環境文明21は、環境負荷の少ない持続可能な環境文明社会の構築を目指す環境NPOです。
  

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政策提言型NPOのある半日

先週初め、「環境首都創造ネットワーク」の仲間と共に、『気候変動問題に真摯に向き合い、地域全体の再生可能エネルギーの拡大と低エネルギー社会を実現するための日本政府への提言』を持って、環境省、経済産業省、そして議員会館を訪問した。

このネットワークは、地方自治体、NGO、研究者が連携し、エネルギーの地域自立を通じて、地域から持続可能で豊かな社会に変えていくことを目指している。

当日の提案の要点は次の通りである。

1.気候変動問題に真摯に向き合い、意欲的で明快な削減目標を示し、その実現に向けた政策を構築すること
2.エネルギー政策を根本的に転換し、再生可能エネルギー比率を飛躍的に高めるため、中長期目標値等を早期に設定すること
3.地域主体の再生可能エネルギーの拡大と低エネルギー型社会構造への転換を進めるため、法整備、社会システム構築、財政誘導、人材育成サポートなどの政策を行うこと


こうした提案に対し、どの訪問先でも異論はなく、一様に、「再生可能エネルギーは地域活性化の起爆剤になるものであり、積極的に進めたい。そのためにも具体的な先進事例を是非示してほしい」という話が聞かれた。

しかし、環境省と経産省で温度差を実感したことも事実である。

当日は、環境省では関地球環境局長が対応。一方経産省では直前まで対応される方が不明であったが、関連する4つの部署から課長補佐あるいは係長クラスの若手が対応してくれた。共に丁寧な対応だったが、環境省では(当然のことながら)気候変動や再生可能エネルギーを優先課題として熱心に耳を傾けてくれたのに対して、経産省では気候変動は一つの政策として捉えており、削減目標設定に対しても消極的であることが言葉の端々から感じられた。そのことは、対応者のポジションの違いにも表れていた気がする。

ところで、現在、地球環境局は本省内ではなく近くの貸しビル内にある。そのことは、環境省内における気候変動問題の重要度を示しているようにも思える。原発・廃棄物処理関係の部署が増え手狭になったためだそうだが、気候変動に対する国内対策の遅れは、こうしたところからも見て取れるような気がして、とても残念な思いがした。

いずれにしても、政府の対応を待つだけでは、世界に後れを取るばかりである。
気候変動への積極的な対応を政府に働きかける一方で、再生可能エネルギー利用拡大の具体的な実践例を地域から積み重ね、発信していくことが、持続的かつ近道だと実感した半日であった。
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by JAES21 | 2014-04-22 11:58 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
予見し、対応する力
予見し、対応する力

今月9日から、読売新聞は、「人口減社会」の特集を始めた。少子高齢化による人口減少は日本では随分前から言われてきたが、2100年にかけて今のままいくと、日本の総人口が5000万人を割り込む数字が出てくると、さすがに読売新聞も危機感を深めたようである。

人口減少の原因は、『少産多死』にあるという。その通りであろう。2013年だけ見ても、出生数が103万1千人に対し、死亡者数は127万5千人であるので、差し引き24万4千人が減ったことになる。現在は、この程度のレベルだが、やがて毎年30万~50万くらいの人が減っていく計算になる。毎年、県庁所在地クラスの人口がぽこぽこと減っていく社会になるのだ。

このような人口の危機は、専門家は数十年も前から指摘してきた。そして、専門家ならずとも、ずいぶん前からこの問題の知識は皆持っている。しかしながら、政治や経済のリーダーたちは、警告を知り、数字は見ても、対応を取ってこなかった。人口問題に限らず、原子力の安全問題にしても、気候変動による深刻な危機に対しても、足元の経済を揺るがす問題にならない限り、10年先、20年先、まして、50年先の問題など茫洋として見えないし、また知る気もなかったのであろう。

「多死」については、人は高齢になれば死んでいくものなので、高齢者が激増している現実の前では手の打ちようは限られているが、「少産」は、真剣に対応しようと思えば、いろいろと手は打てたはずだ。すなわち、子どもを産む能力のある15歳くらいから40歳くらいまでの女性が安心して結婚でき、そして、子どもを産み育てることが出来る社会を意識的に政策的に用意すればよかったはずだ。

しかしながら、その用意を怠ったことを示す一例の数字がここにある。
それは、ダボス会議を主催している世界経済フォーラムが、毎年発表している男女格差についての指標だ。

これは、男女間の経済的平等、政治参加、健康と寿命、教育の機会の4分野を指標化しているものであるが、2013年についていうと、我が国は、136か国中なんと105位になっている。ついでに書くとドイツが14位、イギリス18位、カナダ20位、アメリカ23位、フランス45位、中国69位となっているなかで、日本は男女の格差が105位ということである。

この男女格差を放置し、しかも、現在は、若者の雇用状況も悪化して、非正規職員が増え、収入も減っているので、男女を問わず、未婚率が増加している。25歳から29歳までの女性の未婚率は60%、30歳から34歳までは35%となっている。

結婚も出来ず、男女格差も激しいなかで、どうして女性が子供を産み育てられるであろうか。こういう若者の雇用や男女の格差の是正を真剣に取り組まないで長年放置しておいて、日本の人口減社会を議論しても仕方がない。この状況は、単に人口が減るだけでなく、現在の若者が安心して働ける職がないまま年を重ねていけば、間違いなく生活保護者が増加し、それを救済するための社会保障費の増加など、まことに陰惨な未来も見えてきてしまう。

政治家も私たち国民も、足元ばかりを見るのではなく、せめて10年、20年先の日本を見、それに対応した政策・措置を取るべきであろう。
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by JAES21 | 2014-04-15 11:14 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
原発・エネルギー政策は未来志向で
4日木曜日の衆議院本会議で、トルコとアラブ首長国連邦への原発輸出を可能にする原子力協定が、自公そして民主党の賛成多数で採決された。安全審査の体制も制度も整っていないにもかかわらず、そしてトルコ国内で反対運動があるにもかかわらず、である。

あの日から3年が過ぎ、脱原発に対する国民の関心が徐々に薄れるのを待っていたかのように、国内での再稼働の動きも併せて、当時息をひそめていた賛成派が徐々に息を吹き返しているような気がする。

それを印象付けるような二人の原発関係者の意見を最近目にした。一つは東電の原子力技術者のトップにある姉川尚史氏の新聞記事、もう一つは原子力委員会の鈴木達治郎氏のメールマガジン上での意見である。それぞれ今回の事故に対しては深い反省の思いを述べており、推進派の中では良識派と思われる方々だが、気になったのは、私たち環境NPOが事故前から指摘し、現時点でも大きな問題となっている核廃棄物の処理について一言も語られていないことである。
彼らの主張は安全性さえ確保されれば原発そして再稼働は必要であるというもの。しかし、本当に安全性さえ確保できれば、それでいいのだろうか?事故の安全性さえ確保されれば、将来世代に核廃棄物という大きなツケを残し続けることが倫理的に許されるのだろうか?廃棄物処理の安全性は考えなくてもいいのだろうか??(そんな質問状を原子力委員会宛に送ったが、回答はないままだ。)

最近話題の本『里山資本主義』には、そんな課題を早い時期に解決し、原発からも“僅かな人だけが恩恵に与れる化石燃料”からも脱却し、次世代にツケを残さないという未来志向で、着々とエネルギー革命を推し進めているオーストリアの事例が満載されている。

それに比べて、日本の現政権やそれを取り巻く人々には、どうも未来志向が欠けているように思えてならない。歴史を振り返り反省することは勿論大切だが、それは過去に固執するためでも元に戻るためでもなく、未来に向けた知恵を探り磨くためである。
原発・エネルギー政策は大きな転換点を迎えている。未来志向でこの機を乗り越えたい。
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by JAES21 | 2014-04-08 17:00 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
“耐え難いほど正義に反する”
3月27日、静岡地裁において、ある重大な決定がなされた。

それは今から48年前に、静岡県内で発生した強盗殺人罪のかどで死刑が確定していた袴田巌さん側から提出されていた再審請求に対して、死刑と拘置を停止する決定を、村山浩昭裁判長らが下したものである。私自身は「袴田事件」なるものに関しては、その名前を知るぐらいで、中身についても、袴田さん自身についても知らないし、知ろうともしてこなかった。本件については、無関心の人間であったが、さすがに48年間、牢に入れられた人が、死刑と拘置の執行が停止され、即日釈放されたことについては関心を持たざるを得なかった。判決要旨を毎日新聞でフォローしていたら、最後のところで次のように述べているのが、印象に残った。

「元被告は、捜査機関にねつ造された疑いのある重要な証拠によって有罪とされ、極めて長期間死刑の恐怖の下で身柄を拘束されてきた。無罪の蓋然性が相当程度あることが明らかになった現在、これ以上拘置するのは耐え難いほど正義に反する」と。

「耐え難いほど正義に反する。」
私は、この言葉に強く反応した。

耐え難かったのは、袴田氏やその家族、支援者だけではなく、この再審請求事案を担当することになった村山裁判長らが証拠を調べているうちに、これは耐え難いほど正義に反すると感じたのではないだろうか。

そもそも「正義」と言う言葉も「正義に反する」という言葉もあまり耳にしなくなった。人々は、利害が錯綜し極めて複雑多岐な世間に生きており、何が正義で何が正義ではないかという明確な尺度を持てなくなってきているのではないだろうか。

何しろ、一流の科学者ですら、データをねつ造することもある時代である。ごく普通に生きている人が、これが正義であり、反正義であると判定できないほどの混迷の中にある。

しかしながら、人が人として生きている以上、正義か反正義かは、極めて重要なポイントであり、私も久しぶりにこの言葉を思い起こしたのである。

丁度今、横浜でIPCCの第2作業部会、すなわち気候変動の影響や適応策についての最新の報告書が発表されたばかりである。予想されたことではあるが、今後数十年の間に起こり得る被害の甚大さを指摘して余りある。従ってこの気候変動問題に正しく対処することが、まさしく正義であると思うのに、産業界の首脳や政治家のなかに、その正義よりも経済の成長を優先しているように思えてならない。

そのツケは、袴田さんが経験した48年よりももっと短い期間の中で明らかになり、当時の人々が下した気候変動への対処判断は正義に反したということになる事態が到来するのではなかろうか。

多くの人は経済の便益と、現在および将来世代のために対策を取ることとのバランスを図りかねて、正義に反することをしているように思えてならない。
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by JAES21 | 2014-04-01 17:48 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)



環境文明21の共同代表「加藤三郎」「藤村コノヱ」の両名が、時事問題等を斬る
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