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真に変革すべきは、政治家の意識
日本学術会議は、高レベル放射性廃棄物の処分について、電力会社が原発ごとに保管施設を設け30年間暫定保管すべきという報告書を公表した。

学術会議は、2012年9月にも、原子力委員会に対して、地中深くに埋めて永久廃棄するという現行の処分方法の白紙撤回を求めていたが、今回は更に踏み込んだ内容となっている。そして、現世代が将来に負担を先送りしないように、30年間保管の間に、最終処分について国民的合意形成を図ること、その合意を促進する中立的な機関の設置についても提言している。

ご承知の通り、現在高レベル廃棄物はガラスと混ぜて「固化処理」し、地中300メートルより深いところに地層処分することになっている。しかし、処分地は決まっていない上に、自然界と同レベルの放射能になるには10万年ほどかかると言われており、誰が、そんなに長期間責任を持てるのかという疑問は常にある。

今回の学術会議の提案でも、さすがに10万年先のことは述べていない。しかし、30年という一世代のライフサイクルを考慮しその間の国民間の合意形成を提案している点、電力会社の保管責任を明確にしている点、そして、「そのような条件の明確化をしないままの、既存原発の再稼働や原発建設・増設は、『現在世代の責任の原則』に反して無責任であり、容認出来るものではない」と明言している点は、現実的な提案として評価したいし、年度末に出されるという具体策にも注目したい。

問題は、こうした提言を真摯に受け止め反映させる技量・能力が今の政府にあるかどうかだ。
前回のブログでも国の責任について述べたが、22日には、山口俊一科学技術担当相が国際原子力機関(IAEA)の年次総会で、仙台原発の再稼働を政府として進める旨表明した。また昨日の安倍首相の所信表明演説でも「原子力規制委員会により求められる安全性が確認された原発は、その科学的・技術的な判断を尊重し再稼働を進める」と明言した。しかし、この発言は、規制委員会の田中委員長の「基準への適合は審査したが、安全だとは私は言わない」という発言と明らかに矛盾する。

稼働の有無にかかわらず、高レベル廃棄物は既に溜まり続けている。再稼働することにより、その量はさらに増え続けることは、子どもでも理解できる。

所信表明演説の成長戦略のくだりで、「真に変革すべきは、社会の意識そのものです」と述べているが、「真に変革すべきは、政治家の意識」なのではないだろうか。
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by JAES21 | 2014-09-30 15:03 | 藤村コノヱが斬る
時代の潮流に敏感に反応するニューヨークでの大規模デモ
毎年9月には、ニューヨークの国連本部で国連総会が開催される。その冒頭部分では各国首脳が登場し一般演説をするのが慣例だが、今年は9月23日を「気候変動サミット」と銘打って、この問題に絞って首脳の意見表明がなされる。

これは藩基文国連事務総長の強いイニシアチブによるものだ。気候変動サミット自体はたった一日ではあるが、オバマ米大統領、習近平中国主席はもとより、百数十か国の首脳とともに安倍晋三首相も参加するという。

そのニューヨークで、21日(日)、気候変動に関する大規模なデモがにあった。報道によると気候変動に関するデモとしては、最大級だという。

9月23日のサミットに向けて、一般市民の思いをぶつけるためだろう。
実際、世界中で気候変動による異常気象が続発している。デモのあったアメリカでも、西海岸では、乾燥と熱波により大規模な山火事が発生している一方で、中南部地方は大雨、北東部では強い寒気が降りてきており、様々な気象災害が発生しているという。
豊かな国アメリカでもこの状況で、貧しい国ではそれ以上の被害となる。

今、台風16号は、既にマニラなどフィリピン各地を襲い、台湾全土や中国南部でも深刻な被害を出しつつ、日本列島に近づいてきている。

このような中で気候変動に対するごく普通の人々の危機感と、それにも拘わらず各国の国益を優先し、温暖化対策の推進に手間取っている国際社会に対する不信と不満が、ニューヨークのデモになったのであろう。

ニューヨークの大規模デモというと、ちょうど今から3年前、「ウォール街を占拠せよ。」「私たちは99%」と言って、ウォール街の中心部で数か月に亘って繰り広げられたデモを思い出す。
言うまでもなく、これは国の富が人口のたった1%に集中しているのに対し、残りの99%が貧困化していく事実に強く抗議したもの。同様の問題に直面している世界各地にすぐに飛び火していったことは、未だ記憶に新しい。

こうやってみるとニューヨーク市は単に金融やファッションのメッカというだけでなく、時代の潮流に強く反応し、稀に見る大規模デモを展開する力があることをうらやましく思う。
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by JAES21 | 2014-09-23 12:55 | 加藤三郎が斬る
九州電力川内原発の再稼働に向け
 “かつて人間が犯したどんな罪よりも数段重い罪”の責任は誰が取るのだろうか?
九州電力川内原発の再稼働に向け、原発事故が生じた場合、「国が責任を持って対処する」という政府方針が出された。再稼働への地元の同意取り付けを容易に進めるためであり、実際これに対して、鹿児島県知事や薩摩川内市長は高く評価したという。
 福島の惨状とそれ以降現在も続く政府や事業者の対応の不十分さを見ていると、こうした一文がどれだけの意味を持つのか?こんなもので地元住民が納得するのか?甚だ疑問である。
そもそも国が責任を持つとはどういうことなのか。国策とはいえ民営の原発事業では、本来事業者にその責任が課せられているが、今回の大事故で明らかになったように、国と事業者である電力会社との責任区分は不明瞭極まりない。というより、誰も責任を取らないし、取れないのが実情である。そのためか、今回は大事故が起きた場合に限り、国の責任を明確にしたと考えられるが、それこそ場当たり的な対応であり、いずれ、この責任を明確にすることが、原発の再稼働のみならず原発の是非を問う上でも重要である。
責任の所在の如何にかかわらず、責任の第一は、福島のような事故を起こさない安全性の確保である。この点について、規制委員会の田中委員長は、「基準への適合は審査したが、安全だとは私は言わない」と発言。「世界で一番厳しい基準」についても異論続出であり、現時点では、国も事業者も「安全性の確保」という最も重要な責任を果たしていないことになる。
次に事故が起きた場合の責任である。今回の政府方針によれば、電源喪失時には100名程度の官僚や医療チームを現地に派遣し、自衛隊出動などの対策を考えているようだが、これがどれだけ役に立つのか?ヘリコプターで注水を試みた福島のぶざまな光景を思い返せば、とても実効性ある対応とは言えないし、吉田調書が物語るように、あの危機と混乱の中で、現場を知らない「専門家」に何ができるというのか・・・。
また事故後の補償についても、福島の現状、そしてこれまでの公害補償などの事例を見ても、補償問題がいかに複雑で長期的課題であるかがわかる。その責任を誰が全うできるというのか・・・。
さらに中間処理の受け入れに当たり福島では最終処分地にしないことを求めているが、最終処分場の確保も含め、核廃棄物の処理に関して、政権が変り、官僚も担当者もしばしば変わる中で、誰が、途方もない長期間の責任をとれるというのか・・・。
以上のように、何一つ、確実かつ実効性のある責任の取り方が決まっていない、取れるかどうかも分からない原発の是非や再稼働に関して、電力会社の経済性と一政権の判断のみで決めていいはずはない。
「いかに経済がそれで繁栄するからといって、「安全性」を確保する方法もわからず、何千年、何万年の間、ありとあらゆる生物に測り知れぬ危険をもたらすような、毒性の強い物質を大量にためこんでよいものではない。そんなことをするのは、生命そのものに対する冒涜であり、その罪は、かつて人間のおかしたどんな罪よりも数段重い。」(シューマッハー著『スモール イズ ビューティフル』より)ことを、政府、事業者、そして全国民が肝に銘じる必要がある。
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by JAES21 | 2014-09-17 20:50 | 藤村コノヱが斬る
2020年東京五輪への環境省提案に触れて
環境省は先月5日に、「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会を契機とした環境配慮の推進について」と題する文章を発表した。

その中身を見ると、東京五輪は「人類共通の課題に対する解決策を提示する」として、具体的には次の3つの課題を掲げている。すなわち
①多くの国が直面する人口減少、高齢化が進展する社会。
②2020年は温室効果ガスの削減目標年と生物多様性の保全に関わる愛知目標の目標年であること。
③気候変動、生物多様性の損失といった人類共通の課題に対して、我が国が先駆けてその解決に向けた道筋を世界に示し、技術、インフラの導入に留まらず、社会の仕組みや価値観の変化を含めた循環共生型社会の実現の契機とする
とある。

昨年のちょうど今頃、2020年のオリンピック・パラリンピックが東京で開催されると決まった翌月の会報『環境と文明』において、2020年の開催は、東京グリーンピックにしてはいかがかとオリンピックのグリーン化、環境省の言う「環境にやさしい」東京五輪にしたらいいのではないかと提案した私としても、この文書を取りまとめた環境省の意思は多とし、評価したい。しかしながら、3.11後、民主党政権下と安倍政権下において、温暖化政策に見るべきものを全く見出せない中で、人類共通の課題に対し、我が国が先駆けてその解決に向けた道筋を世界に示すと言ったところで、一体何ができるのかという思いがよぎる。少なくても現時点ではそうなる。

6年後に日本の政権を誰が担い、どういう思想と政策を引っ提げて、日本と世界に訴えかけていくかは分からないが、少なくとも現状を見る限り、あまりにも乏しい。

2010年の名古屋で開かれた生物多様性保全のためのCOP10 において日本が頑張ったことは確かだが、その後、フォローアップがまるで出来ていない。名古屋議定書は間もなく発効するというのに、それを生み出すのに少なからず努力した環境省は、未だにこの議定書の国会批准にもこぎつけていない。温室効果ガスの削減に至っては、惨憺たるものである。1990年を基準とする国際的な標準に従えば、日本は、相当努力したようには見えても、温室効果ガスの排出は、全く減っていない。他の先進国を見ると、ドイツ、イギリス、フランスなどは、2割から3割の削減をしており、アメリカでもこの間削減しているので、主要先進国で、増加させた国はほとんど日本だけ。2020年に向けて、どのような対策を取ろうとしているのか。火力発電所や製鉄所などの固定発生源や、車・飛行機・船舶などからのCO2の排出を規制する議論すらなく、2020年、30年、40年、50年に向けての排出削減のロードマップも全く描かれていない。このような中で、何を世界に示せるのであろうか。

そこで、せめて技術をということになるのだが、その技術も日本では、この20年の間にずるずると後退し、外国に率先して示せる最先端技術はあるのだろうか。報道によると、選手の移動には、燃料電池車、電気自動車などを使うことが言われているが、これなど、陳腐とは言わないまでも最早、先端的な技術ではなく、人が驚く技術でもない。日本は、福田内閣が2008年にG8洞爺湖サミットを開催したときに、最早この手の陳列・展示は済ませてある。まさかこれら中古品をひっぱり出してきて使うということでもあるまい。

そうしてみると、環境省が願うような「環境にやさしい」東京五輪にするというのは、根っこから、私たちのライフスタイルの変更や規制や技術開発を今から動員しなければ、世界が感心するようなものは何も出せないということになるだろう。

むしろ心配なのは、異常気象により、陸上選手が突然の落雷でケガをするとか、競技場周辺にマラリアやデング熱を媒介する蚊たちが舞い狂い、白衣に完全武装した職員たちが蚊の退治に追われる。そうこうするうちに、熱中症で職員や観客が倒れていくという悪夢すら現実味を帯びつつある。そうならないようにするには、東京だけをいくらグリーン化しても足りない。日本だけでなく世界も頑張らねばならない。その頑張りの先頭集団に日本が立てるかどうかだ。今は、明らかに先頭集団にはいない。第2グループ後方でもがいているのが、今の日本の実力だ。2020年までには、この恥ずべき状況を払しょくすることを強く願う。
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by JAES21 | 2014-09-09 11:51 | 加藤三郎が斬る
深海にまで到達した温度上昇
深海にまで到達した温度上昇
先週末の午後9時から、NHKスペシャル「異常気象 暴走する大気と水の大循環」「スーパー台風」が放映された。

その内容は、IPCCの報告などに基づくもので既に多くは知っていたことだったが、シミュレーションなど映像で映し出されると、やはり、インパクトは大きく、もう手遅れかもしれないという気がしてくる。

また、表層海水温の上昇が最近少し止まっていることの理由がよくわからないでいたが、昇温の範囲が深海に及んでいるためであることがわかり、いよいよそこまできたかと、愕然とした。
かれこれ10数年前、日本の温暖化研究のリーダー的存在だった、今は亡き森田恒幸先生が、深海まで温度上昇が及ぶと、地球規模の海洋循環に異変が起き、気候変動に拍車がかかることを教えてくれた。そのことがついに現実になりつつあるという事実を、科学は突き付けた。

各地で頻発する豪雨、竜巻、巨大台風、その甚大な被害になす術もない人間。

番組では、温暖化の原因になっているCO2を減らすこと、どう災害を防ぐかという対処療法的な事しかコメントしていなかったが、そんな個人的な努力だけで防げる規模ではないことは明白だ。

政治家も企業もそして私たちNPOも、市民も、国を挙げて、本気で、この事実と真摯に向き合い、早急に対応策を考え行動しなければ、到底、太刀打ちできない。
それでも、もう間に合わないかもしれないけれど・・・・。
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by JAES21 | 2014-09-02 11:55 | 藤村コノヱが斬る



環境文明21の共同代表「加藤三郎」「藤村コノヱ」の両名が、時事問題等を斬る
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