旭硝子財団が長年実施しているアンケートの質問の一つに、「環境危機時計」がある。
「現在の地球環境の悪化に伴う人類存続の危機の程度をどのように感じているか?」というもので、1992年から問い続けている。
ここ2年は時計の針が後戻りしていたが、先日公表された今年の結果によると、何と、全体で昨年より18分も後戻りして午後9時1分、日本人の回答者に限っては23分も後戻りしていた。
常に午後11時55分という危機的状況にあると回答している私からすると、何と危機感のないことか!!と、がく然とする結果である。
後戻りの要因は何か?考えられる要因として、主催者側は、省エネや再生可能エネルギーの取組が進んできたことや、温暖化懐疑論が公然と語られていることも影響しているのではないかと説明していた。
加えて、不況、大震災や原発事故など、目先の危機解決が先決であり、地球環境は後回し、という意識もあるのかもしれない。しかし、時間を後戻りさせたのは主に役人や学者だと言われると、これは本当に困った状況である。
昨年の猛暑、そして今年は台風や前線の為に、日本中が豪雨に見舞われ、大きな被害に見舞われている。こうした状況は明らかに地球温暖化が顕在化してきたことをあらわすもので、先の問題などと言っている場合ではない。
震災復興、原発処理は重要だ。しかし、だからと言って、温暖化は待ってはくれない。
“政治家は三流”と世界から揶揄される日本だが、行政、学者までが、こんな状況では、日本の将来は本当に暗い。