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大規模土砂災害の背景には地球温暖化
大規模土砂災害の背景には地球温暖化

ここ一週間ほど、日本列島の様々な土地で豪雨に伴う大規模な土砂災害のニュースを聞かない日は無いくらいだ。

兵庫県丹波市、京都府福知山市、あるいは岐阜県高山市で…といったように次々と豪雨や土砂災害のニュースが伝わってくる。

そのなかでも、20日の未明に広島市北部で発生した大雨とそれに伴う土砂災害は、多くの人の注目を集めた。何しろ現時点で、死者の数60名、行方不明者26名と人命にかかわる損害が大きかっただけでなく、住居や生活エリアがまさに泥土に破壊された惨めな姿を見れば、影響はまことに深刻である。この広島で不明者を捜査している最中の24日には、大阪府池田市や北海道礼文島でも土砂災害があり、一体いつまでこのような状況が続くのかと、多くの人が心配するのも至極当然なことだ。

この一連の報道の中で、私が気になることの一つは、この大規模土砂災害の背景には、明らかに地球温暖化があるにも関わらず、それについての報道や解説はごく少ないことである。もちろん、土砂災害には様々な要因がある。地球温暖化に伴う異常気象だけが、特定の都市や特定の地点での災害を引き起こしているわけではない。しかしながら、最近では、一時間降雨50㍉を超し、さらには100㍉を超す猛烈な雨が降り注いでいる背景には、地球温暖化によって海水温度が上がり、そのために蒸発量が増え、大気中に含まれる水分量が膨大になり、それが山肌や寒冷前線などにぶつかって、一気にゲリラ的に降り注ぐという構図を理解しないと、この問題への中長期的な対応策を誤ることになる。

時々報道されるような道路に打ち水をしたり、クールビズで暑さをしのぐのが温暖化対策であってはならない。

また夏休み中の安倍首相が、東京で対応を協議した後、ゴルフに戻ったとか戻らなかったとかといった次元の話ではない。安倍首相が夏休みを取るのは誠に結構。
しかし、最も大事な気候変動対策、すなわち温暖化ガス削減目標を明確に設定すること、規制の措置を講じること、さらには経済的手法を有効に活用すること、少なくともこの三点を安倍首相は怠っており、そのことを批判し、対策を求めるべきである。

土砂災害を単なる自然災害という図式に落とし込むことは、その背景をなしている気候変動に関する政府の無策を覆い隠すことになる。そのような報道は、ポイントをついた報道とは思えない。
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by JAES21 | 2014-08-26 11:50 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
大切な仕事に価値を与えない社会
都会の暑さを脱したい一心から、北関東の北部の町に出かけた。そこで出会った友人の奥様Fさんから思いがけない話を聞いた。

Fさんは、三人の子供が成長したのを契機に、小学校で特別支援学級のお手伝いをしている。三か月のつもりがもう数年になるという。
特別支援学級とは、知的障害、肢体不自由者、身体虚弱者など、教育上特別な支援が必要児童・生徒のために設置された学級。しかし彼女の話では、最近は、障害のある子どもよりも、虐待などにより精神的ダメージを受けた子どもの方が多いという。勿論、アスペルガー、ダウン症などの子もいるが、そうした疾患のある子どもは親との協力関係が成立すれば、そんなに手はかからないのだそうだ。

それに比べて、虐待を受けた子は、愛されることを知らずに育ったために、大人への不信感が強く、気を引くための異常な行動も多く、またほとんどの場合家庭の協力も得られないために、本当に大変なのだという。

昨今の報道などから虐待が以前にもまして増加していることは知っていたが、そうした事態が、まだまだ自然も多くのんびりした雰囲気のある北関東の郡部にまで広がっていることに少し驚いた。

しかし、それ以上に驚いたのは、特別支援に関わる多くの職員が非常勤ということだ。
どう考えても、仕事内容も責任も普通学級よりは重いだろうと思われるのに、その多くを担うのが非常勤とは、驚きである。(担任はいるが、そうした子どもたちにとって、担任も非常勤も関係ない。)

非常勤職員が資質・能力そして熱意において劣っているとは思わない。
そうではなく、教育そして福祉の領域も含むこうした大切な仕事に対する価値づけがあまりに低いことに対する驚きそして怒りである。

文部科学省の調べでは、公立小中学校における非正規教員が全体に占める割合は、平成17年には12.3%だったのが平成23年には16%に増加している。正規教員の増員要求は続けられているようだが、なかなか認められないという。

教育の世界にも、経済優先そして格差がますます浸透しているようで、なんとも重い話であった。
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by JAES21 | 2014-08-19 13:35 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
自主行動計画ではまるで足りない
先月9日、経産省は、地球温暖化防止の京都議定書の達成に向けた同省所管の産業界の自主行動計画による削減実績の評価とフォローアップに関する報告書を取りまとめた。
経産省関連ページ

それによると41業種中、34業種が目標を達成した一方で、電事連など7業種が目標達成できなかったとした上で、それぞれに対して分析を付けている。

産業界であれ、私たちのようなNPOであれ、気候変動対策を含む環境対策を自主的に計画し、行動することは、結構なことであり、必要なことである。

実際、1990年代に入ると企業は、ISO14001から始まって、環境レポートの作成・公表、環境会計についての公表、また最近ではIO26000 に基づくCSRの公表。さらにはCSRからCSVなどと称して、企業の活動が社会や環境に与えるインパクトについて、いずれも法律に依らず、自主的な判断で取り組んでいること自体は評価できる。

しかし、このような自主行動だけで、これから必要となる地球環境の悪化の食い止めが可能かというとはなはだ心もとない、というより、これだけでは不可能である。なぜなら、気候変動問題一つとっても、異常気象の頻発など現時点で既に大きな影響が出ている。

このブログを作成し、書き込んでいる時点でも台風12号の影響を受け、四国では記録的な降雨があり、1000㍉を超えたところもあるとのこと。実際、高知市他で洪水や山崩れなど深刻な被害が発生している。それに加え、台風11号が巨大に成長しつつ、かつて経験したことのないような異常気象を伴って日本を襲おうとしている。

昨年9月にIPCCが取りまとめたレポートでは、地球の気温上昇が破滅的なレベルに達するのをギリギリに回避できる条件の「2度上昇以内に抑える」ためには、世界全体で、2050年までに今日の温室効果ガス排出量の4割から7割の削減が必要と指摘している。2050年というと随分先に思えるが、わずか35年しかない。その中で日本などの先進国は、80%以上の削減を公約している。このことは毎年2%ほど削減し続けなければ達成できない数字である。

一方、自主行動計画により、企業社会を主体とする日本社会全体で、温室効果ガスをどの程度削減したかと言えば、この20年間では削減どころか、微増(1%強)である。つまり、自主行動計画で、日本の企業はかなり努力したにも拘わらず、日本の社会全体では、結果としてむしろ増えてしまっているのである。

このようなことを考えると、やはり、企業を含む日本社会の構成員に対し、自主的な行動で環境対策に臨ませるのはほとんど不可能であると言っても過言ではなかろう。

やはり、システム的な対応が必要なのだ。

それは、毎度述べているように、規制であり、排出量取引に加え税や奨励策を含む経済的手法である。そして、これらを可能とする国民の意識の改革である。

この3点セットを将来に向けて出来るだけ早く確立しなければ、あと5年経ち10年経っても、結局日本からは温室効果ガスを削減できなかったという悲惨な結果になりかねない。そのツケは、日本企業の技術開発力や国際的な競争力の衰退によって、現世代はもちろんだが、それに続く世代へと大きな負担となっていくのである。冒頭でも述べたように、企業であれ、個人であれ、自主的な行動な必要である。しかし、今、人類社会に襲い来る環境のインパクトの大きさを思うと、これだけではまるで足りないのだ。
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by JAES21 | 2014-08-05 11:55 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)



環境文明21の共同代表「加藤三郎」「藤村コノヱ」の両名が、時事問題等を斬る
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