環境文明21は、環境負荷の少ない持続可能な環境文明社会の構築を目指す環境NPOです。
  

さらなる費用負担は原発をやめてから

先日の新聞に、「廃炉費 新電力も負担-政府調整 料金に上乗せ-」の記事が掲載された。原発の廃炉や福島事故の賠償を進めるために、大手電力会社だけでなく、電力自由化に際し新たに設立された、原発を保有していない電気事業者にも負担させようというものだ。当然、それは料金上乗せの形で私たち消費者の負担も増加することになる。

そもそも、「原発は安い!」と言われていたことが大きな嘘であることは、福島事故後周知の事実となった。そしてその後も事故に係る賠償や廃炉費用は見る見る膨らんでいる。現在の福島の状況を見る限り、今後も、増加の一途を辿ることは間違いない。

そうした中で、今回のこの案は、事故後作られた電気料金や税金でその負担を賄う仕組みを更に強化しようというもので、「原発反対」を訴えている多くの国民には、到底納得いくものではない。「普段は原発で利益を得ているのに、事故の時だけ国に負担(=税金)を、とは納得できない」という原子力委員会部会での消費者側委員の発言はもっともである。

しかしその一方で、私たちの多くが、事故前まで原発の危険性の認識が薄かったとはいえ、その使用を許してきたことは事実である。そう考えると、賠償は事故を起こした東電の責任だが、(通常の)廃炉費用に対しては、私たちにも一定の責任があるかもしれないという気がする。

ただし、仮にそうだとしてもそれは、再稼働はしない、早期に原発ゼロ社会を目指す、ということが確約されて初めて受け入れられることだ。

今のようななし崩し的でその場しのぎの議論ではなく、これからずっと続く莫大な廃炉費用を、誰が、どのような形で負担していくのか、国民も巻き込んだしっかりした議論が不可欠である。


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# by JAES21 | 2016-09-20 17:30 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
気候変動の犠牲者

今年に限ったことではないが、近年、気候の不安定や異常と思われる気象現象がますます顕著になってきた。

この夏、日本を襲ったUターン台風(台風10号)の動きなど、その典型例であろう。これまで考えられなかったところで、台風が発生し、そして、西にふらついて行ったと思うとUターンをして、強力な台風となり、岩手県に上陸し、青森を突き抜けて、北海道を襲った。まさに、これまで、経験のないようなコースを辿る暴れ台風であった。

このような異常な気象現象は、もちろん日本だけでなく世界の各地で発生している。私は、毎朝、衛星放送で主要国のニュース番組を見ているが、アメリカのABC放送などは、ほとんど毎日のように、アメリカ国内で発生している異常気象(竜巻、山火事、大雨・洪水など)を伝えており、ABCはまるで気象専門チャンネルになったかのように錯覚するほどだ。

このようなことは無論アメリカだけでもなく、本年6月には、フランスやドイツで、大洪水が発生し、少なからぬ被害をもたらした。パリを流れるセーヌ川が増水し、川岸に近いルーブル美術館は、収蔵品を安全な場所に移す必要に迫られたほどである。ルーブルだけでなくパリの地下鉄も浸水し、鉄道サービスが一時的に休止するほどになった。同じころ、インドでは熱波が襲い、50℃を超える気温になったとも伝えられている。

当たり前だが、日本であれ、どこの国であれ、ひとたび異常気象に襲われると様々な被害が発生する。人命が失われたり、住宅やビルが損壊したり、道路や橋、鉄道が流されたり、そして、農作物が大被害を被ったり。人の生活基盤が根っこから奪われ、復旧のための費用も膨大になる。私たちの記憶にまだ新しいのは、昨年9月、鬼怒川の増水で、破堤した茨城県常総市の甚大な被害がある。一年が経過したが、被害の傷はまだ癒えていない。

台風にしろ、竜巻にしろ、大雨にしろ、昔からあった自然現象であるが、近年は、そのパワーや頻度などの程度が誠に問題だ。その背後にあるのは、海水温の上昇である。それをもたらしているのは地球温暖化であるのは疑いようもない。温暖化対策をしようとすれば、様々にコストが掛かるが、その対策コストよりも被害によるコストのほうが数倍大きくなるというのが、専門家の一致した意見である。しかし、様々な被害が発生していることと温暖化対策の必要性とはなかなか結びつかない。今も起こっている各地の洪水や浸水の被害者も自然現象によって運悪く被災したと思う人は多くとも、人間が長いこと怠ってきた温暖化対策の不十分さにより、人命や財産の損失が発生していると明確に認識している、つまり、端的に言えば、不十分な気候変動対策によって犠牲者になっているという認識はおそらく少ないであろう。このことが温暖化対策のパワーを弱めている一原因となっていると思うと残念でならない。


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# by JAES21 | 2016-09-13 17:30 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
現実化しつつある気候異変の脅威
世界の温室効果ガスの二大排出国であるアメリカと中国が「パリ協定」を批准した。消極的だった日本政府もこれに刺激されて、年内批准に向けて加速してもらいたいところだ。
(TPPより重要な問題である。)

それにしても、最近の国内外の異常気象による被害は、“台風は来ない”と思われていた北海道、東北でかつてないほどの豪雨に見舞われ、多くの被害をもたらすなど、想定外のことが頻繁に起きている。遠く離れた南極では、4番目に大きい棚氷の表面に巨大な裂け目が生じ急速に拡大しているという。このまま亀裂の拡大が続ければ、巨大な棚氷が一気に崩壊、氷河をせき止めている氷崖が崩壊する最悪の危機に陥るという。

そうした中、9月4日NHK放映の「CRISIS 巨大危機 加速する異常気象との闘い」は、気候変動の脅威の正体を科学的に解明しその対策に迫る内容で、とても強烈なものだった。例えば、アラスカやシベリアなど北極で永久凍土が解け始め、CO2の28倍の温室効果があるメタンが溶け出しているという。この現象が温暖化のスピードに拍車をかけており、今後どの程度拍車をかけるか、その解明の為の調査が続けられているという。ここ2-3年気温上昇のスピードが加速されていることは聞いていたが、なるほど、である。
また、雷の頻発と巨大化により、現在の避雷針では到底対応不可能になり、その影響で都市機能のみならず、病院などでもコンピュータ機能が一斉にダウンし人命にかかる非常事態に陥る、そんな予測も紹介されていた。IT社会ゆえの被害である。

夏の日中の気温が45度にもなり、巨大台風やゲリラ豪雨、落雷など、自然が猛威をふるい、巨大化し自ら制御しきれなくなっている社会システムがダウンした時、人間は生き延びていけるのだろうか。もう間に合わないかもしれない、そんな不安がよぎる。

「自分さえ」「今さえ」を優先して、「パリ協定」の早期批准に二の足を踏む人たちは、自分も、今も、危うくなっている現状を認識してほしい。
そして、気候変動による被害者(本人は必ずしも自覚していないかもしれないが)が、国内でも急増している現実をしっかり見てほしい。


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# by JAES21 | 2016-09-06 17:40 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
AIの光と影
AIの光と影

最近は、新聞を見ても雑誌を見ても、AI(人工知能)という文字を見ない日はない状態だ。AIそのものは、かなり早くから注目され、各国の技術者らによって、いわば、夢の技術として開発されてきたとのことだが、ここ最近では、人間の能力に比べ、AIの優秀さが目に見える形で、私たちの眼前に立ち現れ始めた。

例えば、世界トップクラスの棋士をAIが打ち負かしたり、AIが自ら運転する完全自動車が2020年代には街中や高速道路を走り回る勢いだという。確かに、安全運転に不可欠な反射神経などが鈍くなる高齢者や目の不自由な人にとっては、AIによる車の自動運転は大いに助けとなるだろう。しかし、将来は、鉄道車両の運転手はもとより、タクシーやバスの運転手まで、不要になるだろうと言われている。このように、AI技術の進歩により、自動車などの運転手だけでなく、清掃、会社の受付、介護、医療診断など極めて広範な職場でAIを装備したロボットに人間が追い出されるという深刻な問題にならぬかとかねてから懸念していたが、このままでいくとその懸念は、一層深まるようである。

8月24日付の毎日新聞は、一面トップで、イスラエルがAI搭載の軍事用ロボット開発で世界の最前線に立っているとの記事を掲げ、詳しく紹介している。これによると、今や軍事の面で、無人の飛行機、軍用車、戦車など、まさに人殺しのための武器が人間の判断と手を離れ、AIそのものの手に移ろうとしている。戦場などで人格なきAI武器の前に立たされた人の恐怖や絶望を想像しただけで私の心は凍り付く。

英国の著名な宇宙物理学者ホーキング博士らは、2015年7月、殺人ロボット(致死性自律型ロボット)の開発の禁止を求める公開書簡を発表したというが、私も同感だ。室内の掃除をするくらいのロボットなら、まだ許せるが、人が乗っていない戦車や飛行機などの殺人兵器が人間による遠隔装置によってではなく、AI自身の判断で人間に向かってくるという状況を考えると、最早AIの光と影などという表現すら甘い気がする。

皆さまはいかがお考えだろうか。


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# by JAES21 | 2016-08-30 17:30 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
オリンピック報道の陰に隠れて・・・
日本選手の活躍で盛り上がったリオ・オリンピックだが、その間にも世界では戦乱が続き、日本を取り巻く環境も刻々と変化している。

そうした中、北朝鮮や中国の海洋進出への危機感からか、防衛庁は来年度予算の概算要求で、過去最高の5兆1685億円の計上を決めた。前年度当初予算に比べ2.3%増で5年連続の増額だという。また本日付の報道では、政府は2016年補正予算として4兆円ほどを計上し、その多くを経済対策に充てるという。
日本政府の赤字国債は1000兆円にも上り、財政再建は緊急課題であるにもかかわらず、こうした施策を見ていると、現政権は、財政再建は既に諦め後の政権にお任せなんだと思えてくる。

一方、今年の夏も西日本では連日35度を超える猛暑日が続き、以前は梅雨や台風とは無縁と考えられていた北海道では台風による暴風雨が続いている。今後、農業被害等の深刻化が予想され、私たちの暮らしにも野菜の価格高騰など直接的な影響が出るだろう。10年20年前から、我々NPOや科学者が警告してきたことがまさに現実の脅威となっており、この流れは、激化こそすれ、今すぐに対策を講じない限り、改善することは全く期待できない。

しかし、気候変動に対する危機感はまだまだ低く、猛暑や暴風雨が頻発する中でも、これらと気候変動とを結び付けた報道はほとんど見られないし、政治家の口から語られることもない。仮想敵国に対する備えも必要かもしれない。しかし、気候変動に伴う異常気象は、多くの人々の生命・財産を脅かし、既に被害が続出していることを考えると、日本政府の対応は、「危機感の欠落」という言葉では済まないほどの「無責任の極み」である。

「国家100年の計」が重要と言われるが、近年は、政治家も官僚も企業家も、そして国民の間にも、近視眼的見方が蔓延している。
教育は国家の礎、環境は生命と社会経済活動の基盤である。同じ経済対策への投資であればグリーンな経済活動に予算を投じるなど、中長期的視点で、私たちの大切な税金、限られた予算の投資先を何にすべきか、もう少し知恵を絞るべきである。


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# by JAES21 | 2016-08-23 17:30 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
多様な若者像
ここ2週間ほど、新聞やテレビなどのマスメディアから流れてくる情報は、オリンピックと高校野球などスポーツ関連一色の感が深い。悲惨な戦争や卑劣なテロの流血ニュースがトップを占めるよりは遥かにましであり、大歓迎である。

連日、賑わせているオリンピック競技では、日本の若者の活躍振りに、スポーツには縁遠い私まで、大いに興奮させられ、喜ばされている。これまでのところ、今回のオリンピックでは、おそらく大方の日本人の期待以上に多くの競技で、若者たちは好成績をあげているのではないだろうか。頼もしい限りで、日本もまだまだ大丈夫かなという思いを強くしたのは、高齢者の私にとってこの夏のうれしいプレゼントだ。

そのような最中の13日付の読売新聞は、全国の18、19歳を対象に先月の参議院選挙に関連した世論調査の結果を報じている。スポーツ関連記事のなかで埋没してしまった感もあるが、私にとっては興味深い結果を示している。特に感じ入ったのは、参院選で重視した争点への回答(3つまでの複数回答)である。高い順にあげれば、「景気や雇用」が52%、「医療や年金など社会保障」が34%、「憲法改正」26%、「教育問題」25%であるのに対し、「環境問題」9%、「人口減少対策」7%、「エネルギー政策」6%と、この3つの項目は、各段に低い評価となっている。

私にとってこの結果は、若者にとっても足元の景気と社会保障問題は重視するが、中長期的にみれば、今の若者世代に極めて影響を与える環境問題・人口減少・エネルギー問題に対する関心がかなり低いことが気になる。

若者に限らず、現在の日本人は最早政治に中長期的な視点にはほとんど関心を示さず、もっぱら足元の経済問題に関心を寄せる結果、日本の政治はますます短期的な視野となり、本来重要な、時には苦渋を伴う増税のような話は常に先送りされる傾向にある。18、19歳の若者にとっても同じような傾向をこの世論調査が示している。

このような結果が出たのには、我々大人の生き様や教育に大きな欠点があると考えさせられたわけだ。もちろん、この世代だけで200万人を超す若者全てがこのように考えているわけではなかろう。また、大人と一口に言ってもその意識や見方は様々だが、私としては、今回のオリンピックで見られるようなファイティングスピリットやそこに至る精進の重要性と同様、中長期的な将来に向けての視点は特に若者には欠かせないのではないか、その視点が、今回の読売の調査結果を見る限り、弱いのではないかというのが気になったところである。
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# by JAES21 | 2016-08-16 17:30 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
子どもの今と将来を、最優先に考えて!
2020~22年度から始まる小中高校の新しい学習指導要領案が公表された。高校で「公共」が導入されるなど良い面もありそうだが、一見して「大丈夫か?」という疑問もわく。
例えば、小学校高学年で、これまで「外国語活動」とされていた「英語」が一つの教科に格上げされる。(そのこと自体にも多様な意見があるが、)その結果して、他教科と合わせた総時数は、事実上限度とされる現在の年間980コマ(一コマ45分)を超える1015コマになり、既に、夏休み短縮や土曜授業、休み時間も学習に、といったことになりかねないという懸念も出ているという。
それでなくても、世界で一番忙しい日本の教師はますます忙しくなることが予想され、指導力の低下、健康問題、教員希望者数の減少にもつながりかねない。

一方全国の公立小中学校では、2年後に退職する教員数がピークを迎え、中学校では新卒で学級担任をする教員が6割を超えているという。現場経験の少なさは、単に学習指導力だけでなく、学級運営の面でも懸念される。児童・生徒との関係だけでなく、保護者との関係(モンスターペアレントなど)も以前とは全く異なる状況の中で、教師への負荷は大変なもので、経験不足の教師に乗り切れるかどうか、心配である。

こうした心身ともに大きな負荷がかかる教師のこともさることながら、それ以上に心配なのは、子供たちへの影響である。
教師の質の低下は、教育の質の低下にもつながる。(フィンランドでは、教師は修士号取得を条件とし、その質の維持向上に努めている。)
また、時数の増加は、それぞれの発達段階で必要不可欠な、遊ぶ時間、自らが深く考え学ぶ時間、他者と直接交わり視野を広げる時間などが塾やゲームやSNSなどで少なくなっている現状を、さらに助長し、時間に追われる生活を子供たちに強いることにもなりかねない。時間に追われる生活が決していい結果を生まないことを、大人は既に経験しているはずなのに、である。

日本は、GDPに占める教育への公的支出がOECD加盟国中最下位にある。
「ゆとりの教育」への批判が今回の時数増につながったようだが、教師の現状、子供たちの発達段階への配慮、将来的な影響に対する議論も備えも十分に尽くされないままに、時数だけ増やしても、決していい結果は生まれてこない。
子供たちのために、そしてこの国の持続性の為に、もっともっと、教育に「お金」と「時間」そして「人手」と「愛」をかけるべきである。
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# by JAES21 | 2016-08-02 17:30 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
米大統領選における気候変動問題の行方
候補者の戦いが連日熱く繰り広げられている。

アメリカの大統領選と言えば、共和党、民主党とも各州毎の予備選を入れると、ほとんど1年に及ぶ長い過酷な選挙運動ということになるのだが、今回の大統領選挙は異例づくしと言ってもいいのではないだろうか。

異例の第一の理由は、言うまでもなく、不動産王と呼ばれ、公職選挙で選ばれた政治経験がないドナルド・トランプ氏の型破りな言動である。最初の頃は、アメリカとメキシコの国境に大きな壁を作り、その費用はメキシコに持たせるとか、イスラム教徒の入国を禁止するとか、女性に対する侮辱的な発言とか、物議を醸す発言を繰り返して注目されたが、そのような言動は、これまでの選挙運動中、基本的には一切変わらず、共和党の正式大統領候補となった。その過程も、紆余曲折あったが、既得権益層を、言葉を選ばず攻撃している。特に共和党が長いこと大事にしてきた「自由貿易」に対し、国内の雇用を奪うなどの理由で、極めて否定的な意見を述べ、さらに移民に対しては厳しい立場を維持し、アメリカ第一主義を高らかに宣言している。しかも、競争相手に対しては、党内・外を問わず、悪口雑言、中傷発言を厭わず、極めて攻撃的な姿勢を貫き、共和党の正式候補者にたどり着いた。

一方、民主党のヒラリー・クリントン氏は、言うまでもなく、かつての大統領夫人であり、上院議員も務め、オバマ政権では国務長官を務めるなど、華麗と言ってもいい政治人生を過ごしてきたが、そのヒラリー氏に対し、トランプ氏は、言葉を選ばず、例えば既得権益層の「あやつり人形」であり、彼女は大企業の言いなりになっていると決めつけ、国務長官時代のメール問題なども激しく批判している。

このような悪口雑言の批判ではなく、私がぜひ聞きたいのは「環境・エネルギー政策」だ。当ブログでも紹介したと思うが、5月末にはトランプ氏は、「パリ協定」は拒否すると明言している。トランプ氏に限らず、アメリカの共和党のなかには、温暖化対策に極めて消極的…というよりむしろ否定的な人も多いので、せっかくオバマ大統領が苦労を重ねてたどり着いた「パリ協定」の発効も、難しくなることを恐れている。

一方、クリントン氏のほうは、もちろん、「パリ協定」を拒否するなどとは全く言っておらず、むしろ、気候変動対策を推し進める立場であるが、現時点で両者の間で、この重要問題をめぐる本格的な論戦は私が知る限りは無い。

日本の今回の参議院議員選挙でも、気候変動問題に対するまともな議論が無かったことを考えれば、無理もないことかも知れないが、それにしても人類の運命は、「パリ協定」をどう実施していくかに掛かっているかを思えば、この問題に重大な関心を寄せる世界中の人々が固唾を飲んで注視している筈だ。

11月8日の本選挙まで、あと3か月半ほど。
両党の大統領・副大統領候補が正式に決まった今、気候変動対策を含む持続可能な社会をどう作るかについても本格的な論争を期待したい。
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# by JAES21 | 2016-07-26 17:46 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)
諦めてはいけない
参院選の結果については、前回、加藤共同代表が述べた通り、予想はしていたが、あれほどの差が出るとは・・である。

大勝の結果を受け、安倍総理は自慢げに「国民のご支持を頂けた」と述べた。
しかし、多くの国民が積極的に支持したわけではないことは、次のような数字が示している。

例えば、投票率は54.70%と第1回目以降4番目の低さである。また朝日新聞が行った選挙直後の世論調査では、与党勝利の理由として、「野党に魅力がなかった」とした人が71%で、「安倍総理の政策が評価されたから」の15%を大きく上回っている。要は、政治に魅力がないから投票に行かない、野党に魅力がないから「まだまし」な方に投票したという、ある意味で国民の素直な気持ちが表れた選挙結果である。

そのことを安倍政権はしっかり認識すべきだが、これまでの、“選挙前は経済、選挙後は憲法改悪”といった二枚舌的、かつ、自己の信念に過度に執着するやり方を見ていると、そんな謙虚さは望めそうにない。
クーデター騒ぎで、トルコのエルドアン大統領が注目されているが、初めての国民投票で大統領になった彼が、徐々に強権政治に向かう姿と、安倍政権とが重なって見えるのは、私だけではないように思う。

一方、野党も、アベノミクスが間違いであれば、それに代わる新しい経済の姿を示すべきで、それができないのでは、「魅力的な野党」には成り得ない。
また、憲法改正に関しても、「ダメなものはダメ」だけでなく、例えば、「9条は絶対に変えない」けれど、「気候変動への対応など時代の要請に応えるべきところは検討しよう」といった議論を展開しなければ、『憲法=9条』といった狭い認識と議論から何も進まなくなってしまう恐れがある。

しかし、政治家は、自らは変わろうとしないし、変われない類の人たちである。
それを変えるのは、やはり、私たち市民、特に“気づいている市民”しかいないように思う。
持続可能な社会からますます遠のく現状、政治家の不甲斐なさと市民の政治意識の低下に失望の連続だが、諦めてはいけない、と自らに言い聞かせるこの頃である。
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# by JAES21 | 2016-07-19 17:30 | 藤村コノヱが斬る | Trackback | Comments(0)
参院選の忘れ物

参議院選挙が行われ、ある程度予想されていたことではあったが、やはり、自民・公明の与党が力を伸ばし、野党は、思ったほどの伸びは得られなかった。私自身も、この結果はある程度予想していた。なぜなら、野党側は、アベノミクス是か非か、あるいは憲法改正勢力の3分の2阻止などを争点として掲げて戦ったが、アベノミクスに変わる新しい経済の姿は、全く提示出来なかったし、憲法改正を大騒ぎしても、どこをどう改正するのかさえ、議論が全くない中での憲法議論では、多くの国民にとっては迂遠な問題であったであろうからである。

また、非常に残念なことであるが、参議院選挙では、気候変動対策は、話題にすらならなかった。世界中で、異常気象現象が頻発しており、それに対応するため、脱化石、すなわち化石燃料中心のエネルギー構造を再構築することを迫る「パリ協定」が合意されたにも拘わらず、である。おそらく日本では、気候変動問題といえば、気象の専門家やお天気キャスターの問題ぐらいでしか、捉えられていないのかも知れない。また、我々、気候変動に重大な関心を寄せる者が、「これは単なる気象問題ではないのだ、経済、価値観、ライフスタイルに係る問題だ」ということを多くの人に説得することが出来ていなかったことにもよるだろう。

今年の5月、安倍内閣が閣議決定した地球温暖化対策計画は、2030年までに2013年比で26%削減という中期目標を掲げた。残り時間わずか17年程で、日本の温室効果ガスを26%削減し、特に家庭部門や病院・学校・レストラン・ホテルなども含む業務部門は、ともに40%近く削減しなければならないと決めている。2050年に掛けては80%削減だ。

この内容は、極めて重要だ。
なぜなら、再生可能エネルギーの大幅普及とともに省エネ技術や蓄エネ技術の開発・普及にも大きく関わってくる。さらに言えば、我々の価値観、ライフスタイル、さらに交通・運輸など、まさに日本の経済全体の姿を相当大幅に改変しなければ、達成出来ない目標だからだ。

しかも、現在、政府与党は、原子力発電所の再稼働や、石炭火力の新増設を許容しようと動いている。この動きとパリ協定下で必要とされる日本の温暖化対策との間で整合性が明らかに取れていないのにもかかわらず、野党も与党も、今回の参議院選挙で、原発再稼働是か非かといった程度の問題でしか話題にしなかった。

一口で言えば、「パリ協定」下での気候変動対策がもたらす日本の経済構造全体の再構築、そして、それを可能にするための国民の意識価値観の大変革を伴うような大規模な経済政策論争を仕掛けられず、単にアベノミクスがいいか悪いかといった程度に矮小化してしまえば、勝負は初めからついていたようなものだろう。

今後、参議院選挙後の国会が再開されれば、憲法改正問題が、改めて浮上してくるであろう。私たちは日本国憲法のなかに気候変動対策などを視野に入れた「環境原則の憲法への導入」を提案しているが、これもまた、「環境権」是か非かだけでなく、経済社会そのものの再構築を目指す、大きな視点のなかで議論してほしいし、私たちもNPOとして頑張らねばと改めて思っているところだ。
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# by JAES21 | 2016-07-12 17:30 | 加藤三郎が斬る | Trackback | Comments(0)



環境文明21の共同代表「加藤三郎」「藤村コノヱ」の両名が、時事問題等を斬る
by JAES21
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