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異常気象に関する皇后陛下のご認識

10月も下旬だというのに、台風27号、28号が揃って日本列島を窺う形勢で被害が心配されました。しかし、幸い、心配された列島上陸もなく、甚大な被害もなく、東北のはるか沖合に消えていき、一安心しているところです。しかしながら、今年は様々な異常気象が世界を席巻したと言っても、オーバーな表現ではない年となりました。

9月末から10月を見ただけでも、インドシナ半島では大雨洪水が続き、10月9日、新潟県糸魚川市では、35.1℃の真夏日を観測し、12日には、インド東部で強力なサイクロンが発生し、そして、15日には、台風26号により伊豆大島で甚大な被害をもたらしています。特に伊豆大島では観測史上初めての1時間降雨122.5mmという最も強い雨が降ったことは驚きです。

このような気象災害が、人類がもたらした地球温暖化、それに伴う海水温の上昇といった一連の科学的な連鎖の現象であることは間違いないことでしょう。この事象を前にして、多くの人が温暖化との関係について疑いを深めているようですが、これに関連して、今月20日、79歳の誕生日にあたって、皇后美智子さまは新聞記者の問いへ次のようにお答えになりました。
大変印象深く私の中に残りましたので、少し長いですが、皇后さまのご回答をそのまま引用します。

『今年は十月に入り、ようやく朝夕に涼しさを感じるようになりました。夏が異常に長く、暑く、又、かつてなかった程の激しい豪雨や突風、日本ではこれまで稀な現象であった竜巻等が各地で発生し、時に人命を奪い、人々の生活に予想もしなかった不便や損害をもたらすという悲しい出来事が相次いで起こりました。この回答を準備している今も、台風26号が北上し、伊豆大島に死者、行方不明者多数が出ており、深く案じています。世界の各地でも異常気象による災害が多く、この元にあるといわれている地球温暖化の問題を、今までにも増して強く認識させられた一年でした。』

異常気象の多発は、その元に地球温暖化があり、正に、皇后陛下が「今までにも増して強く認識させられた一年でした。」とおっしゃっているとおりであると思います。

しかしながら、日本のメインストリームである政治や経済界からは、皇后さまのご認識にあるような意見は何一つ出てきていません。真実を見ようとしないで、何とか対策の強化から逃げることを考えているとしか思えません。同じ10月の15日、安倍首相が、所信表明演説をしており、成長戦略や外交・安全保障などについては熱っぽく語っていますが、温暖化問題への対応などへの言及は全くありません。

この問題を国民としてどう捉えるか。
対応・対策を強化し損ねれば、そのツケは私たちのところにやってきます。
伊豆大島だけが温暖化のツケを払う必要はないのですから。

皇后さま、79歳誕生日…質問とご回答の全文はこちら(YOMIURI ONLINE)
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by JAES21 | 2013-10-29 10:57 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
総理、経済だけがすべてですか??

18日、政府は「国家戦略特区」での導入を目指す規制改革のメニューを示した。
その中に、公立学校の運営を民間に開放する「公設民営学校」の設置が盛り込まれている。
公設民営学校とは、設置者は地方公共団体だが、教育活動を含む管理運営を丸ごと民間企業に委託し、そこで働く教職員の身分は非公務員となる。

これを見て、日本もアメリカと同じような、弱肉強食、富める者だけの国家になるのだろうかという不安に駆られた。
ちょうど『㈱貧困大国アメリカ』(堤未果著、岩波新書)を読んでいたからである。

この本によると、アメリカでは、自治体の財政危機を理由に、公共サービスの民営化が進んでおり、「真っ先にターゲットにされたのが公教育」だという。
財政難に加え、全国一斉学力テストでスコアの低い学校は、効率化の対象にされる。その結果、2009年以降、アメリカ国内で30万人の教師が職を失い、学区では約4000校の公立学校が閉鎖されているという。貧しい家庭の子供の教育の機会はますます狭められることになる。一方で、予算削減、競争導入、規制緩和、民営化といった教育政策のおかげで教育関連ビジネス企業は飛ぶ鳥を落とす勢いだという。そして現在も、ニューヨーク、ワシントンDC、シカゴなどの大都市では、数百の公立学校が廃校になり、民営(チャータースクール)に置き換わっており、その流れは加速されているという。

日本では、日本国憲法第26条第1項に「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」と規定されている。しかし、昨今は親の経済的理由で就学が困難な子供も増えているという。そうした中で、特区とはいえ、こうした制度が日本にも導入されれば、今後、教育を受けるという基本的人権が脅かされる事態に拍車がかかることも予測される。

頻発する自然災害や温暖化といった、すべての生命の基盤である環境の悪化にはほとんど関心を示さず、ただひたすら経済政策に没頭する安倍総理。
国家の基盤である教育までも、経済成長・企業発展の道具にしてしまいそうな現政権に、ますます危機感を感じているのは私だけではないと思う。

久しぶりに始まった国会。
「総理、経済だけがすべてですか?」そんな質問を期待したい。
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by JAES21 | 2013-10-22 14:04 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
台風26号の襲来に思う

本日現在、気象庁などは、強力な台風26号が東海・関東を今夜から明日にかけて接近ないしは上陸する可能性を挙げ、関係する地域の人々に最大限の注意を呼び掛けている。
 
しかし、ちょうど1か月前の9月16日、台風18号がほとんど日本列島を縦断する形で襲ったばかりだ。この18号では大雨特別警報なるものが初めて出され、特に京都では桂川の水害によって、重要な観光スポットである渡月橋が流されかけたのは記憶に新しい。この大雨は滋賀・福井なども襲い、しかもこの台風に触発されたのか、竜巻も10本ほど発生し、埼玉県では実害もあったと報道されている。

この記憶がまだ生々しく残る中、また台風26号が襲うとは、今年は台風の当たり年かとも思うが、そのような牧歌的な認識では最早済まないことを9月末に発表された世界の気候学者が集結したIPCC第一次作業部会の報告が告げている。

この報告によれば、気候システムの温暖化について疑う余地はなく、近年起こっている変化の多くは数十年から数千年に亘って前例がないものとしている。

大気と海洋が温暖化し、氷雪の量は減少し、海水面が上昇したと伝えている。そして、この気温の上昇につれて、極端な気象現象(高温、豪雨、干ばつ、大竜巻など)の頻度が増加するのは確実だと言っている。私が特に気になっているのは、海水温が上昇していることである。IPCCによれば、海水温が上昇していることは確実であり、水深3,000m以下の深層でも水温が上昇している可能性が高いとのこと。
つまり、海洋が大きな“湯たんぽ”状になって、それが気候システムを不安定に突き動かしており、たまたまその影響を運悪く受けた人が、水害に巻き込まれたり、竜巻によって家が吹き飛ばされたり、熱中症によって倒れたりしているということだ。

しかし、もっと恐ろしいことは、確度の高い警告がこの25年間に5回も出され、回を重ねるごとに重大性の確度が高くなっているにも関わらず、政治家も企業も一般の人々も真剣に取り組もうとしている人はごく少数という事実だ。

台風26号が日本列島にどのような影響を及ぼすのかは不明だが、人類社会が将来に亘って異常気象に翻弄され、私を含む誰でも思わぬ重大被害に巻き込まれる可能性は増加するだろう。
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by JAES21 | 2013-10-15 13:16 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
伊勢から持続性の知恵を発信しよう
20年に一度の伊勢神宮の式年遷宮が本番を迎えた。
平成17年の山口祭(造営用木材の切り出し)から始まった一連の行事だが、「日本の持続性の知恵」について調べるために伊勢を訪れた際に、幸運にも、御木曳行事(木橇に御用材を載せ五十鈴川から宮内に引き入れる行事)を見学することができたこともあって、今回の式年遷宮は特別の思いで見ている。

式年遷宮の意味については専門家に任せるが、私たちはこの行事が、自然との共生や日本社会の持続性に深く関わっていると考えている。

例えば、御社の建て替えに使われる材木には、神宮林(長野、岐阜、伊勢)のものが使われるそうだが、伐採の後には必ず植樹し、切り株に添え木するという。これが200,300年のサイクルで行われてきたことで、この地域の美しい森林が守られてきた。
また、神宮の125社を全て建て替え、宝物殿にあるさまざまな道具(刀、鏡、衣装など)も替えることで、それぞれに関わる日本の伝統工芸がまもられている。
さらに、一人の宮大工が、弟子を経て、本番で関わり、師匠として関わるには、20年の周期が必要ということで、この行事が職人の育成にも大きく貢献していることになる。

今回の式年遷宮には550億円ほど使われたそうだが、(例え一部であっても)継続的に、森を守り、伝統文化を守り、伝統文化の後継者人を育てていることを考えれば、決して大きな額ではない。
そして、何より、私たち日本人がいかに自然と共生し持続的な暮らしを営む知恵を持っていたかに気づき、学ぶ貴重な機会を提供してくれる。

IPCC第五次報告は、日本そして世界の危機を、より一層強く警告している。
そんな時だからこそ、今なお残る、日本の持続性の知恵を、世界に向け発信すべきではないかと思う。
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by JAES21 | 2013-10-08 14:47 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
IPCC最新レポートと鈍い反応

先月9月27日にIPCCは、気候変動に関する最新の科学的根拠を公表した。
内容は既に報道されている通りであるが、温暖化に関心を持っていた人たちの大方の予測の範囲内にある。今レポートの特徴を一言で言えば、IPCCが1990年以来、過去4回にわたって発表してきた温暖化の科学についての確度が一層強くなり、より強固な科学的根拠をもって自信を持って発表したということであろう。
 すなわち、温暖化していることは疑う余地がなく、その原因は人間活動に起因する確率が極めて高いということだ。そしてまた、さほどの対策を取らないでいれば、今世紀末には4℃超の昇温も考えられる。また、海水温も3,000mよりも深いところまで上昇している可能性が高く、酸性化が進んでいるなど気象変動以外にも確実に影響が出るということだ。
 
このようなIPCCの最新のレポートに対する政治家や産業界首脳などの反応はまだ分からないが、この最新レポートの発表に先立って、みずほ情報総研が行った地球温暖化影響に関するアンケート結果が大変興味深い。

インターネットによるアンケートにより、全国の20代から70代以上の、1,085名(男女比ほぼ同数)の反応を見ると、地球温暖化やその影響は、多くの国民が既に起きている問題として認識していること。将来の不安としては、ゲリラ豪雨による水災害の増加、海面上昇による低地の高潮被害や水没、農作物の収穫量や品質への影響などを考えている。特に回答者の92%が、地球温暖化が起きているのは科学的事実であると考えており、94%は、人類は地球温暖化の影響を受けつつあると答えている。

それにしても、IPCCレポートに対する政界からの反応は極めて鈍いと思わざるを得ない。アベノミクスなるものに血道を上げている多くの政治家は、このレポートの重みをどう受け止めているのであろうか。多分、かつて原子力の危険性を繰り返し警告していた専門家、あるいは地震・津波の危険性を警告していた科学者たちに対して、当時は政治家も国民も真剣に耳を傾けなかったように、恐らくこの気候変動レポートもアベノミクスの成長戦略の騒ぎの中でかき消されていくだろうが、そのツケはそう遠くない時期に激烈な形で表れるだろうことを恐れる。
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by JAES21 | 2013-10-01 11:01 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)



環境文明21の共同代表「加藤三郎」「藤村コノヱ」の両名が、時事問題等を斬る
by JAES21
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