも、1%でも少なくしたいという思惑からか、2013年説を主張しているように報道からは伺え、全くもってあきれる話である。

温暖化対策上、国際的に共通性を持つ基準年は、長いこと1990年であった。京都議定書の親条約である国連の温暖化防止条約のときに1990年が基準年として使われたことにもよる。その後2050年に向けて先進国は80%以上の大幅削減が必要とされているので、2030年は最終年度でもなんでもない。2040年も2050年も2100年もある。これに向けて大幅に削減、ゼロ乃至はマイナスにまで削減しなければならないというのが科学者のコンセンサスである。それなのに一途中段階にしかすぎない2030年の削減幅を少しでも値切ろうとあがいている姿はみっともないというより、日本の国益に反すると言える。まさか安倍さんがドイツに行ってオバマ氏やメルケル氏の前で、我が国は1%でも削減量を値切りたいので、2013年を基準年としましたと説明するのだろうか。もしそうであれば、ヨーロッパやアメリカ、中国の産業人は、そのような退けた政策ならば日本の省エネ技術開発力・競争力は一段と低下するとほくそ笑むだけだろう。

短期利益追求に明け暮れる経済産業省は、名前を変えて不経済産業省とすべきではなかろうか。
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by JAES21 | 2015-04-28 17:30 | 加藤三郎が斬る
気候変動問題にも、司法の正義を!!
先週、高浜原発再稼働差し止め仮処分の判決が出された。
この判決は昨年5月に、「最も優先される価値は住民の人格権である」として、大飯原発運転差止請求事件判決を出した同じ裁判官によるもの。短期的な経済性のみを重視し、住民や将来世代に対する責任や倫理と言ったものを蔑ろにする政治家や電力会社を中心とした経済界に、司法の「正義」を示した判決であり、個人的には大いに勇気づけられた。
正に『国民最後の砦からメッセージ』(本年4月15日付朝日朝刊-新藤宗幸氏の耕論)である。

一方、COP21を目前に、日本政府や経済界は、これまた短期的経済性のみを優先し、日本のCO2の排出量削減目標を可能な限り低く設定しようとしている。
14日に環境省が公表した2013年度の国内の温室効果ガス排出量は、2007年に次いで過去2番目に多い排出量であるが、その13年を基準年として2030年削減目標を決めようとする日本政府(経産省を中心として)の試みは、姑息なやり方で、子供だましであり、国際的にみても恥ずかしい、の一言である。

なぜこのような薄っぺらな議論が日本でまかり通るのか不思議でならないが、その要因として、国際社会では盛んに行われている排出削減の公平性とか正義に関する議論が、日本ではほとんど行われていないことにも由来するように思う。
そして、経済のグローバル化が進む中で、国内企業の海外進出を支援する立場の経産省だが、その実情は、こうした気候変動に関する国際社会の動きなどには関心を寄せず、経済重視の現政権と経済界をバックに、単に表層的な経済効率性と既得権益の擁護に躍起になっているとしか思えないのである。
環境は国民の共有財であり、地球温暖化は「国際共有財」の問題である。一つの政府、一つの官庁の判断で好き勝手にされることは許されない。

以前に加藤共同代表が、「気候変動による自然災害で被害を受けた人が、その危険性に対する政府の取り組みが甘かったことを理由に提訴できるか」という趣旨の文章を書いたことがあるが、仮にそうした訴訟が現実に起きた場合、司法はどのような判断をするだろうか。(ちなみに原発事故に対しては、民事だけでなく刑事訴訟も既にある。)

いや、将来の話ではなく、現時点で、こうした政府の無責任な姿勢に対して、「最も優先される価値は現在および将来の人々と、貧しい人々の人格権である」とする、司法らしい正義に基づく判断が下せないものかと思うのだが…。
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by JAES21 | 2015-04-21 17:30 | 藤村コノヱが斬る
民主政治の衰退を示す統一地方選の結果
先日、12日、統一地方選前半戦の投開票が行われた。10の道県知事選と5政令市長選、41道府県議選、そして17政令市議選の結果が出た。

各紙が報道しているように、今回の選挙の特徴は、投票率が軒並みほぼ最低を記録したことである。地方選に限らず、国政選挙においても投票率の低下傾向はずっと見られてきたが、本来住民に最も近いところの知事・市長・県議・市議といった身近な政治家の選挙でも下がったことは、やはり日本の民主政治の衰退を示す警告に思われてならない。

私は、低投票率を招いた理由としては、次の3つを考えている。一つは、選挙における選択肢が少なくて、選挙民が投票所に足を運ばせるほどの興味を持たせられなかった点が挙げられよう。今回の選挙で最も注目された「大阪都構想」を巡る府や市の選挙においても、投票率はほぼ45%と48%程度と低率になっている。政党や政治家の選挙民に訴える選択肢の設定能力が、衰微したと考えるべきだろうと思う。

二つ目は、多くの国民が生活苦におびやかされ、選挙に関心を寄せる余裕がないことが考えられる。非正規雇用でいつ辞めさせられるか分からない不安定な生活を強いられている人、あるいはシングルマザーで貧困に苛まれ、明日への希望が持てない人。このような立場の人たちは、政治家が自分の生活を改善する希望を持たせる確固とした政策を打ち出してくれなければ、投票所には足を運ばない人が多いであろう。

理由の三つ目は、魅力的な候補者が少なく、有権者から見て、ぜひ出てもらいたい、活躍してほしい候補者は少なかったのではなかろうか。今のような選挙を続けている限り、結局、よほどの金持ちか2世3世議員でないと、リスクが多すぎて出られないということが言えよう。
それに選挙制度自体も、極めて煩雑で細かく、がんじがらめの選挙戦という実態が、私も選挙に多少関与して、いつも思っている。これでは、有能で力のあり、そして若い候補者を選挙戦の場に招きよせることは難しい。

以上三つの理由を挙げてみたが、これらの疑問を解明すること自体は21世紀の日本で実現すべき持続可能な社会を創る不可欠な要件である。活き活きとした民主政治を我々が創り出していく上で、かなり深刻で正すべき弱点になっており、果敢に取り組むべきであると改めて痛感している。
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by JAES21 | 2015-04-14 17:30 | 加藤三郎が斬る
政府内の民主化を!!
先週末、2030年の電源構成について、原発や石炭火力発電などのベースロード電源の割合を6割程度にするよう、政府に求める方針を自民党が固めた旨報道された。提言案には原発比率は明記されていないが、ベースロード電源6割確保のためには、原発は少なくとも2割程度必要であり、原発回帰の姿勢があからさまである。

負の遺産を残し続ける原発の是非や再稼働については、度々このブログでも指摘してきたが、その上に、今回の方針は、温暖化の大きな原因となる石炭火力発電にも重きを置くもので、いかに自民党、そして現政権が気候変動問題を軽視しているかが如実に表れている。

その2日後、環境省は2030年の電源構成の約35%を再生可能エネルギーで賄うことは可能であり、温室効果ガスの削減効果は最大で1億7280万トン、経済波及効果は年間10兆円、約40万人の雇用も生まれるという試算を公表した。

様々な危険性を孕み今後も莫大な時間と費用を負担し続けなければならない原発や、気候変動を増長させる石炭火力発電が、持続可能な社会を支える電源とは到底思えない。
そうした意味でも、政権と経産省主導で進められるエネルギー政策に一矢報いる形で公表されたこの環境省試算は、歓迎されるべきものである。

しかし問題は、折角の将来性あるこうした試算が、日本のエネルギー政策に、従来も、そして現在も殆ど反映されないことである。

現政権になって以降、日本の民主主義が危機的状況にあると多くの識者が警告している。
特に普天間問題を含め、安全保障や憲法改正に関しては、現政権の独裁的手法が目立つ。
しかし、今回の電源構成やエネルギー議論は、国民生活に直接にかかわるものであり、国民の税金を使って環境省が調査した結果である。
同じ政府内の力関係で、多岐にわたる選択肢が示されることなく公正な議論が行われないことは、国民としては極めて不幸なことであり、まさに民主主義国家の崩壊への道である。

今後、経産省の「有識者」会議でさらに検討が進められるとか。
当面の経済性や一部の利益の為ではなく、今回の環境省の試案も参考に、2030年には気候変動の被害を最小限にし、持続可能な社会を形成するという視点での、公正かつ未来志向の議論を強く求める。
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by JAES21 | 2015-04-07 17:30 | 藤村コノヱが斬る



環境文明21の共同代表「加藤三郎」「藤村コノヱ」の両名が、時事問題等を斬る
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