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薄氷の合意COP19

今月11日からワルシャワで開催されていた地球温暖化防止に関する条約加盟国の年次総会(COP19)が会期を一日延ばし、難航の末に合意がなされた。
まさに薄氷の合意と言えるだろう。

とは言っても、地球温暖化対策については92年6月の「地球サミット」で国連気候変動枠組条約が採択されたときから、ずっと薄氷を積み重ねた上での前進である。
今回の場合は、11月8日にレイテ島を襲ったスーパー台風のあまりに激甚な被害を目の当たりにし、フィリピンの代表が涙ながらに同会議で訴えたことが、かろうじて合意に達する圧力となったのかもしれない。

私は、1990年のIPCCの第一次レポート公表以来、この問題を見てきた。温暖化の恐るべき脅威を科学が一枚一枚ベールをはぐように明らかにしていく一方で、経済開発を優先する国内政治の圧力は、先進国においても途上国においても極めて大きい。その狭間で、常に温暖化への対応を困難にしてきた。

今回のワルシャワでは、既に合意されていた2015年のCOP21で京都議定書に代わる枠組みを構築し、それを2020年に発効させるというスケジュールは、再確認された。京都議定書に代わる枠組みは、条約参加国が自主的に決めた削減目標をそれが適切かどうかを全体で評価し合って、対策を進めていく方式になる見込みである。

来年のCOP20は、ペルーのリマで12月に開催され、そして15年11月にはCOP21がパリで開かれるというスケジュールも確認された。これからまた薄氷を踏みながら、人類社会が気候変動問題という巨大な問題にどう向き合いどう戦っていくかがこれから試されるが、その具体的な中身はまだ見えていない。

15年のパリ会議に向けて、これからどれほどの薄氷を踏むことになるのか、踏み間違えてしまえば、年ごとに脆弱になっている北極海の氷の上に生きてきたシロクマと同様の運命を、人類社会が経験することになるかもしれない。その意味でも、地球温暖化対策をどう構築していけるかは、国内的にも国際的にも存亡をかけた重大な課題であり続ける。
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by JAES21 | 2013-11-26 11:33 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
温暖化は避けられない”運命”になる前に
先週、加藤共同代表が、あまりに低い目標設定について述べたが、今週もその続編である。

案の定、COP19では、日本政府が提示した「05年比3.8%減」に対して、痛烈な批判が各国から寄せられている。またその批判をかわす狙いで提案した「途上国への1兆6000億円の資金支援」についても、新聞報道によると、“途上国に説明したが全く反応はなかった”とのことである。

各国ともに厳しい政治・経済・社会状況の中にあっても、猛烈化する台風・ハリケーン・竜巻、そして異常気象を目の当たりにして、何とか少しでも交渉を前進させようとしているのに、京都議定書を生んだ日本が、この体たらくでは、どうしようもない。交渉を邪魔した国に贈られる「特別化石賞」は当然の受賞である。

日本政府は、エネルギー政策の進展を踏まえて目標を見直すとしているが、そもそも、その考え方の順序が間違っており、発想を転換すべきである。

確かに、エネルギーは人間が生きていく上で不可欠な“手段・道具”である。
しかし、そんなことより一番大切なことは、将来、人間が生きていけるかどうかである。
IPCCや環境の専門家が警告しているのは、気候変動に伴う異常気象がこのまま激化すれば、人間生活や経済活動の基盤が失われ、ひいては人類の存続が危ぶまれるということである。
そうならないように、そのことを大前提に、なんとか、削減目標を設定し、それに向けて頑張ろうというのがCOPの目的である。
各国でどのようなエネルギー政策をとるかは、その次の話である。
それに、既に国立環境研究所はじめ様々な研究機関やNPOが、原発がなくても温暖化を防ぎつつ健全な社会・経済活動を持続させる手立て、エネルギー政策を提案している。
(日本政府は原発を動かしたい為に、あえて言えば、一部の利益のために、そうした提案を全く無視しているだけのことである。)

COP19も19日から閣僚級会議に入り、政治的な駆け引きが激しくなるだろう。
日本政府のみならず、各国政府も国益のために動くことは十分予想される。

しかし、そんな、人間のちっぽけな争いと関係なく、温暖化は既に人類の手が及ばないところまで近づきつつある。

日本政府の後ろ向きな姿勢は決して許されないことを示し、温暖化による甚大な被害が避けられない“運命”となる前に、人類社会存続のための英知を示すCOP19であってほしいと、願うばかりである。
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by JAES21 | 2013-11-19 12:59 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
石原さん、たった3.8%でよいのですか?
今月8日、フィリピンを直撃した台風30号は、猛烈な勢力だ。報じられるところによると上陸時の気圧は895ヘクトパスカル、風速はなんと90mにおよび、死者の数はまだはっきりしないが、1,000人を超え、12,000に上るとの現地報道もあるようだ。

いずれにしても温暖化により海水温が上昇すると台風の勢力を増すという現象を科学者は前から警告していたが、まさにその警告通りの現象が、悲劇的な姿で露呈してしまった。この台風は今はベトナムから中国を襲い、さらに大きな被害を与えることになるであろう。
温暖化に伴う異常気象の猛威をまざまざと見せつけられたようである。

丁度この頃、東京では、日本政府は、11日から開催されているCOP19 に向けて、日本としての温室効果ガス削減目標を05年比3.8%減に決定した。
先週の本欄で、藤村コノヱさんがこの数字で最終調整に入っている旨の紹介をしたが、政府はまさにその通りに決定した。コノエさんが書いているとおり、この数字は基準年を90年にすれば、3%増となるもので、京都議定書の-6%を大幅に下回ったものである。

しかも、この3.8%の中には、日本政府が力を入れている二国間クレジット制度による枠もカウントされるようなので、要は「日本企業は何もしなくていいですよ」いう数字になると見られている。

地球温暖化問題が、これほど厳しくなっているときに環境立国だとか攻めの温暖化対策などと標榜している安倍内閣の削減目標がこの体たらくでは、国内外に出すメッセージ力はほぼゼロ、何もしなくてもいい目標を示して、国際会議に臨もうとしているわけだ。

原子力発電が止まったままということが前提のようだが、要は政府関係者の中には、この低い数字を見せて、「ほら、やっぱり原子力発電がないとだめじゃないか」と国内外の原子力推進世論を味方に引き入れることを見込んでいるらしいが、そのような浅知恵ではだれも納得しないだろう。

私自身は、環境省の責任なかんずく石原大臣の無策を思うと、「何をしているんですか、石原さん」と言いたくなる。このような弛みきった削減目標では、日本の環境ビジネスを刺激することにも、また技術開発を促すことにもならず、日本企業が世界のマーケットで省エネ機器や環境機器を売ろうとしても説得力や迫力に欠けるものとなってしまう。

今、世界は、紆余曲折を経ながらも、恐るべき気候変動と向き合いつつあり、社会経済を立て直そうとしているときに、日本の為政者の能天気ぶりを見せることになってしまう。
その大きな責任は、環境大臣の石原さんが負わなければならない。
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by JAES21 | 2013-11-12 14:03 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
意欲的な目標設定を!!
政府が2020までの国内での温室効果ガス削減目標を、2005年比で3.8%減とする方向で最終調整に入っている旨が報じられた。これは京都議定書基準年1990年比で約3%増となる値で、同じ自民党政権時代に麻生総理が表明した「05年比で15%削減(2009年6月)」と比較してもあまりに低い目標である。

原発事故以降、各地で多発する異常気象にもかかわらず温暖化対策が影を潜め、安倍政権に変わってからは、鳩山政権が掲げた「90年比25%減」のゼロベース見直など、停滞状態が続いていた。その為、京都議定書以降の世界の温暖化対策の起点となるCOP19(11月下旬ポーランドで開催)で日本政府がどのような目標値を掲げるか注目していた。
しかし、想定以上のあまりに低い目標値に愕然とする。

ここ数年、特にこの夏の異常気象は半端ではなかった。猛暑、豪雨、竜巻と、異常気象に伴う自然災害のニュースが聞かれない日はなかった。常に国民の平安を願われている美智子皇后が誕生日のメッセージでその旨述べられたのも、まさに人類社会の存続を危惧されてのことではなかろうか。

そしてIPCC第五次報告は、20世紀半ば以降の温暖化の主な要因が人間活動に起因することはほぼ確実(95-100%)であると科学的に裏付けた。

それでも、安倍総理は明けても暮れても「経済」で、温暖化には“鈍感力”を貫いている。

そんな総理には、是非スターン報告(2006年)と、本年の世界経済フォーラム(ダボス会議)でのスターン氏の発言を思い出してほしい。

2006年の報告書で、彼は、気候変動のリスクについて、2-3度上昇により世界のGDPの3%相当の損失が発生すると予測し、早期かつ強力な対策が経済学的にみて最終的に便益をもたらすであろうと結論づけていた。
そして、今年のダボス会議では、「現在私たちは4度程度上昇するコースをたどっている」、「私はリスクを過小評価していた。影響は当時考えていたより早く表れている」と述べ、「経済を環境志向にすることにもっと投資すべき」と述べている。

“経済”総理であるならば、是非、温暖化対策を経済の視点から再考してほしい。
そうすれば、今回の目標値がいかに大きな経済的損失につながるか、明確にご理解いただけると思う。
そして、COP19に向け、意欲的な目標を是非打ち出してほしい。
その決断に、多くの日本そして世界の、心ある市民が注視している。
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by JAES21 | 2013-11-05 13:37 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)



環境文明21の共同代表「加藤三郎」「藤村コノヱ」の両名が、時事問題等を斬る
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