環境文明21は、環境負荷の少ない持続可能な環境文明社会の構築を目指す環境NPOです。
  

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持続可能な社会は、社会的弱者も心豊かに暮らせる社会

持続可能な社会とは、単に環境負荷の少ない社会、健全な経済活動が行われる社会というだけでなく、基本は、一人ひとりの人間が人間としての尊厳をもち、心豊かに、安心・安全に暮らせる社会である。
 しかし、現代社会は、環境面だけでなく、人間の尊厳という観点からも、ますます持続不可能な社会になっているのではないかと、改めて感じることがあった。

週末に知的障害をもつ娘と余命幾ばくもない父親の深く切ない愛情を描いた映画を観た。末期がんの父は娘を愛するが故に、自分の死後の娘の将来を案じ、首を絞めてしまうという実話に基づくものである。父親の行為については意見の分かれるところだが、それよりも、こうした社会的弱者といわれる人たちを取り巻く社会的環境がいかに厳しいものか、いかに無関心な人が多いかを考えさせられる作品で、改めて、日本の福祉制度の貧困さを見る思いがした。

もう一つ、日本では子どもの相対的貧困率が、1985年には10.9%だったのが、2009年には15.7%となり6人に一人が貧困と言われる状況にあるというデータが出された。その要因として、親の突然のリストラや非正規雇用により収入の激減、核家族化や離婚により収入の少ない母子家庭が増加していること、さらにそうした子供の状況を把握すべき教師が多忙であったり、個人情報保護により子供の実態が把握できない学校の実態によるという。まさに、大人の都合が生み出した子供の貧困である。

私自身福祉に関心はあるものの、決して詳しいわけではない。だから偉そうなことは言えない。それでも、なかなか表には現れないこうした人たちが、心豊かに暮らせる社会ではなければ、持続可能な社会とは言えないという事だけは断言できる。

一方、先週末もまた安倍総理は、経済界の人たちを引き連れて、トップセールスと称してミャンマーを訪問した。
勿論、途上国への経済支援も重要だ。しかし、その背後にあるのは、途上国支援というより、むしろ国内産業の海外進出支援であり、選挙対策である。

政治家の責務は、特定の利害関係者の為に働くのではなく、広く国民の為に働くことである。強い力を持つ経済界のためではなく、社会的弱者と言われる人たちの為にもっともっと力を注いでほしい。
勿論、持続可能な社会づくりをめざす私たちも、決して忘れてはいけない視点だということを肝に銘じて・・・。 
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by JAES21 | 2013-05-28 17:00 | 藤村コノヱが斬る
第二次大戦、原発事故そして温暖化対策

月刊誌『文芸春秋』を買って読むことは滅多にないが、今書店に出ている6月号は急いで買ってお目当ての記事を読んだ。

2年前の原子力事故に絡まる様々な対応のまずさを第二次世界大戦で日本を惨めな敗北に導いた軍部の戦略なき戦いぶりと対比して、ジャーナリストの船橋洋一さんと第二次世界大戦の経過を『昭和史(1926-1945)』にまとめている作家の半藤一利さんとの対談が載っていたからである。

というのも、私自身、1990年以来20年余の日本の温暖化対策に戦略的な取り組みが政財官のリーダーには、あまりにも少なすぎるとかねてから感じていて、それを第二次大戦時の日本の戦いぶりと酷似していると考えていた。
例えば、温暖化の科学が明らかにしていたことに真正面から向き合うこともなく、また、日本がホストを務め苦労してまとめあげた京都議定書に対しても、京都議定書は「安政の不平等条約」と同じような極めて不平等な条約であるといった認識が示すように、難局を、日本を強くするチャンスに転換させる戦略もなく、逃げの姿勢ばかりが目立っているからである。

この逃げの姿勢と、無謀な第二次世界大戦を引き起こし、多くの国民やアジア諸国の人々に苦難の道を歩ませた当時の日本の軍部の指導者たちの戦略のなさとが重なって見えていた私は、半藤一利さんの『昭和史』を読むことによってますますその思いを強くしていた。

半藤さんは、なぜ日本がみじめな敗戦に至ったかについて、ノモンハン事件の教訓として『昭和史』の中で記述しているところでは、失敗を率直に認めず、その失敗から何も教訓を学ばないという姿勢、根拠なき自己過信、情報を軽視し、驕慢な無知に支配されていた、あるいは底知れぬ無責任といったことを挙げていたが、温暖化との戦いにおいても経済界首脳の認識や経済産業省の政策に大きな誤りがあったと思っていたからである。

さて、今回の文芸春秋でお二人は、まさに日本の原子力政策の失敗が第二次世界大戦の失敗と非常によく似ているという趣旨の対話をしているが、このことはそっくりそのまま温暖化対策にも当てはまると改めて思った次第である。

戦争は、どんなに悲劇であったとしても終わる時があるが、温暖化対策との戦いは、数世紀を要する戦いとなる。それだけに、この温暖化問題と真正面から向き合い長期戦を戦い抜く体制を作らなければならない。

その意味でも、今回の原子力事故の教訓と無謀な戦争の敗北の経験を温暖化対策にも活かしてほしいという切なる思いでいる。
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by JAES21 | 2013-05-21 10:15 | 加藤三郎が斬る
「国の借金は991兆円」では、到底おさまらない!!

先週末、財務省は、2012年度末の国の借金が991兆6011億円となり、過去最高になった旨発表した。アベノミクスによる経済対策で約10兆円追加されたことから、今年度末には1000兆円を超える見通しだそうだ。一人当たりに換算すると約778万円にもなる。恐ろしい数字である。

一方、半世紀以上も大気中の二酸化濃度を計測しているハワイ・マウナロア観測所では、大気中の二酸化炭素濃度が観測史上最高の400ppmを越えたことを確認した旨、アメリカ海洋大気局が発表した。1958年の観測開始時は約315ppmだったのが、季節による変動はあるものの、一貫して増加傾向にあり、ついに400ppmを越えたというのだ。これまた、大変な事である。

原発事故、そしてアベノミクスの陰に隠れがちだが、確実に気候変動は進んでいる。そして、それに伴う山火事、ゲリラ豪雨、竜巻、大型台風などの自然災害とその被害は確実に増加しており、今後ますます増加するものと考えられる。また温暖化による人間社会、農作物、漁業資源などへの影響も深刻化するだろう。しかし、こうしたリスクや影響は、財務省が発表する国の借金には全く含まれていない。

2006年10月に公表されたスタ―ンレビューでは、早い時期に気候変動問題に対して積極的な対策を講じない場合のリスクと費用総額は、現在及び将来における世界の年間GDPの5%強に達すること、より広範囲のリスクや影響を考慮に入れれば損失額は少なくともGDPの20%に達する可能性があること、これに対し積極的な対策を講じた場合の費用は、世界の年間GDPの1%程度で済む可能性があること、を示している。

現時点での国の借金は991兆円。
しかし、現世代の経済成長のみを重視し、気候変動問題に全く後ろ向きな現政権の様子からすると、将来世代へのツケはますます膨らむばかりである。

もうすぐ参院選。
ぜひ、若い人こそ、選挙に行こう。そして「将来世代にツケを残さない」ことを真剣に考える候補に投票しようではないか。
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by JAES21 | 2013-05-14 10:58 | 藤村コノヱが斬る
安上りな憲法改正は望まない
参議院選挙を前にして、憲法改正論議が各方面で活発になってきた。しかし、最近の議論は、憲法のどこを変えようかという議論より、むしろ憲法改正の要件(第96条)がもっぱらの焦点になっているようである。安倍内閣は憲法改正のハードルをこの際、大幅に低下させようとしているからである。

私たち環境文明21は、かねてから憲法を改正し、環境原則を憲法の中の一つの柱として導入すべきだと主張してきた。今から17年前の1996年6月に私は、会報『環境と文明』において、憲法に環境の「か」の字もないことを指摘した。その心は、私たちが環境グループだから、環境が書かれていないのはさびしいなどという小さな理由からではない。
温暖化に伴う気候変動や生物多様性の喪失など、生命や経済活動の基盤である環境が極めて危うくなりつつあるのに、本来、国の基本事項を定めるべき憲法に「環境」が規定されていないのは問題だと提起したのだ。

その後、会の中に憲法部会という部会を設置(2004年7月)して、憲法に環境をどう位置付けるべきかを議論し、改正第一次案を05年1月に発表して以来、検討を重ね、10年10月に第4次案を発表して今に至る。

これらは国会議員などに配布するとともに国会議員を招いてのシンポジウムを開催するなど、現行憲法に環境原則を導入することを目指して活動を展開してきた。

私たちが環境原則としてどのようなことを考えているかはホームページなどでご覧いただき、ここではイラストで示すとこのようになっている。

e0145924_1125397.jpg


このように私たちは改憲派であるが、憲法を改正するためには、改正要件のハードルを低くするべきだなどとは考えていない。まさに国民的な議論をあちらこちらで行い、議論した結果、必要なら改正を行えばいいのであって、単にハードルを下げるのは邪道であると考えている。ある憲法学者は、そのような行為は“裏口入学”のようなものと表現したが、まさにその通りであろう。

今後、この改正議論がどのように進展するかは今のところ不透明だが、私たちは環境原則を導入する努力を続けるとともに安倍首相らが提案している憲法の改正のやり方についても重大な関心を持ち続けていたい。
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by JAES21 | 2013-05-07 14:42 | 加藤三郎が斬る



環境文明21の共同代表「加藤三郎」「藤村コノヱ」の両名が、時事問題等を斬る
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