環境文明21は、環境負荷の少ない持続可能な環境文明社会の構築を目指す環境NPOです。
  

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誰(た)が為に政治はある?

集団的自衛権の行使容認という、日本の国の将来にかかわる重要課題であるにもかかわらず、市民不在の議論の中で、安倍内閣の強引な政権運営が続いている。
こうした強引さは、これに限ったことではない。
福島からの避難者がいまだ15万人もいるというのに、企業利益を優先して海外に原発を売り、国内では再稼働を進める、相対的貧困率16%(2009年OECD統計)と高いのに、企業には減税、国民には増税を強いるというやり方を見ていると、この人には普通の市民の生活や感覚というものが理解できないのではないかとさえ思えてくる。

同様のことが、石原環境大臣にも言える。
「最後は金でしょ」発言には人間としての品格が問われるが、失言というのは、心のどこかにあるから出てくる言葉である。以前にも、石原大臣は厳粛な国会審議の場に遅刻したことがあり、一般社会では許されないその行動に、大臣としての資質、責任を問われたこともある。

言動の質こそ違うけれど、この二人に共通することがいくつかあるように思う。
その一つは、政治家の家に育ち、おそらく「金と権力」を優先する価値観や環境の中で育ったであろう点、そして市民社会との付き合いなど必要としなかったという点である。ご自身や家族が望んだことでなかったにしても、取り巻く人たちの多くは、「金と権力」に群がる人たちであったろうことは容易に想像がつくし、その環境の中で育てば、私たち市民が持つ普通の感覚など、ましてや市民社会・NPOの重要性など理解できないであろうことも想像がつく。

しかし、民主主義の原点は、「人民の、人民による、人民のための政治」であり、政治の対象は、私たち市民である。一部業界団体や勢力団体では決してない。

昨日6月23日は沖縄慰霊の日。あの戦争で亡くなった20万人の沖縄の人たちは、ごく普通の市民であった。
いまだに避難生活を強いられている福島の15万人も、普通の市民である。
これから頻発するであろう気候変動の被害で苦しむのも、普通に暮らす市民であろう。
いつの時代も、国内外を問わず、戦争、そして災害で犠牲になるのは、多くの場合、普通に暮らす市民である。
そして、こうした多くの普通の市民の現状や思いを理解し、受け止め、政治に反映させるのが政治家の役割である。

生れや育った環境を変えることはできない。
しかし政治家である以上、普通に仕事をし、普通に暮らす人たちが何を考え何を望んでいるか、普通の市民が考える幸せとは何か、市民社会とは何か、そんなことを自ら聞き考え理解する努力と、誰のための政治であるかの本質を、せめて、忘れないでほしい。
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by JAES21 | 2014-06-24 13:27 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
世にも不思議な物語
世の中には、理解を超える不思議な話というのがよくある。場合によっては、わざと遊びのつもりで、そのような不思議話を得意になって語る人もあるようだ。

今年の6月上旬、日本の主要各紙が報道したオバマ政権の石炭火力発電所からのCO2規制の記事などは、私にはさしずめ世にも不思議な物語の典型と思われる。どういうことかと言うと、オバマ政権は、第一期のときから温暖化対策にはかなり力を入れてきている。それにも関わらず、国内の経済・政治情勢がそれを許さず、思うような効果を上げてこられなかったが、第二期目に入ると気候変動問題に対する取り組みを粘り強く続けて、石炭火力発電所からのCO2排出を大幅に減らす規制策を打ち出した。2030年までに3割削減という内容である。オバマの温暖化政策をずっとフォローしてきている私にとっては、このこと自体は、別に不思議でも驚くことでもなんでもないが、驚いたのは、国内各紙の記事の書き振りである。

一口に言えば、この規制案の中身を比較的詳しく紹介しつつも、この秋に中間選挙を控えているアメリカで、この政策が実現できるかどうか疑問を呈する書き方をしている。それでもここまではさほどは驚かない。

その先である。
報道各紙は、いずれも日本では、このような石炭火力どころか固定・移動の大気汚染排出源に対する規制の話が全くないということを書いていない、つまり、日本はどうするのかといった話が全く出て来ないのが不思議なのだ。まるで、アメリカの気候変動対策と政治は、日本の気候変動対策とは全く無関係、対岸の出来事として報じている。

なぜ、私はそんなことを言うのか。
IPCCは、気候変動により人類社会にとって大変厳しい道を歩みつつあることを繰り返し警告し、2050年までには中国・インドを含む世界全体で4割~7割のCO2等の削減が必要であり、日本については、ニュージーランドなどと並んで、2030年までには、6割程度の大幅削減をしなければ、甚大な被害は免れないと指摘している。

このような状況下にありながら、日本の政治には、規制のきの字もないだけでなく、まともな目標すらないという怠慢に関しては何も書いていない。

1970年の頃、日本でのモータリゼーションの中で自動車台数が増えていたときに、アメリカではマスキー上院議員らにより大幅な自動車排ガス規制の強化が試みられた。その時、日本のメディアは一斉にマスキー法の中身と同じような厳しい規制を日本の自動車排ガス規制に求める一大キャンペーンを実施した。その結果、日本はマスキー法よりも先に自動車排ガス規制に乗り出し、そのことが日本の自動車の質と燃費の向上に極めて大きな効果をもたらした。今日のトヨタ、ホンダがあるのはマスキー法のおかげと言ってもいいくらいだ。そういう過去を知る私にとってみると、オバマが石炭火力に規制をするようだと書いているだけで、日本が何もやっていないことに対するコメントも批判も一言もないというのは、書いている記者が全くの無知なのか、あるいはエネルギー業界に遠慮して、筆を曲げているのかと勘ぐってしまう。

いずれにしても、世にも不思議な物語である。
そのような物語を何気なく読まされている日本の危機と不幸とを改めて思わざるを得ない。
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by JAES21 | 2014-06-17 11:55 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
中小企業の環境レポートが面白い

1990年代の初め頃から、大企業を中心に「環境報告書」が盛んにつくられるようになった。当初は、経営者の環境への姿勢、環境保全に関する方針や目標、環境マネジメントの状況や環境負荷低減に向けた取組状況など、環境に特化した内容が主流であった。
その後は、CRS的内容も含まれるようになり、名称も「CSR報告書」とする企業も増えた。そして、最近では、投資家などのステークホルダーに対して、財務情報および非財務情報(企業の経営戦略、ガバナンス、パフォーマンスなど)の関連性を分かりやすく、比較可能な形で取りまとめ提供する「統合報告書」へと進化しつつある。

こうした報告書の審査に加わることがあるが、最近感じることは、応募する企業も固定化しており(よって表彰される企業も毎年あまり変化ない)、環境報告書そのものが大企業では定着化していることから、もうその新規性を誇る時代は終わったのではないかということだ。

一方、中小企業の環境レポートは実に面白い。
代表者の言葉も本人直筆の場合が多く、なぜ環境に取り組むのかを含め熱い思いが伝わってくる。従業員も真剣に自らの業務を見直し、環境負荷低減の為に真摯に取り組んでいる様子が具体的にわかる。手作り感にあふれ、是非訪問してみたいという気にさせられる。
顔写真や個人のコメントが入っていることも多く、得意先はもとより、きっと、家族や社内のコミュニケーションのツールにもなっているのではないかと想像される。

実際、私たちもいくつかの中小企業の環境レポートづくりをお手伝いしているが、その作業を通じて、環境負荷の実態が社内全体で共有できただけでなく、今後どのようにして環境負荷を削減していけばいいかについて意見交換し知恵を絞ることで、社内のコミュニケーションが盛んになった。また、取引先だけでなく家族や地域の人に見せることを楽しみにしていた人もいた。

中小企業でも少しずつ環境レポートを作成する会社が増えてきたが、まだまだ定着というところまでは遠い。
自らの事業活動を見直し環境負荷を低減させるためだけでなく、社内・家族や地域、得意先とのコミュニケーションツールとして、そして何より、社員自らが持続可能な社会づくりに参加しているという誇りと自信を持つきっかけとして、是非、多くの中小企業が環境レポートをつくってほしいと願っている。こちらの役割はこれからである。
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by JAES21 | 2014-06-10 11:55 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
国富の喪失とは何か
財務省が2013年度の貿易収支の状況や、さらに経常収支を含む国際収支状況を発表しているが、特に貿易赤字に関しては13.7兆円と、巨額な赤字となったことを明らかにしている。
いわゆる原発推進派は、この13.7兆円の巨額な赤字の主因は、原発を停止したために火力発電所向けの燃料輸入が急増したことにあるとの主張が目立った(例えば、本年4月22日付読売新聞社説)。

つまり、国民が関心を寄せる巨額赤字に便乗して、原発再稼働の論拠の一つにしようとしている魂胆が見え見えだ。

しかしながら、原発停止を受けて、火力発電用に増えた輸入額は、3兆円から4兆円程度と見積もられており、貿易赤字の13.7兆円に比べると相対的には小さな額である。それなのに、あたかも原発を停止したために、貿易赤字が増えて、日本の経済状況が危機に陥りつつあるという論調は明らかに間違いである。

現に、民間のエコノミストの多くは、読売新聞のような見方はしておらず、13.7兆円の赤字の多くは、日本企業による海外生産シフトが進み、海外で作られた日本企業の製品を円安下の日本に逆輸入していること、需要増と円安による天然ガス等に対する支払増、さらには日本製品の国際競争力などの低下などによることを重視している。つまり、グローバル経済下での日本の産業構造の変化により、貿易構造も変わり、麻生財務相も言う通り、「日本は最早、貿易立国とは言えない(4月22日)」状況になったことが、貿易赤字の実態だろう。

読売新聞の同社説は、「資源国への国富流出は日本の国力を低下させる。安全性を確認できた原発の再稼働を進め、火力への過度の依存を脱却すべきだ。」とも主張している。このような国富流出論に対して、極めて明快な判断が最近司法から提出されている。

すなわち、本年5月21日に出された、関西電力大飯原発に対する運転差し止め請求事件に関する福井地裁(樋口英明裁判長)判決であるが、次のように述べている。

「国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている。」

誠に明解である。

経済至上主義による政策判断では、火力発電のための3兆円、4兆円程度の赤字増加を大問題視しているが、当判決は、それとは比較できない本質的な「国富」の喪失を明確に指摘した。

私はこの画期的な判決を全面的に支持したいと思う。
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by JAES21 | 2014-06-03 11:55 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)



環境文明21の共同代表「加藤三郎」「藤村コノヱ」の両名が、時事問題等を斬る
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