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「見たくないものは見えない」は温暖化対策にも
東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会(内閣事故調)の検証結果がまとまり、昨日、野田首相に提出されたという。その分厚い報告書の詳細を報道各紙が伝えているが、その中の話題の一つに、畑村洋太郎委員長が記した所感がある。7項目に及んでいるが、そのうちの「見たくないものは見えない。見たいものが見える」「危険の存在を認め、危険に正対して議論できる文化を作る」という2項目が特に印象深い。
なかんずく「見たくないものは見えない」という言葉は、まさに温暖化に対する日本の政府と大企業、特に経団連のリーダー格である電力、鉄鋼、化学などのこれまでの対応にもぴったりと当てはまる項目だ。

温暖化の危険が差し迫りつつあるという科学界からの20年来の警告に対して、軽視ないしは無視するかのごとく、必要な対策を経産省と一体になって長年に亘り、拒否してきたことは、まさに「見たくないものは見えない」の典型であろう。
そして「危険の存在を認め、危険に正対して議論できる文化を作る」という原発事故から得られた教訓も、全く同じことが温暖化対策にも言える。

原発事故の場合、水素爆発などにより極めて劇的な形で多くの人がこれは大変だと危険の存在をすぐに認めることができたが、温暖化の場合そうはいかない。

例えば、温暖化に起因すると思われるさまざまな異常気象災害が日本はもとより世界中で頻発しているにも関わらず、未だに日本の政・官界も財界の一部もこれに「正対」していない。温暖化などたいしたことはない、CO2は温暖化の原因ではないといった、ばかげた学者らの議論に縋り付いてきた温暖化対応にも、畑村さんの所感が当てはまる。

温暖化による甚大な気象災害がいつどこで発生するかは私にも分からないが、この被害が遠くない将来に起こったときに畑村さんらに事故調査をしてもらったとしたら、日本の政治・官僚や産業界の一部首脳は「危険に正対しなかった」「見たくないものが見えなかった」と全く同じことを言われるのではなかろうか。
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by JAES21 | 2012-07-24 13:45 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
貴重なお金は国内で回そう
今現在、エネルギー環境分野でのホットな話題といえば、言うまでもなく政府が国民に提示した原子力の将来に向けての利用レベルを巡る3つの選択肢に関する議論だ。

原子力を止め、化石燃料や再生可能エネルギーのウエイトを高めれば、その分何兆円の出費となり、それは電気料金の値上げとして国民の負担になるという。

しかし、目を転じてみると、2011年現在、最新のデータで日本は化石燃料(鉱物性燃料)の輸入に22兆円のお金を使っている。エネルギーとは直接は関係ないが、農林水産物の輸入には8兆円のお金を使っている。

昨年だけでも、燃料と農林水産物だけで30兆円のお金が、海外に流出していったことになる。

もし、このお金の一割、化石燃料について言えば、2兆2億円程度、農林水産物なら8千億円を海外でなく国内で流通出来れば、毎年3兆円が国内に落ち、国内で回る。技術開発をしている企業、省エネ・再生可能エネルギーの装置を作ったり取り付けたり、メンテナンスしている企業、また国産の農林水産物の増加は、それだけ国内でのビジネスチャンス、雇用が増えるということである。

私の1970年前後の経験によれば、産業公害時代、あるいは石油ショックに見舞われた後の日本は、世界から見れば驚くほどのお金を公害対策や省エネに投入して復興に努めた。当時私はOECDにいたが、OECDのエコノミストたちは半ばあきれ顔で日本のやり方は「ノンエコノミックアプローチ」だと冷笑された。
しかしながら、公害防止であれ省エネであれ、投資したコストは日本国内のビジネスの創出や技術の発展につながり、雇用につながっていったわけで、当時使われた巨額の対策費用は国内で流通し、海外に流れたわけではない。すべて国内で流通したからこそ、日本の産業を潤すことになり、経済の観点からもその有効性を十分に証明し、OECDのエコノミストたちも改めてその合理性を納得した。

今我々は食料も絡めると、30兆円という巨額のお金を無造作に海外に流出させ、その分、日本国内での産業の育成や技術の開発、雇用創出の機会を失っている。
せめて1割でも国内で回していく努力を意識的にすべき時が来ているのではないか。
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by JAES21 | 2012-07-19 17:54 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
「エネルギー・環境に関する選択肢」に対するパブリックコメントを提出します
今後のエネルギー・環境戦略のとりまとめにあたり、7月2日からパブリックコメントが開始された。
福島の原発事故を受け政策の転換を余儀なくされたことによる。
その詳細は、政府のホームページなどをご覧いただき、是非多くの方にパブリックコメントを提出して頂きたいが、ここでは、環境文明21共同代表の考え方を述べておきたい。

(下記内容を基に、環境文明21並びに各共同代表が近日中に提出します。)

選択肢
3つの選択肢が提示されているが、将来的に、原発ゼロ社会を目指す私たちとしては、当然ゼロシナリオ(選択肢①)を選択する。しかし、選択以前の問題として、数値設定の前提条件や方法論等には、以下のような問題点があると考えている。

問題点(概要)
1.2030年までにGDPを2割以上成長させ、エネルギー消費量を1割カットするとの前提には問題があると考える。2000年から2010年までの我が国のGDP(名目)は減少しており、人口減少、高齢化等を考えると、これを上向かせる要因は乏しい。また、省エネについても、人口自体が1割近く減少する中、発電電力量を現状より1割カット(最終エネルギー消費量の約2割のカット)しても、1人当たりに換算すると、現状と何ら変わりがない数字にほぼ等しく、意欲的とはとても言えない。

2.化石燃料の燃料費は、資料によれば年間約17兆円で、これは燃料購入のために17兆円が毎年海外に流出していることになる。その一部を国内の再生可能エネルギーの開発、普及に投資をすれば、我が国の企業の再生可能エネルギーの開発力の技術がアップし、国内雇用の創出にもつながる。すなわち、化石燃料の節約はマイナス要因ではなく、むしろプラス要因と考えられる面が大きく、その認識が明確に述べられていない。

3.どのシナリオを選んでも、廃炉の問題とともに使用済み核燃料の処理・処分の問題は残る。この選択肢を読む限り、どのシナリオをとっても必ず発生する廃炉や使用済み核燃料の問題に対する認識や危機感が誠に薄い。

4.国民的議論として、全国11箇所での意見聴取会開催があるが、わずか一月足らずと期間が非常に短く、参加できる人員も1会場あたり100-200と少数である。またパブリックコメントは、関係者からの組織的意見が多いことが指摘されており、必ずしも一般国民の意見を聞く手法としては適切ではない。今回もおそらく、原発推進の電力会社や関係業界、経済界から多数寄せられ、それが国民の意見とされる恐れが高い。さらに討論型世論調査は全国3000人に世論調査し300人で討論するが、わずか一回の実施である。そして何より、出てきた国民の意見をどう政策に反映するのか、しないのか、政策決定プロセスは全く不明である。国民的議論というにはあまりにお粗末である。

5.今回の東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓は、原子力発電所は一度(地震であれ津波であれ、あるいはテロなどであれ)深刻な事故等が発生すると、国民生活や健康等に与えるインパクトは極めて大きく、さらに、長期にわたって、除染なども含めた膨大な事故処理と、被害を受けた人々に対する賠償が発生し、東京電力ほどの大企業ですら破綻してしまうということである。そもそも選択肢を考える場合、こうしたことがもっとも基本的な考慮事項と考えられるが、それに対する配慮、言及がまったく選択肢に書かれておらず、あたかも福島の事故がなかったかのごとき印象を与えるのは遺憾である。
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by JAES21 | 2012-07-17 17:29 | 共同代表が斬る | Trackback | Comments(0)
本気の国民的議論を望む

「エネルギー・環境に関する選択肢」に対するパブリックコメントが開始された。
2030年における原発・再生可能エネルギー等の比率に関する意見聴取を行うもので、国民的議論の一つに位置付けられている。

 しかし、その募集方法を見て、がく然とした。
 なんと、100字でその意見の概要を述べよというのである。
この字数では、3つの選択肢のどれを選ぶかしか書けず、問題だらけの内容について本質的な意見を述べることはほとんど不可能である。文書作りに慣れた政府の役人ならそんなことは百も承知のはずである。
公告には、100字を越えてもいいが概要は100字以内にまとめるよう書かれている。しかし、100字の概要しか読まれないだろうことは容易に予測がつき、本気で国民の意見を聞こうとしているのか、はなはだ疑問である。

しかも、パブリックコメントは、一応全国民に門戸を開いているものの、その弊害として、関係者からの組織的な意見が多いことが指摘されており、必ずしも、一般国民の意見を聞く手法としては適切ではない。今回もおそらく、原発を推進する電力会社や関係業界、経済界から多数寄せられるのではないだろうか。

この他に、国民的議論として、全国11箇所での意見聴取会の開催や討論型世論調査の実施等が盛り込まれているが、その内容も誠にお粗末である上に、出てきた国民の意見をどう政策に反映するのか、しないのか、そのプロセスは全く不明である。

今を生きる私たちだけでなく、将来世代にも影響するエネルギー・環境問題、なかんずく原発問題について、こんないい加減な「国民的議論」で結論を出してはいけない、と強く思う。
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by JAES21 | 2012-07-03 11:38 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)



環境文明21の共同代表「加藤三郎」「藤村コノヱ」の両名が、時事問題等を斬る
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